住まいの床はどう選ぶ?床材の選び方とトレンドをご紹介
住まいの中で床は、特に面積が広く、また、家具を置いたり人が歩いたりと、直接的に生活にかかわるものです。そのため、インテリアのまとまりや住まいの暮らしやすさに大きくかかわってくる部分と言えます。しかし、住まいづくりで床について決めようとすると、床材の種類の多さに戸惑ってしまうかもしれません。
そこで、今回の記事では、床材選びの基本となる考え方や床材の種類と特徴、近年のリフォーム・リノベーションでのトレンドをお伝えしていきます。床材選びに迷いを感じているなら、ご一読いただけると参考になるでしょう。
床のリフォーム・リノベーションは、使う場所に合った床材を選ぶ
床材選びの基本は、適材適所。その場所の使い方にあった床材を選ぶことです。種類が豊富な床材はそれぞれに特徴や機能を持っています。それをうまく利用して組み合わせれば、暮らしやすい住まいづくりに役立てることができます。
例えば、キッチンなら、水や汚れに強く掃除しやすい床材が良いでしょう。トイレや洗面室の床も、耐水性や防汚性がある床材がよいでしょう。土足で入る土間やインナーテラスの床は、砂埃でも傷つきにくい摩擦耐性のある床材がおすすめです。
一方で、床は面積が広く、インテリアのテイストを左右するパーツでもあります。技術の進歩で床材の装飾力、表現力はどんどん高まっています。さまざまなカラーや素材感の床材から、好みのテイストに調和する床材を選んでインテリアを整えましょう。
例えば、リビングやダイニングは、生活の中心で家族が長い時間を過ごす場所です。テイストも、ナチュラルなのか、スタイリッシュなのか、またはインダストリアルや和モダンに寄せるのかなど、家族が過ごしやすいテイストを決めて、それに合わせた床材を選びましょう。
床材の種類と特徴を知ろう
ここでは、主な床材について、特徴や使い方を紹介していきます。
フローリング
フローリングは、木材由来の素材を板状に成型した床材です。多くの住まいでは、メインの床材となっています。フローリングは、無垢フローリングと複合フローリングに大きく分けられます。
●無垢フローリング
無垢フローリングは天然の木を切り出して一枚の板に成型しているので、自然界にある木の性質を残しています。空気の湿度を調節する調湿作用があり、保温性や断熱性も高いので裸足で歩いてもべたついたりヒヤッとしたりしにくいというメリットがあります。また、天然木そのままの美しい木目や、使うほどに色味が変わる経年変化も楽しめる床材です。
注意点としては、湿度変化によって収縮と膨張を繰り返すので、反れたり割れたりする場合があるということです。また、水分や油分を吸収する性質なので、汚れたらすぐに拭き取るよう気を付けることや、水気の多い場所に施工すると傷みやすいといった注意点があります。
無垢フローリングはおおまかに、柔らかく軽量で加工しやすい針葉樹(スギやヒノキなど)、重くて丈夫な広葉樹(オーク、チークなど)というように、樹種によって特徴があります。
●複合フローリング
複合フローリングは、種類の違う薄い板を重ねて作られるフローリングです。品質が安定しており、寸法がずれることもほぼありません。表面に化粧板を張り付けるので、メンテナンスしやすくきれいな状態が長続きする点はメリットと言えるでしょう。また一般的に、無垢フローリングに比べてコストを抑えられる傾向があります。
さまざまな板を張り合わせることで、多様な機能を持った複合フローリングが生まれています。例えば、表面に無垢材の板を用いて無垢フローリングのような触り心地が楽しめるもの、床暖房に対応している熱に強いもの、滑りにくく傷がつきにくいもの、防音効果のあるものなどがあります。
クッションフロア
クッションフロアは、厚みが2〜3ミリ程度のシート状の床材です。表面は塩化ビニール素材で耐水性、防汚性があり、メンテナンス性にも優れています。その表面シートの下にはクッション材が裏打ちされていることで足腰に優しい弾力があります。こういった特徴から、クッションフロアは、トイレや洗面室などの水回りに使われることがよくあります。
また、デザインや色柄が豊富で、近年は表面材への印刷技術の進歩もあって、本物のようなリアルな木目調や天然石風、タイル風などの商品も登場しています。それでいて、フローリングやタイルよりもコストを低くおさえられる場合が多いです。品質の良いもの、テイストがインテリアに合うものを選んで、客人の目に触れにくい、寝室などのプライベートスペースや子供部屋の床材としても使われることもあります。
薄いシート状なので、使いたいサイズ、形状で自由にカットすることができ、複雑な形の床にもぴったりと合わせて貼ることができます。また、DIYの模様替えにも取り入れやすい床材です。
タイル
タイルの中でも床材としてよく使われるセラミックタイルは、土や鉱石の粉を練って成型し、高温で焼き上げた板状の建材です。強度があって傷や水に強いという特徴があります。焼成前に釉薬を使うことでつややかで高級感のある仕上がりになります。色柄や質感が豊富で、絵付けをしたもの、グラデーションかかって見えるもの、メタリックだったり土の素朴な凹凸が感じられるもの、レンガの風合いを再現したものなどもあります。
耐水性と汚れの拭き取りやすさから、キッチンの床に使われることもよくあります。耐摩耗性が高いことから、玄関の三和土や土間、インナーテラスやサンルームに使われることもあります。
その他の床材
繊維系の床材としてカーペットがあります。耐久性に高く汚れにくいナイロンやポリエステルの合成繊維、保温性のあるウールなどの天然繊維というように、繊維によって質感などに違いがあります。ホテルのロビーや公共施設でもよく使われていますが、色味や質感を選べば高級感のある仕上がりにすることもできます。
フロアタイルは、薄いシート状の素材が正方形などの一定の形に切り分けられているものです。並べるように敷き詰めて使い、汚れたり傷ついたりすればその部分だけを交換することができます。ビニール素材など化学合成素材が表面に使われているものが多いので、水気のある場所でも使われます。
コルクマットは、木の皮からとれるコルクを使ったマットです。クッション性が高く、防音、断熱の効果もあり、天然素材でリサイクル可能な資源であることもあって、近年注目を集めている床材の一つです。
和室の床材として使われる畳は、イグサという植物を原料として長方形のマットに布の縁が付けられています。編み込まれた繊維が空気の層を抱え込むので、弾力性があり防音、断熱、吸湿などの効果が期待できます。近年では洋室にも合わせやすい縁なし正方形の畳マットや合成繊維を使った畳も登場しています。
床材のトレンド
機能性
技術の進化で建材の高機能化が進んでいます。床材も例外ではなく、新しい機能や意匠性を備えた床材が登場しています。以前はさまざまな理由で難しかった床材の使い方もできるようになり、床材選びの選択肢が増えています。
例えば、水に強くキッチンやトイレにも使えるフローリング。リビングダイニングと一続きになっているキッチンが増えていますが、水に強いフローリングなら床材を統一することができるので、より空間の一体感や連続性を感じさせるインテリアになるでしょう。
フローリングやクッションフロアでは、滑りにくい加工がされたものがあります。小さい子供やお年寄りの転倒防止を目的として、需要が見込まれています。
和室にしか使わないと思われていた畳は、縁なし正方形の琉球畳や、フローリングに合わせたブラウン系のカラーのものなど、洋室化した住まいのインテリアに合わせやすく進化しています。
高級感
ラグジュアリー、ホテルライクといったテイストが人気ですが、近年の住まいづくりで「高級感」というキーワードに注目が集まっています。高額な建材を使うだけでなく、余裕を感じさせる優雅さのあるインテリアが高級感にもつながるようです。
光沢感と複雑な色味が魅力の天然石やその石目調を再現したタイルなど床材、ヴィンテージ感ある無垢フローリングや無垢板を使った挽板フローリング、また、大判のタイルや幅が広いフローリングなども高級感の演出として用いられています。
環境意識
住宅の床材には多くの資源を使うこともあり、環境意識の高い層などを中心に、自然に戻せる自然由来の素材を使った床材やリサイクル建材に関心が高まっています。
自然由来の床材としては、無垢フローリングはお手入れすれば他の床材に比べて長く使えることもあって、エコと言えるしょう。また、クッション性や断熱性で人気のコルクマットも木質系の原料から作られています。
ビニール素材や合成繊維の床材は、リサイクルされて新しく生まれ変わるものがあったり、他の産業から出た端材などから作られるものもあります。
まとめ
何気なく過ごしている部屋の床ですが、いざ選ぶとなると種類が多くて戸惑うかもしれません。トレンドとして機能性や高級感、環境意識を紹介しましたが、気になった方はホームセンターやショールームで実物を体験してみることをおすすめします。
床材選びは、安全で快適な住まいづくりや、居心地の良いインテリアづくりにとって重要な選択の一つになります。選びきれないと思ったり、分からないことが出てきたりしたときには、専門家に相談して、プロの経験と知識からアドバイスをしてもらいましょう。