リフォームとリノベーションの違いとは？それぞれのポイントをご紹介
同じような場面で使われることの多い「リフォーム」と「リノベーション」という2つの言葉。「リノベーションのほうが大がかりそう」といったイメージはあっても、詳細な違いはわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、リフォームとリノベーションの違いをわかりやすく解説するとともに、それぞれのポイントや注意点を説明します。どのような方がどちらに向いているのかも紹介しますので、今後住宅の改修を予定している方はぜひ参考にしてください。
リフォームとリノベーションの違いは「目的」と「規模」にあり
似たような意味合いで使われることの多い「リフォーム」と「リノベーション」ですが、厳密な定義はなく線引きはあいまいです。ただ、次のような基準で使い分けられるケースが多くなっています。
リフォーム：原状回復のための修繕営繕、不具合箇所への部分的な対処
リノベーション：機能、価値の再生のための改修／その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修
上記の基準を踏まえると、リフォームとリノベーションは「目的」と「規模」に大きな違いがあるといえるでしょう。
まず、目的面から考えてみます。リフォームは本来の姿から劣化していたり本来の機能を失っていたりする場合に、原因となっている不具合や汚れ・傷などを解消するためにおこなう改修です。言い換えれば「機能や性能がマイナスになってしまった箇所をゼロの状態に戻す」のがリフォームと定義できます。
一方、リノベーションは住宅の機能や価値を再生するだけでなく、新たな付加価値を生み出す改修を指します。つまり「機能や性能がマイナスになってしまった住まいを、現代のライフスタイルにマッチした住宅にアップデートする」のがリノベーションです。
規模の面から考えると、一般的にリフォームは部分的におこなわれるのに対し、リノベーションは住まい全体をやり変えるケースが多くなっています。リフォームよりもリノベーションのほうが大規模な場合が多いととらえてよいでしょう。
リフォームのポイント
次にリフォームとリノベーションそれぞれのポイントを見ていきます。先にリフォームのポイントを解説します。
コストを抑えてスピーディに実施できるリフォーム
リフォームは、故障や老朽化によって機能性を損なった設備を入れ替えたり、汚れや傷の目立つ壁クロスやフローリングを張り替えたりといった表層的な改修を指します。
建物の躯体に手を加えないので期間がそれほどかかりません。住宅全体をリフォームする場合でも1ヶ月程度で終わるケースが多いでしょう。また、改修の作業範囲も限られること、メーカーの既製品を使用するケースが多いことなどから、コストも数十万〜数百万円の範囲内で収まる場合が大半です。
一部をリフォームするだけであれば、住み続けながらの施工も可能なため、仮住まいを用意する必要がないのもポイント。コストと時間を節約しながら快適な暮らしを実現できます。
参考：リノベーションとリフォームの違いとは？メリットデメリットも徹底解説！
リフォームにおける注意点
先述のとおり、リフォームは「マイナスの状態からゼロに戻す」ことが目的のため、既存の住宅が有している機能性や間取りは基本的に変えられません。
特に築古物件では「キッチンが壁付けで家事中家族の様子が見えない」「部屋が細かく区切られていて使いづらい」「和室ばかりで子ども部屋に向かない」など、現代のライフスタイルには適していない場合も多いでしょう。リフォームで設備や内外装を更新しても、使いづらさを根本的に解消するのは難しいのです。
加えて、リフォームは既製品を用いるのが一般的であり、あらかじめ絞られたアイテムのなかで好みのスペックや色合いのものを選ぶ流れになります。デザイン性はあまり考慮されないため、マイホームのデザインにこだわりたい方は物足りなさを感じるかもしれません。
リノベーションのポイント
リフォームに続いて、リノベーションのポイントも確認していきましょう。
細部までこだわった住まいを実現できるリノベーション
リノベーションは「マイナスの状態からプラスアルファの付加価値を作り出す」ことを目的としており、内外装や設備のデザインや仕様を自由に選べるのがポイントです。専門のリノベーション会社に依頼すれば、デザインや建築の専門家が、依頼者の好みに合わせてデザイン性の高い提案をしてくれます。
フルリノベーションなら建物躯体そのものも改修するため、床下や屋根裏など目には見えない箇所の更新、老朽化した配管の取り替えも可能。必要に応じて耐震補強や断熱工事をおこなえば、中古住宅の安全性と快適性を大きく向上できます。
リフォームでは難しかった間取り変更も可能で、自分や家族のライフスタイルに適したこだわりの住まいを実現できる点がリノベーションの魅力といえるでしょう。
リノベーションにおける注意点
こだわりの住まいを実現できるリノベーションにも注意点があります。
まず、リノベーションはリフォームに比べて施工範囲が広く施工内容も多岐にわたるため、時間とコストが多くかかります。オリジナルの造作家具などを入れたり、住宅設備を海外から取り寄せたりといったようにこだわればこだわるほど、必要な時間とコストは膨らみます。リノベーションの一般的なコストは数百万〜千数百万円、家の面積や使用する素材や設備のグレードによっては2,000万円以上かかる場合もあるでしょう。
工事期間は事前打合せも合わせて6ヶ月程度は見込んでおきたいところ。検討期間が長くなれば、その分だけ全体のスケジュールも長くなります。
リノベーションはリフォームに比べて自由度が高い反面、資金や時間に余裕を持たなければならない点に注意が必要です。
リフォームとリノベーションのどちらが向いているかチェック
リフォームとリノベーションにはそれぞれ長所・短所があります。どのような状況にある方が、どちらに向いているのか具体的に紹介しましょう。
リフォームが向いているのはこんな方
次の特徴に当てはまる方は、リフォームを中心に検討するのがおすすめです。
築浅で故障や不具合のある部分だけ直したい方
水回りの故障、雨漏りなど緊急性の高い不具合に困っている方
思い入れのある自宅の雰囲気や間取りをできる限り残したい方
手元資金やローン借り入れの余力が少なく、コストをなるべく抑えたい方
デザインや仕様を自分たちで選ぶのを面倒に感じる方
改修のリミットが明確に決まっていて、スケジュールの余裕がない方
故障や不具合を直すだけでよい場合や、急いで修繕をおこなわないと生活に支障が出る場合には、コストと時間を抑えられるリフォームが向いているでしょう。
リノベーションが向いているのはこんな方
一方、以下のような特徴に当てはまる方は、リフォームよりもリノベーションを検討するとよいかもしれません。
築古の中古住宅を新たに購入し、改装して住もうと考えている方
中古住宅の購入費用と改修費用を住宅ローンで一体的にまかないたい方
自宅や購入した中古住宅の間取りを大きく変更したい方
余裕のあるスケジュールでじっくり家づくりを楽しみたい方
手元資金やローンを借り入れる経済的な余力のある方
住まいに対するこだわりが強く、自由度の高い家づくりがしたい方
リフォームと比較したリノベーションの長所は何といっても自由度の高さです。家づくりにこだわりたい方にはリノベーションが有力な選択肢となるでしょう。
コンバージョン、リニューアルとの違い
リフォーム・リノベーションと同じような意味で使われる言葉として、ほかに「コンバージョン」と「リニューアル」が挙げられます。2つの言葉の違いについても簡単に紹介しましょう。
用途を転換して建物に新たな息吹を吹き込むコンバージョン
「コンバージョン」とは、建物が従来有していた機能や用途を転換し、建物に新たな使い方を付与する改修を指します。通常のリフォームやリノベーションは工事後も引き続き住宅として使うのが前提であるのに対し、コンバージョンは機能や用途の転換を目的としている点が大きな違いです。
例えば、賃料が低下基調にあったオフィスを商業施設に転換する、ホテルとして使われていた建物を集合住宅に生まれ変わらせるといった試みがコンバージョンにあたります。
事務所や店舗などを刷新するリニューアル
「リニューアル」は広い意味で使われる言葉であり、リフォームのような原状回復やリノベーションのような機能や価値の向上を含む改修にも用いられます。どちらかというと後者の意味で使われるケースが多く、既存のものをベースに作り替える点に重きが置かれます。これが、新たな付加価値を生み出すことに主眼を置くリノベーションとの違いです。
また、使われるシーンにも違いが見られます。リフォームやリノベーションが住宅で使われることが多いのに対し、リニューアルは商業施設などで使われる傾向にあります。
参考：マンション大規模修繕工事におけるリニューアルとリノベーションの違いとは
まとめ
同じような場面で使われる「リフォーム」と「リノベーション」ですが、目的や規模に合わせて使い分けされるのが一般的です。築浅の住宅を部分改修するのであればコストや時間が比較的かからないリフォームを、築古の住宅などを全面改修して新たな価値をプラスしたいならリノベーションを選ぶとよいでしょう。
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