日本の夏は年々厳しさを増しており、室内でも熱中症になるケースが増えています。「家の中にいても暑くて過ごしにくい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

夏を快適に乗り切る住まいをつくるには、単にエアコンに頼るのではなく、「遮熱」「断熱」「通風」という3つのポイントをバランス良く取り入れることが大切です。


この記事では、リフォーム・リノベーションのプロの立場から、“夏に強い家”を実現するための具体的な対策とアイデアを分かりやすく紹介します。過ごしやすく省エネな住まいを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

夏の家が暑くなる理由とは?ー遮熱・断熱・通風の基本

夏場の室内が暑くなる主な理由は、「屋根や壁、窓からの日射熱の侵入」と「室内にこもった熱がうまく逃げないこと」です。


屋根や天井は直射日光を受けやすく、断熱が不十分だと屋根裏の温度が40~60℃近くまで上がり、その熱が夜になってもじわじわと降りてくるため、寝苦しさの原因になることも。

また、窓は特に日射の影響を受けやすい箇所で、単板ガラスやアルミサッシの窓では熱を簡単に通してしまいます。加えて、室内にこもった熱気や電化製品の発熱も体感温度を上げる要因となります。


こうした問題への根本的な対策として、「遮熱」「断熱」「通風」を組み合わせることが重要です。遮熱は外からの熱を遮る工夫、断熱は外気温の影響を受けにくくする対策、通風は室内にこもる熱を効率良く逃がすための仕組みです。

それぞれの特徴と役割を知ることで、より快適な住まいづくりが可能になるでしょう。

 

【遮熱編】日射熱を効果的にブロック!


夏の暑さ対策において、まず注目したいのが「遮熱」です。日射を効果的に遮れば、室内への熱の侵入を大幅に減らすことができます。

まずは“窓”を見直そう

窓は家の中でも最も熱が出入りしやすく、夏場は約7割の熱が窓から侵入するといわれています。特に南側や西側の大きな窓は直射日光を受けやすいため、以下の対策を検討してみましょう。

 

  • 遮熱ガラスやLow-E複層ガラスの採用

    特殊なコーティングが施されたガラスは、太陽光の熱線を大幅にカットします。

 

  • 外付けブラインドやシェードの活用

    窓の外側で日射を遮ることで、窓ガラス自体の温度上昇を抑え、室内に伝わる熱を大きく減らせます。

 

  • すだれ・よしず・グリーンカーテンの併用

    昔ながらのアイテムや、植物で作るグリーンカーテンを利用することで、見た目にも涼やかに日差しをカットできます。

屋根・外壁の遮熱リフォーム

屋根や外壁も、外からの熱の大きな侵入経路です。近年は、遮熱塗料や遮熱シートを用いたリフォームが注目されています。

 

  • 遮熱塗料の塗布

    太陽光の赤外線を反射し、屋根・外壁の表面温度の上昇を抑制します。

 

  • 遮熱シートの施工

    屋根や外壁の下地に遮熱シートを取り付けることで、熱の伝わりを抑えられます。

 

【断熱編】外の暑さを室内に入れないコツ


遮熱とあわせて「断熱」対策も欠かせません。断熱性が低い家では、窓や壁・天井を通じて外の熱気が室内に伝わり、エアコンの効きも悪くなります。

 住まい全体の断熱リフォーム

  • 断熱材の充填

    壁や天井、床下に高性能な断熱材をしっかり施工することで、外気温の影響を大きく抑えられます。熱伝導率の低い断熱材を選ぶのがポイントです。

 

  • 断熱窓への交換

    従来の単板ガラス・アルミサッシから、複層ガラスやLow-Eガラス、樹脂サッシの断熱窓へ交換すれば、熱の出入りを大幅に減らせます。

 

  • 玄関ドアの断熱化

    熱の出入りが多い玄関も、断熱性の高いドアに交換することで、家全体の快適性がアップします。

 

気密性アップでさらに高断熱化

高性能な断熱材や窓を導入しても、家に隙間が多いと効果が半減します。特に築年数が経過した家は要注意です。

 

  • 気密処理

    室内側の壁下地に「防湿気密シート」を張ることで、既存住宅でも高い気密性を確保できます。スケルトンリノベーションやフルリフォームの際におすすめの方法です。

 

  • 内窓(二重窓)の設置

    既存の窓の内側にもう1枚窓を設置することで、断熱・気密性が同時にアップします。

 

【通風編】自然の風で体感温度ダウン


遮熱・断熱で熱の侵入を防いだら、次は室内にこもった熱を効果的に逃がす「通風」設計が大切です。風の流れを上手に作ることで、体感温度を下げ、省エネにもつなげられます。

通風設計のポイント

  • 窓の配置と大きさ

    対角線上に窓を設けて風が家の中を抜けるように設計することで、通気性が大幅にアップします。

 

  • 吹き抜けや高窓の活用

    上昇気流を利用して暖かい空気を外へ逃がすために、吹き抜けや高窓を設置すると効果的です。

 

  • 引き違い窓や縦すべり出し窓の使い分け

    風向きや設置場所に応じて最適な窓を選べば、自然な通気を促せます。

換気システム・シーリングファンの活用

  • 24時間換気システム

    家全体の空気を入れ替えて、熱のこもりを防ぎます。決して停止させず、常時稼働させましょう。

 

  • シーリングファン

    空気を循環させ、室温ムラを抑える効果があります。インテリアのアクセントとしても魅力的です。 

リノベーションで“夏に強い家”に変えるポイント

「夏の暑さに強い家」は、新築だけでなく、既存住宅のリノベーションでも十分に実現できます。しかし、「どこから手をつければいいのか」「自宅に合う対策は何か」など、迷う方も多いでしょう。

ここでは、リノベーション計画のポイントを解説します。

住まいの暑さ対策、どこから手をつけるべき?

まずは「現状の断熱・遮熱・通風性能」を把握することがスタートです。築年数や家の構造によって、効果的な対策は異なります。

 

  • 築年数が経った古い家

    断熱材が入っていない、または劣化しているケースが多いので、断熱材の追加や窓のリフォームが効果的です。

 

  • 窓が大きい家・日当たりが良い家

    遮熱ガラスや外付けシェードなど、窓周りのリフォームから始めるのがおすすめです。

 

  • 風通しが悪い家

    窓の増設や配置の見直し、換気システムの導入がポイントです。

 

また、「どの部屋を優先的に快適にしたいか」を明確にすると、リフォーム内容も具体的になります。リビングや寝室など長く過ごす空間から優先して対策すると、快適性の向上や、エアコン使用による電気代の削減効果などを実感しやすいでしょう。

補助金・減税制度を活用しよう

近年は、省エネ性能を高めるリフォームに対して、国や自治体からの補助金や減税などの支援制度が充実しています。上手に利用して、工事費用の負担を抑えましょう。

例えば、「子育てグリーン住宅支援事業」や「先進的窓リノベ事業」では、断熱窓や高効率設備の導入、断熱改修などが支援対象です。また、市区町村ごとのリフォーム補助金では、遮熱や断熱改修、太陽光発電設備の設置などが助成の対象になるケースがあります。

さらに、「住宅ローン減税」を利用すれば、リフォーム費用に応じて所得税や固定資産税の控除を受けられる場合も。

これらの制度は、申請期限や予算上限が定められているため、早めに最新情報を集め、リフォーム会社と相談しながら計画的に進めましょう。

 

まとめ|夏の快適な住まいは「遮熱×断熱×通風」がカギ!

年々厳しさを増す日本の夏を健康的かつ快適に乗り切るためには、「遮熱」「断熱」「通風」の三本柱で住まいを見直すことが不可欠です。熱の出入り口となる窓や屋根、壁をしっかり対策し、自然の風や換気システムを組み合わせることで、光熱費の節約や室内での熱中症リスクの軽減にもつなげられます。

住宅の状況やライフスタイルに合わせて最適なプランを立て、長く快適に暮らせる住まいを手に入れましょう。

 

大和ハウスウッドリフォームでは、省エネ・快適性能を高める各種リノベーションのご相談を承っています。専門スタッフが現地調査から最適なプラン提案、補助金申請のサポートまで幅広く対応いたします。夏の暑さにお悩みの方、これからの住まいづくりをお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

※本記事の内容は2025年6月時点の情報です。最新の制度や詳細は公式サイト等でご確認ください。