日本の住宅は「ウサギ小屋」と海外で揶揄されていると聞いたことがあります。このことは日本人から考えると、腹立たしいことではありますが、ある意味で仕方ないのかも知れません。

特に、都市部は地方と比較して土地が狭いケースが非常に多いです。そのため、住宅もどうしても小さくなってしまいます。では、狭苦しい家で我慢しなければいけないのでしょうか。

実は、必ずしもそうとは言えません。リノベーションで快適な家にすることも可能なのです。

この記事では希少住宅のリノベーションのポイントを取り上げます。読み終わる頃には希少住宅リノベのイメージが掴めていることでしょう。

狭小住宅のリノベーションのポイント

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ここでは、狭小住宅のリノベーションのポイントを挙げてみましょう。

狭小住宅ならではのポイントがあります。どのような点でしょうか。

縦方向の空間活用

狭小住宅は敷地の関係からフロアそのものの面積を増やすのは困難です。また、敷地には建ぺい率や容積率の規定も足かせになります。

そのため、「横方向」以外の空間の広がりを考えなければいけません。

そこで考えられるのは「縦方向」の空間活用となります。

具体例としてはスキップフロアなどです。スキップフロアは中二階を作ることによって縦方向に空間を広げます。広々とした開放感が得られることでしょう。

壁があると視界を壁が塞いでしまうので、圧迫感を与えてしまいます。狭く感じることでしょう。

しかし、壁の量を減らせば視界を遮蔽することも無くなり、広々とした印象になります。

ただ、壁を減らしてしまうと耐震性の問題も出て来ます。壁は横からの力に耐える役割もあるのです。

そのため、リノベーションにおいては構造部分のチェックも不可欠となります。

内装

内装を工夫することによって部屋を広く、明るく見せることは可能です。ポイントは家屋内の全体に窓からの光を届けること。それが可能な内装材を選ぶことが必要です。

具体例としては室内窓の活用や壁紙の色の工夫があります。壁紙をホワイトにすれば、窓の光を壁紙が反射するので、奥の方まで明るくなりやすいのです。

ちなみに、壁紙の中には光の反射に特化したタイプもあります。活用次第で部屋がより快適になるでしょう。

採光

狭い家は室内が暗くなりがちです。そのため、狭さがより強く感じられてしまいます。特に、隣家が近い場合には、より暗く感じることでしょう。

そのため、採光を改善すれば明るくなって広く感じられます。リノベーションの際にも採光に気を付けるべきです。

具体的には天窓を使うのがおすすめです。天窓は家の側面ではなくて屋根についているため、日光を取り入れるには有用なのです。

設備

設備を集約させるのも狭小地リノベーションのポイントです。特に、浴室やトイレなどの水まわり設備をまとめると良いでしょう。

配管がまとまると設備的にもスッキリしますし、コストも安価で済みます。

その点、水まわりの設備を分散させると、それだけの配管が必要です。配管も複雑になってしまいますし、コストも高くなってしまいます。

収納

収納の工夫も狭小地リノベーションのポイントです。敷地が広くないだけに、無駄のないスペースの活用が求められるからです。

例としては、ロフトや床下収納、天井裏収納などがあります。

ちなみに、ロフトは制限が多いのですが、収納以外にも活用の幅が広いです。趣味を楽しんだり洗濯物を干したりできるスペースとして重宝することでしょう。

床面積

土地には建ぺい率や容積率が決まっていて、その範囲の中でしか建物を建てることはできません。

例えば、建ぺい率が50%で容積率100%の30坪の土地では、最大で床面積が30坪でしか建てられません。

しかし、ベランダのような延床面積の算定基準が違う部分と取り入れれば、実質的には30坪を超える面積での建築が可能となります。

このように、床面積の計算方法を利用すれば広い家を作ることが可能。狭小地リノベーションのポイントなのです。

予算

一般的な住宅の価格は坪単価が目安となります。例えば、30坪の家を坪単価50万円で建てれば、家屋が1,500万円になる、という計算です。

しかし、狭小地住宅は単純に坪単価では済まない場合がありますので注意をしなければいけません。

これは設備費用が変わらずに建築面積だけが減った場合に見られる現象です。

例えば、1,500万円の住宅の内、300万円が設備費だったとしましょう。この場合は坪単価が50万円で、設備以外が1,200万円です。

その点、20坪の家であっても設備は同様に発生するから300万円。坪単価を50万円とすると家屋のトータルが1,300万円となってしまいます。つまり、100万円高くなってしまうのです。


狭小住宅リノベーションの注意点

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次に、狭小住宅のリノベーションの注意点を挙げてみましょう。

将来を見越す

住宅は非常に長く利用します。そのため、将来を見越さなければいけません。

例としては、子供の成長を見越して子供部屋の設置を考えるとか、自分の老後を見越してバリアフリーに対応させるなどの必要があるでしょう。

狭小住宅も同様のことが言えます。ただし、狭い家なので工夫をしなければいけません。子供部屋の例であれば、パーテーションで対応させる、と言った施策が必要となるでしょう。

安全性への配慮

安全性への配慮も非常に重要です。

特に、狭小住宅では階段まわりに注意が必要となるでしょう。と言うのも、狭いスペースの中で階段を作ろうとすると、どうしても階段が急になりがちだからです。

そのような急な階段では安全性に疑問が出ます…特に、お年寄りの事故の発生確率が高くなるでしょう。そのような住宅にならないように、設計の段階から注意が必要となるのです。

プライバシーへの配慮

プライバシー保護にも注意が必要となるでしょう。

狭小住宅の場合、壁を少なくすれば広く感じるようになるのですが、壁を撤去し過ぎると他のスペースまで丸見えになってしまうからです。

また、壁が無くなってしまうと話し声までが周囲に聞こえてしまいます。携帯電話での通話が家族に丸聞こえ…という事態は好ましくはありません。

家具の配置を考えておく

住宅の内装とは直接的に関係は無いのでしょうが、家具の配置などもリノベーションの前に検討しておいた方がベターです。特に、大型家具の配置には注意が必要。しっかりと確認をしないとデッドスペースが出来てしまうからです。ケースにもよるでしょうが、収納と併せて計画を立てるとベターです。

ちなみに、スキップフロアのような形態を取ったり、造作家具にしたりすればスペースの有効活用にも繋がります。

補助金を徹底活用する

狭小住宅のリノベーションに限ったことではないのですが、補助金の徹底活用も大きなポイントとなります。

補助金の1つは多額にはならないかも知れませんが、全部を集めると、かなりの金額になることが少なくないからです。

今では、バリアフリー、省エネ、子育てなどに関係する補助金事業を持つ自治体が多いです。リノベーションの資金計画の際には確認してみてはいかがでしょうか。


まとめ

狭小住宅のリノベーションについて取り上げました。他の住宅にはない狭小住宅の持つ特徴などが理解できたことと思います。また、リノベーションの注意点も把握できたことでしょう。

地方の過疎化の問題はよく聞きますが、それと共に都市部への入居も増え、土地がますます少なくなって行くものと思われます。狭小住宅はそのような事態への対応策として有効。将来を決める住宅の形態と言えるかも知れません。