環境に配慮しながら住まいの快適性を向上させるエコリフォームは、光熱費削減だけでなく、様々な補助金や税制優遇も受けられる賢い選択です。


この記事では、エコリフォームの基本から活用できる支援制度、成功のポイントまで解説します。

目次
  1. エコリフォームとは?省エネ・快適性を両立する家づくり
    1. 省エネと快適性の両立が魅力
    2. 健康リスクの軽減にも効果的
    3. 地球環境にも家計にもやさしい選択
  2. 光熱費が下がる!断熱・設備の見直しで得られる効果とは
    1. 断熱改修でエネルギーロスを防ぐ
    2. 高効率設備の導入で無駄なエネルギー消費を削減
  3. 意外と知らない!エコリフォームに使える補助金制度
    1. 国が推進する「住宅省エネキャンペーン」
    2. その他の注目すべき補助制度
    3. 自治体独自の補助金も要チェック
  4. 税制優遇も見逃せない!減税制度で得するリフォーム計画
    1. 住宅ローン減税(増改築リフォーム版)の活用
    2. リフォーム促進税制(投資型減税)
    3. 固定資産税の減額措置
  5. どんな人に向いている?エコリフォームが適している家庭の特徴
    1. 築年数が古い住宅に住んでいる場合
    2. 光熱費が高く家計の負担になっている場合
    3. 室内の暑さ寒さに不満がある・健康面が心配な場合
    4. これから長く住み続ける予定のマイホームの場合
    5. 環境意識が高い家庭・SDGsに関心がある人
  6. 後悔しないために!エコリフォームで押さえるべき注意点
    1. 補助金申請のタイミングと手続きを確認する
    2. 信頼できる施工業者を選ぶ
    3. リフォーム内容の優先順位を決め、効果と費用を見極める
    4. 必要書類や申告も忘れずに

エコリフォームとは?省エネ・快適性を両立する家づくり


エコリフォームとは、住まいの断熱性能や設備の省エネ性能を高めることで、快適な暮らしを実現しつつ環境負荷を軽減する改修工事です。少ないエネルギーで快適な室内環境を保てる住まいへと生まれ変わります。

省エネと快適性の両立が魅力

エコリフォームの最大の特長は、「環境にやさしい」と「暮らしやすい」を同時に叶えられる点です。壁・床・屋根に高性能断熱材を施工し、窓を高断熱タイプに交換することで、外気の影響を受けにくい住宅になります。冬は暖かさを保ち、夏は熱気を遮断し、季節を問わず快適な室温を維持できます。

健康リスクの軽減にも効果的

断熱性能が向上すると、室内の温度差が小さくなり、特に冬場に問題となるヒートショックのリスクが低下します。室温の安定は、住む人の健康を守る上でも重要な要素です。

地球環境にも家計にもやさしい選択

エコリフォームによって光熱費を抑えることができ、家計への負担軽減が期待できます。さらに、エネルギー使用量の削減によりCO₂排出量も減少し、地球温暖化防止に貢献します。持続可能な暮らしを実現するための、未来につながる住まいづくりといえるでしょう。


光熱費が下がる!断熱・設備の見直しで得られる効果とは


エコリフォームの大きなメリットは、光熱費の削減です。断熱の強化と高効率な設備の導入で、冷暖房や給湯のエネルギー消費を大幅に抑えられます。

断熱改修でエネルギーロスを防ぐ

壁・屋根・床・窓などの「外皮」に高性能断熱材を導入することで、室内の熱を逃がさず外気の影響も受けにくくなります。断熱性能の向上は、快適な室内環境の実現と省エネの両方に効果があります。

壁・天井・床の断熱強化

外気温の影響を受けやすい壁・天井・床には、高性能な断熱材を充填することで、熱の出入りを抑えることができます。場合によっては、断熱改修により年間の光熱費が数万円単位で削減できることもあります。

窓の断熱性向上が鍵

窓は熱の出入りが最も大きい場所です。特に、単層ガラスから複層ガラスやLow-Eガラス、樹脂サッシに交換すると熱損失を大幅に抑制できるでしょう。窓の断熱改修だけで光熱費が約半分になるケースもあり、費用対効果の高い改修方法です。

高効率設備の導入で無駄なエネルギー消費を削減

住宅のエネルギー消費の多くは給湯や冷暖房などの設備機器によるものです。これらを最新の高効率タイプに更新することで、快適さを保ちながらエネルギー量を大幅に削減できます。特に古い設備からの入れ替えは、大きな効果が期待できるでしょう。

給湯設備の省エネ化

家庭のエネルギー消費のうち、約3割を占めるのが給湯です。エコキュートなどの省エネ型給湯器は、空気中の熱を利用してお湯を沸かすため、電気やガスの使用量を抑えられます。お風呂の使用頻度が高い家庭や人数の多い家庭では、特に大きな効果が期待できます。

創エネ・蓄エネシステムの活用

太陽光発電システムを導入すれば、自宅で電力を生み出すことができ、余った電力は売電することも可能です。さらに蓄電池を併用すれば、発電した電力を夜間や停電時にも活用できます。初期費用はかかりますが、長期的には光熱費の大幅な削減につながるほか、災害時の備えとしても有効です。


意外と知らない!エコリフォームに使える補助金制度


エコリフォームを後押しするため、国や自治体では様々な補助金制度を設けています。これらを活用すれば、リフォーム費用の負担を大幅に軽減できます。

国が推進する「住宅省エネキャンペーン」

2050年カーボンニュートラル実現に向けて創設された「住宅省エネキャンペーン」は、住宅の省エネ化を強力に推進する国の施策です。このキャンペーンには以下のような支援事業が含まれています。

子育てエコホーム支援事業

子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、高い省エネ性能を持つ住宅へのリフォームを支援する制度です。リフォームの場合、1戸あたり最大60万円の補助が受けられます。高断熱浴槽や高性能窓、太陽光発電などの所定の省エネ改修工事が補助対象となっています。

先進的窓リノベ事業

断熱性能の高い窓への改修に特化した補助制度で、1戸あたり上限200万円という手厚い支援が特徴です。窓のガラス交換や内窓設置など、開口部の断熱リフォーム工事費用の約1/2(上限額まで)が補助されます。

給湯省エネ事業

高効率給湯器(エコキュート、エコジョーズ、ハイブリッド給湯器、家庭用燃料電池(エネファーム)など)の導入を支援する制度です。機器の設置費用に対して1台あたり最大13万円〜18万円の補助が出ます(機種によって異なります)。さらに、旧式の電気温水器やガス給湯器を撤去・処分する場合は、1台あたり5万円〜10万円の追加補助が受けられます。

その他の注目すべき補助制度

長期優良住宅化リフォーム推進事業

質の高い住宅ストックの形成を目的に、既存住宅の長寿命化や省エネ化改修を支援する制度です。所定の計画を事前に提案し採択される必要がありますが、補助額が大きいのが特徴です。断熱改修等を含む「評価基準型」リフォームで最大130万円、長期優良住宅認定を取得する「認定長期優良住宅型」では最大210万円が一戸当たり補助されます。

次世代省エネ建材の実証支援事業

真空断熱パネルなど最新の高性能建材を使った断熱リフォームに対する補助制度です。外張り断熱や内張り断熱工法、窓断熱改修などで補助額は最大300〜400万円にも達することがあります。先進的な断熱材で大規模改修を行う場合に検討したい事業です。

自治体独自の補助金も要チェック

国の補助金に加え、お住まいの地域によっては自治体独自の補助金制度も用意されていることがあります。例えば「〇〇市住宅省エネ改修補助金」といった名称で、窓の内窓設置に数万円、高効率設備交換に補助金が出るなどのメニューが設けられていることがあります。市区町村の公式サイトや住宅相談窓口で確認してみましょう。


税制優遇も見逃せない!減税制度で得するリフォーム計画


エコリフォームを行う際は、補助金だけでなく税制優遇措置も活用できます。リフォーム費用を補助金で抑え、さらに税金負担も軽減できれば、二重のメリットが得られます。

住宅ローン減税(増改築リフォーム版)の活用

エコリフォームを含む一定の増改築工事に対して、10年以上のローンを組んだ場合は住宅ローン減税が適用されます。年末ローン残高の一定割合を所得税から控除する制度で、リフォームの場合最大控除額は一般に140万円(控除期間10年)となっています。

住宅ローン減税を受けるには、工事内容が一定の省エネ性能向上基準を満たすことが条件です。また、増改築等工事証明書を入手し、確定申告時に提出する必要があります。

リフォーム促進税制(投資型減税)

ローンを利用しない場合でも、一括で工事費用の一部を所得税から控除できる制度があります。一定の省エネリフォーム工事を行った場合、工事費用の10%相当額をその年の所得税から控除できます。

省エネ改修の場合、控除対象となる工事費用の上限は250〜350万円(改修内容により異なる)で、最大控除額は25〜35万円程度になります。控除は1年限りですが、ローンを組まない方でもメリットを享受できる点が魅力です。

固定資産税の減額措置

一定の省エネ改修工事を行った住宅については、翌年度分の固定資産税が減額される優遇措置もあります。省エネリフォームの場合、工事後最初の年度の固定資産税額が1/3減額(戸建て最大120㎡相当部分が対象)されます。

例えば年間9万円の税額なら3万円減る計算となり、見逃せないメリットです。ただし適用には住宅が一定の築年数要件(1986年以前から所在等)を満たす必要があります。


どんな人に向いている?エコリフォームが適している家庭の特徴


エコリフォームはすべての住宅で効果がありますが、以下のような特徴がある家庭では特に大きなメリットが得られるでしょう。

築年数が古い住宅に住んでいる場合

1980〜90年代以前の住宅は現代の省エネ基準に比べ断熱性能が低く、冷暖房に多くのエネルギーを費やします。こうした住宅では、断熱リフォームによる住環境の向上と光熱費削減効果が期待できるでしょう。

光熱費が高く家計の負担になっている場合

電気やガス料金の値上がりが続く中、光熱費が家計を圧迫している家庭にもエコリフォームは効果的です。設備更新や断熱改修によって、冷暖房や給湯にかかる費用を大幅に削減できます。将来のさらなる光熱費高騰にも備えられるため、「少しでも節約したい」と考える家庭に適しています。

室内の暑さ寒さに不満がある・健康面が心配な場合

冬に底冷えする、夏は2階が蒸し風呂状態といった悩みを抱える家庭にもエコリフォームは有効です。断熱性が低い住宅は部屋間の温度差が大きく、ヒートショックの危険やカビ・結露による健康被害のリスクもあります。特に高齢者がいる家庭では、安定した室温と良好な空気環境を作ることで健康リスクを減らせます。

これから長く住み続ける予定のマイホームの場合

リフォームには一定の初期費用がかかりますが、長く住み続けるほどその投資効果は高まります。特に、これから20年以上暮らす予定の方は、省エネリフォームによる光熱費の削減効果が年々積み重なり、大きな経済的メリットにつながります。

一方で、数年以内に転居を予定している場合は、LED照明への交換など、低コストで効果のある簡易な省エネ対策から始めることをおすすめします。

環境意識が高い家庭・SDGsに関心がある人

「地球環境に優しい暮らし」を目指す人にもエコリフォームはおすすめです。省エネリフォームはCO₂排出削減に貢献し、太陽光発電などの再生可能エネルギー利用はSDGsの実践にもつながります。環境負荷低減を家づくりのテーマにしたい人にとって有意義な選択肢です。


後悔しないために!エコリフォームで押さえるべき注意点


エコリフォームを成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

補助金申請のタイミングと手続きを確認する

補助金は基本的に工事着工前の申請が必要です。中には工事契約前に申請が求められるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。また、「指定期日までに工事完了」といった条件付きの制度も多く、スケジュール管理が重要です。さらに、補助金は予算が無くなり次第終了するのが一般的なので、早めの情報収集と申請準備を心がけましょう。

信頼できる施工業者を選ぶ

エコリフォームには専門的な知識と技術が求められ、補助金を活用する際は煩雑な手続きが発生することもあります。補助金対応の実績が豊富な業者を選び、サポート体制や過去の施工事例、見積もりの明確さをしっかり確認しましょう。特に国の補助制度では、「登録事業者」でなければ申請できないことがあるため、業者選びの段階で確認が必要です。

リフォーム内容の優先順位を決め、効果と費用を見極める

断熱改修、窓の交換、設備の更新など、エコリフォームの内容は多岐にわたります。自宅の状況や困りごとに応じて、優先順位を明確にして取り組むのが効果的です。たとえば、「窓の隙間風が気になる」なら窓リフォームを、「冬場の寒さがつらい」なら床や壁の断熱強化を重視するなど、目的に合わせた対策を検討しましょう。補助金対象の工事は積極的に活用すると、費用対効果も高まります。

必要書類や申告も忘れずに

補助金の受け取りには、工事完了後の報告書提出が必要です。また、減税措置を受けるためには、工事証明書や確定申告といった手続きも欠かせません。書類の提出期限や必要な書類を事前に把握し、漏れなく対応することが大切です。

以上のポイントを押さえておけば、「補助金を申請し忘れて損した」「思ったほど効果がなかった」といった後悔を避けられます。しっかりと計画を立てて、快適で経済的なエコリフォームを実現しましょう。