夏場の暑さや冬場の寒さが家の中まで影響したら困らないでしょうか。室内が30℃を超えたり氷点下まで下がったりしたら、生活も大変になることでしょう。

さて、そのような事態を避けるためにも住宅の断熱は非常に重要です。しかし、古い家の場合は元々の断熱性能が低い場合が少なくありません。

断熱リフォームはそのような事態を解決するリフォームです。

ここでは、断熱リフォームについて紹介します。

断熱リフォームとは?

断熱材の施工

まず、断熱リフォームとは何かを紹介しましょう。

断熱リフォームの重要性

昔の住宅は今のような断熱性能を持っていなかったため、居室は今ほど快適ではありませんでした。

しかし、今の家は断熱化が進んでいるため、昔より快適な居住空間となっています。

断熱リフォームは昔の家を今の家のレベルに断熱性能を近づけるリフォームです。

効果について

住宅は断熱性能のアップによって快適な居住空間を作れます。

ところで、断熱化の効果を細かく見ているならば、居住空間を快適にするだけではないことに気付きます。詳しくは後述しますが、次の効果が狙えるのです。

  • 快適な居住空間になる

  • 省エネになる

  • 光熱費の削減

  • 健康的な家になる


断熱リフォームの種類

次に断熱リフォームの種類について紹介します。

断熱リフォームは次の4箇所がメインです。

  • 屋根

それぞれについて紹介します。

窓は熱の移動の激しい部分。熱移動の抑制がポイントです。

次の3点が窓リフォームの手段となります。

サッシの交換

昔のサッシと今のサッシでは熱の移動が違います。樹脂サッシが良い例です。

アルミは熱移動が多い金属ですが樹脂の熱移動は少ないです。そのため、断熱に有効なのです。

内窓の設置

既存のサッシの内側にもう一枚のサッシを取り付けて断熱化を図る方法があります。

内窓を付ければガラスの間に空間ができるため、熱移動が抑えられて断熱化ができるのです。

ガラスの交換

昔のガラスと今のガラスでは断熱性能が異なります。

昔は一枚のガラスが多かったのですが、今では複層ガラスとなっていて、断熱性能が上がっているのです。

壁は断熱材の設置と塗装によって断熱化が図れます。

内断熱

内断熱は外壁と内壁の間に断熱材を挟む方法です。リフォームで行う場合には壁の工事の規模が大きくなります。

外断熱

外断熱は既存の壁の外に断熱材を張る方法です。既存の壁そのままに張れるので施工が比較的容易です。

塗装

今では塗装にも断熱性を持たせることが可能。代表例がセラミック粒子を混合したものです。セラミック粒子が熱の移動を抑えます。

床は基本的には断熱材を床下に張ります。

板状の発泡樹脂の断熱材を床材の裏に敷いて断熱化を図るのです。

屋根

屋根は次の2点が断熱の手段です。

屋根裏への断熱材設置

屋根材の裏側に断熱材を張ったり吹き付けたりする方法です。屋根そのものの断熱化が図れます。

塗装

塗装によっても断熱化が図れます。先に挙げた断熱塗料や遮熱塗料が主な手段です。


費用の目安

断熱材の施工

リフォーム費用の目安は次の通りです。

  • 窓:1ヵ所で8~30万円

  • 壁:平米あたり4千~3万円

  • 床:平米あたり4千~8千円

  • 屋根:平米あたり9千円~2万円


断熱材の種類と特徴

ここで断熱材の種類と特徴を紹介します。

断熱材は繊維系のもの、発泡プラスチック系のもの、現場で吹き付けるもの、そして塗装があります。

それぞれの特徴について紹介しましょう。

グラスウール

グラスウールはガラス繊維で作った断熱材で、外見は綿状です。

ガラスが原料なので燃えにくく、シロアリなどの被害も受けにくいです。また、コストパフォーマンスが良いなどのメリットがあります。

ちなみに、グラスウールはその外見からアスベストと同様に見られがちです。しかし、グラスウールとアスベストが完全に異なり、健康上の問題は起こしません。

ロックウール

ロックウールは鉱物系の素材の断熱材で、外観はグラスウールと同様に綿状です。

また、鉱物なので燃えにくく、シロアリ被害にも強いです。

ちなみに、ロックウールもグラスウールと同様にアスベストではあり、健康被害は受けません。

セルロースファイバー

セルロースファイバーは木質系の繊維を利用して作られた断熱材です。

天然素材なのですが、ホウ酸を含ませているのでシロアリ被害にも強くなっています。

ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォームは一般的には発泡スチロールと呼ばれている、ポリスチレン樹脂を発泡させた素材です。板状なので施工性も良く、屋根や床下などへの設置にも向きます。

ウレタンフォーム

ウレタンフォームは現場で吹き付けて作る発泡プラスチックの断熱材。他の断熱材と異なって吹き付けて作るので、隙間ができにくくて性能は高いです。

塗装

正確に言うならば断熱材ではないのですが、今では室内の気温の環境を改善する塗料があります。

代表的なのが断熱塗料と遮熱塗料です。

断熱塗料は前述のようにセラミックを混合させた素材で、温度の伝わりを抑制します。

また、遮熱塗料は太陽光の熱線部分を反射して居室内の気温上昇を抑えます。


断熱リフォームのメリット

ここで、断熱リフォームのメリットを再確認しましょう。

快適な居住空間になる

最初に挙げられるのは「快適な居住空間になる点」です。

夏場にしても冬場にしても、室内の気温が外気の影響を受けてしまったならば、居室の環境は劣悪になってしまいます。

その点、断熱リフォームがしてあれば、居室内の空気温が外気の温度に影響されにくくなります。つまり、断熱によって夏場の暑さや冬場の寒さが緩和され、居住空間が快適になるのです。

電力不足リスクの低減

断熱リフォームによって断熱性能が上がると電力不足リスクの回避に繋がります。

さて、省エネは環境問題の対策になるだけでなく、電力不足の対策として必要です。

電力不足が懸念される状況になった場合には計画停電の可能性があり、家電製品が使えなくなる状況が発生します。例えば、夏場の暑い時間にエアコンが使えなくなるのです。

その点、住宅の断熱化が進んでいれば使用する電力が少なくて済み、電力不足のリスク低減が可能なのです。

光熱費の削減

断熱リフォームは光熱費の削減に繋がります。

これはエアコンなどの使用量が減るためです。

特に、昨今は電気料金の値上げなどがありますので、断熱化による光熱費の削減は余計に大きくなると思われます。

健康的な家になる

断熱リフォームを行うと健康的な家となります。

これは家の中の気温の差が小さくなるためです。

例えば、リビングと浴室の気温が小さければ、浴室に行った時のヒートショックのリスクが小さくなります。ヒートショックは温度変化によって発生する健康被害。ひどい場合には生命にも関わり得るのです。


施工プロセス

断熱リフォームの大まかな流れは次の通りです。

  • 現場を確認して施主にリフォームの内容を説明

  • 現場の養生を行う

  • 屋根断熱の工事。断熱材を屋根裏に取り付けます。

  • 床下断熱の工事。断熱材を床下に取り付けます。

  • 壁の工事。状況に合わせて外断熱か内断熱かを選んで工事をします。

  • 窓の工事。内窓の設置かガラス交換かを選んで施工します。

なお、断熱リフォームで最も注意が必要なのは「隙間を作らないこと」です。隙間ができてしまうと断熱効果が著しく落ちてしまいます。隙間が発生しないように注意が必要なのです。


補助金や税制優遇

住宅のリフォームには補助金は税制優遇があります。上手に利用するならば費用を削減できます。

この内、注意すべきなのは申請のタイミングです。補助金の場合は年間の予算が決まっているため、タイミングを逃すと補助金を受けられなくなってしまいます。断熱リフォームの検討の際には早めに自治体に確認することが必要です。