住まいの壁は、面積が広く、人の視界に入りやすい位置にあることから、住まいのインテリアの方向付けをする上で大きなインパクトがあります。住まいの壁の仕上げと言えば、壁紙を使うことが多いですが、壁紙以外にも魅力的な壁材があり、新しい壁材や壁の仕上げ方も増えてきています。

そこで今回は、リフォーム・リノベーションで暮らしやすい住まいを作る際に取り入れたい、近年の壁材のトレンドをお伝えします。

塗り壁(左官、塗装)


一つ目にご紹介するトレンドは、塗り壁です。住まいの躯体や壁の下地となる石膏ボードなどに直接、塗り壁材や塗料を塗りつけて仕上げる方法です。持ちがよくメンテナンスもDIYでできるので、長い目で見ると壁紙よりもコスト面で有利になることもあります。

塗り壁材は、珪藻土や漆喰など自然由来の原料を粉状にしたものに水を加えて練って用意します。それが乾かないうちにコテを使って壁に塗り付けていきます。珪藻土や漆喰は室内の空気を清浄に保つ効果があるとされ注目されています。また、コテの跡が職人の手作業ならではの温かさを感じさせるとして、リフォーム・リノベーションに取り入れられることが増えています。

塗料を塗りつける塗装も、塗り壁の仕上げ方の一つです。塗料を混ぜ合わせて好みの色を作ったり、塗り柄やパターンも融通が利くので、自由度の高さが魅力です。塗料はバリエーションが豊富で、色味だけでなく特殊な質感も表現できるものがあります。モルタルやコンクリート、鉄や金属の質感など、何の変哲もない壁を雰囲気ある壁に変身させることができます。

塗り壁、特に塗装はDIYで取り組む人たちも多く、リフォーム・リノベーションでも施主自ら施工することもできるかもしれません。新しい住まいに家族みんなで仕上げた思い出が加わるれば、愛着がわきますね。

ウッドパネル


ウッドパネルとは、木材をパネル状にした内装材です。床用のフローリングのように細長い長方形のものが多く、壁や天井に張り付けて使います。無垢材を使えば、調湿効果も取り入れられます。環境意識の高まりやインテリアにちょっと特別なアクセントが欲しいという気持ちにこたえるウッドパネルは、注目度の高い壁材となっています。

ウッドパネルは、ナチュラルで温かみのある雰囲気づくりに向いていますが、使われる木の種類によって印象を変えることもできます。例えば、明るめの色味ならば木目を活かしたナチュラルで優し気な雰囲気、濃いめで落ち着いた色合いならビンテージ感の演出になります。ワックスで表面につややかさを加えれば、ラグジュアリーな雰囲気にもなります。

一方で、壁紙や塗り壁などよりもコストがかかりがちであったり、日常的なお手入れに気を使うところがあるのは注意点です。

タイル


続いての壁材はタイルです。タイルは耐水性が高いので、キッチンのバックスプラッシュや洗面、浴室などの壁によく使われます。透明感のあるツヤが美しく耐久性も高い壁材です。色柄、形、サイズなどバリエーションが豊富でデザイン性が高く、さまざまなテイストに合わせて使える壁材です。

高級感のある石目調タイルやメタル調タイル、アクセント使いでセンス良く使えるデザインタイルやモザイクタイル、温かみを感じさせるブリックタイルなどをうまく取り入れて、さりげなく個性的な装飾を楽しむ使い方が増えています。 

また、同じタイルでも見せ方だけで印象が変わります。例えば、シンプルな白い二丁掛タイルでも、目地の色を白で揃えれば清潔感あふれる印象に、一方目地を黒にすれば都会的なスタイリッシュさも出てきます。張り方をヘリンボーンにすればヨーロピアンテイストにも合うでしょう。

調湿や有害物質吸着の効果を持った機能性タイルも人気です。デザイン性が上がってきているので、玄関やリビングなど、来客の目につくところにも取り入れやすくなっています。

新素材の壁紙


壁を仕上げる内装材の定番と言えば壁紙でしょう。一般的に使われているビニールクロスは安価で施工しやすく耐久性やメンテナンス性も高いとして広く使われてきました。高機能化が進んでおり、消臭、抗菌、防カビなどの効果を持つものや、透湿性のある素材を組み合わせたものなどもあります。

一方で、ビニールクロスは接着材に含まれるホルムアルデヒドや廃棄処理で発生するダイオキシンが有害であるとして、健康や環境意識の高い消費者は、より安全安心な壁紙を選ぼうとしています。化学物質を含まないビニールクロスも商品化されています。

また、ビニール以外の素材を使った壁紙も使われるようになってきました。紙素材で通気性がよく優しい風合いが楽しめる紙クロス、表面の凹凸感が独特の表情を持ち吸湿性もある織物クロスなどです。

デザイン面では、印刷技術の進歩でより繊細で鮮やかな色彩の壁紙、凹凸感や質感を表現した壁紙、写真をプリントした壁紙などが注目されています。

個性的な壁材と壁の仕上げ


ここまで壁材について紹介してきましたが、あえて壁材を取り払う、コンクリート現わしという壁の仕上げ方法があり、独特の味わいを好む人たちに受け入れられています。インダストリアル風テイストやブルックリンテイストに良く取り入れられるスタイルで、クールでスタイリッシュ、ショップライクな非日常感を演出できる方法と言えます。

また、アクセントクロスという手法も広がってきています。これは、部屋の一部の壁だけを、それ以外と違う色や壁材で仕上げる方法です。色の濃淡を変えれば視線を誘導して空間を広く感じさせる効果が期待でき、LDKのような多用途で広い空間では緩やかにゾーニングしたりすることもできます。

リフォーム・リノベーションでは、書斎やワークスペース、趣味の部屋のようなスペースを取り入れる間取りが増えていますが、このようなプライベート感のある小スペースは、大胆に好みのテイストを取り入れたインテリアに仕上げることもよくあります。自由な発想で個性豊かな壁材を組み合わせ、空間づくりを楽しむ人たちが増えています。

まとめ

住まいづくりで取り入れたい壁材として、塗り壁、ウッドパネル、タイル、壁紙について、トレンドを解説してきました。

リフォーム・リノベーションで壁材などの内装選びはインテリアを決める重要なフェーズですが、一方で決めることが多く、何から考え、手を付ければいいのか、途方に暮れてしまうかもしれません。

事例画像を集めて参考にする方も多いですが、できればショールームやホームセンターで実物を見てみることをおススメします。お気に入りの壁材がひとつ見つかれば、それに合わせてコーディネートしていくこともできます。

インテリアのセンスに自信が無い、という場合は専門家に相談してアドバイスをしてもらいましょう。リフォーム・リノベーションの施工会社やショールームには、インテリアに詳しいプロのいるところも多くあるので、お近くのお店を探してみてください。