断熱リフォームは、読んで字のごとく住宅の断熱性を高めるための改修工事のことです。

しかし、具体的な施工内容やなぜ断熱リフォームを行うのか、といった点がわからない方も多くいらっしゃいます。そこで今回は、断熱リフォームを行う5つのメリットと失敗しない重要ポイント2選について詳しく解説いたします。

断熱リフォームとは?既存住宅に断熱材を設置する工事

断熱リフォームとは、既存住宅の壁・床・天井・窓などに断熱施工を行い住宅の断熱性を高める工事のことです。具体的な施工内容としては、以下のような例があります。

【壁の断熱リフォーム】

・内壁の中に断熱材を入れる(充填断熱工法など)

→費用の目安:約50万円~

・外壁に断熱材を貼る(外張り断熱工法など)

→費用の目安:約150万円~

【天井の断熱リフォーム】

・天井材の裏側に断熱材を敷き詰める/吹き込む

→費用の目安:約50万円~

・屋根の上側に断熱材を貼る/屋根裏に断熱材を吹き付ける

→費用の目安:約100万円~

【床の断熱リフォーム】

・床下の基礎部分に断熱材を施工する/吹き込む

→費用の目安:約50万円~

【窓の断熱リフォーム】

・高断熱窓に交換する

→費用の目安:約20万円~/ヶ所

・内窓をつけて二重窓にする

→費用の目安:約5万円~/ヶ所


断熱リフォームをする5つのメリット

メリット イメージ

断熱リフォームを行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか?

具体的なメリットを5つご紹介します。

室温が快適に保てる

断熱リフォームを行うことで、暑さや寒さなど外気温の影響を受けにくくなり室内が適温に保ちやすくなります。

家で過ごす団らんの時間や、夜間の睡眠時間、朝の起床時など時間やシチュエーションに関係なく快適に過ごすことができます。

ヒートショック・熱中症予防が期待できる

温度が急激に変わるトイレやお風呂では、激しい温度差によってヒートショックが起きやすくなります。

ヒートショックとは気温が大きく変化することで血圧が乱高下し、心臓や血管の疾患が発生する現象のことです。家の中の温度差が少なくなる断熱リフォームは、ヒートショック対策としても注目されています。

また、毎年夏になると問題になる家の中での熱中症も、断熱性を高めて外気温の影響を受けにくくすることでリスクの低減が期待できます。

節電に繋がる

断熱リフォームをして家の断熱性能が高くなると、冷暖房など空調設備を過剰に稼働させなくても適温を保ちやすくなります。

そのため、電力や石油などエネルギーの無駄遣いを抑えることができるので、節電や省エネに繋がります。

結露やカビの対策になる

寒い季節によく発生する結露ですが、結露が発生すると壁や天井、床に湿気がこもりやすくなり、カビや腐朽菌が繁殖しやすくなります。この状態が続くと建材が劣化し、建物の寿命が短くなる恐れがあります。

また、結露はカビやダニの発生原因でもあります。カビやダニはアレルギーや喘息などの健康問題を引き起こすことがあります。結露を防ぐことで、結果として室内のカビやダニの発生を抑える効果も期待できます。

経年劣化が起こりにくく長く効果を感じられる

住宅用断熱材は熱や害虫に強い素材が使われるので経年劣化が起こりにくく、断熱効果が長期間持続します。

具体的な耐用年数は材質や設置環境、メンテナンス状況などによって異なります。

こちらでは、一般的によく用いられる断熱材の種類の耐用年数の目安をご紹介します。

グラスウール

グラスウールは耐久性が高い素材です。適切に設置され、湿気や物理的損傷の影響を受けなければ、断熱効果は50年以上持続するとされています。ただし、湿気に弱いため、施工時には湿気対策を万全に行う必要があります。

ロックウール

高炉スラグや玄武石を原料とするロックウールも耐久性が高く、グラスウールと同様に約40〜50年の耐用年数があります。耐火性や防音性にも優れています。

セルロースファイバー

リサイクル紙を主成分とするセルロースファイバーは、隙間なく吹き込みができるため高い断熱効果が期待できます。

耐用年数は約20〜30年とされていますが、製品によっては50年以上効果が持続するものもあります。

ポリスチレンフォーム(EPS, XPS)

発泡スチロール(EPS)や押出発砲ポリスチレンフォーム(XPS)は、耐水性と断熱性能に優れており、軽くて加工がしやすいため様々な場面で用いられています。

EPSは約50年~、XPSは約60年~と他の素材と比較しても耐用年数が長いのが特徴です。

ウレタンフォーム(スプレーフォーム)

ウレタンフォームの耐用年数は約20〜30年くらいだとされていますが、40年以上使用されているケースもあり、具体的な耐用年数は明らかになっていません。

紫外線に弱いため、外部に露出しないよう注意しながら設置しましょう。

フェノールフォーム

フェノールフォームは、高い断熱性能と難燃性を持つ断熱素材です。

経年劣化しにくく、長期間効果が持続するとされています。ウレタンフォームと同様に紫外線に弱いので、仕上げを丁寧に行う必要があります。

断熱材の耐用年数を延ばすためには、適切な設置と定期的な点検・メンテナンスが重要です。特に湿気や水漏れ、紫外線対策を講じることが、断熱材の劣化を防いで長期間断熱効果を持続する鍵となります。


断熱リフォームを失敗しないために重要なポイント

断熱リフォームを失敗させないために、あらかじめ押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。

 事前の診断や見積が丁寧な業者を選ぶ

断熱リフォームは家の土台や基礎部分に施工する工事なので、事前診断や見積が丁寧な業者がおすすめです。建物の現状を詳しく調査することは、その時点での建物の断熱性能の問題点や改善箇所を正確に把握できるだけでなく、以下のようなメリットがあります。

  • 必要な工事内容が明確になる

減税制度や補助金制度を利用する

断熱リフォームは家全体、あるいは土台となる部分に施工するため費用が高額になりがちです。

工事費を抑えるためにも、断熱リフォームが対象となる減税制度や補助金制度を活用しましょう。

【減税制度】

・住宅ローン減税

断熱リフォームを含む住宅リフォームに対して、住宅ローン残高の0.7%が最大13年間所得税から控除される制度です。住宅ローン減税を利用するには、断熱リフォームが国土交通省の定める省エネ基準を満たしている必要があります。

条件など詳細は以下のページからご確認ください。

住宅:住宅ローン減税 - 国土交通省

【国の補助金制度】

・子育てエコホーム支援事業 2024キャンペーン

子育て世帯や若者夫婦世帯が対象で、断熱リフォームを含むリフォーム工事に対して補助金が支給される事業です。工事内容は定められた省エネ基準を満たす必要があります。

子育てエコホーム支援事業【公式】

・先進的窓リノベ2024事業

既存住宅の窓やドアの断熱リフォームに対して補助金が支給される制度です。補助金額の上限は1戸あたり200万円です。事業の詳細や対象の工事については公式ページをご確認ください。

先進的窓リノベ2024事業【公式】

・自治体独自の補助金

各自治体でも、省エネを促進するための断熱リフォームに対する補助金制度を設けている場合があります。具体的な内容や支給額は自治体によって異なりますので、居住地の自治体の公式ウェブサイトや窓口で確認してください。


断熱リフォームが必要かチェックしよう

今のお住まいに断熱リフォームが必要かわからない方に向けて、チェックリストを作成しました。

  • 昭和55年以前に建てられた無断熱の建物

  • 昭和55年、平成4年の古い断熱基準の建物

  • 夏、夜になって外気温が下がっても熱気がこもったまま

  • 2階や天井付近が高温になる

  • 冷暖房の効きが悪い

  • 結露が気になる

  • 脱衣所やトイレが寒い

上記に1つでも当てはまる場合、住宅の断熱性能に問題があるかもしれません。すぐにリフォームを行わなくても、無料診断を受けることをおすすめします。


まとめ

まとめ

断熱リフォームは、壁・床・天井・窓などの断熱性を高めるための工事のことです。

断熱リフォーム施して室温を適温に保つことは、節電・光熱費の節約・結露やカビ予防・ヒートショック対策などのメリットに繋がります。断熱リフォームは家の内部や土台部分を改修する大規模な工事なので、失敗しないためにも業者選びは時間をかけて行いましょう。

大和ハウスウッドリフォームでは、お客様との対話を大切にしております。工事についてのご相談はもちろん、補助金制度についてもご案内しておりますのでお気軽にお問い合わせくださいませ。