中古リノベーション向きの戸建て物件選びのポイントと注意点を解説
中古戸建てを購入したうえでリノベーションする「中古リノベーション」が、理想の住まいを叶える方法として人気を集めています。新築よりも費用を抑えつつ、自由度の高い設計が可能な中古リノベーションは魅力的ですが、その成功は「物件選び」にかかっているといっても過言ではありません。
この記事では、リノベーション向きの中古戸建てを選ぶための5つのポイントと、契約前に必ず確認しておきたい注意点を分かりやすく解説します。
中古リノベーションの戸建て物件選びのポイント5選

中古リノベーションを前提に戸建てを購入する場合、どのような点に注目して物件を選べばよいのでしょうか。ここでは、中古リノベーション向きの物件選びで重要な5つのポイントを紹介します。
(1)現行の耐震基準を満たす物件を選ぶ
リノベーションは既存の建物の構造を活かして行うため、基礎や骨組みといった構造部分を大きく変更することは困難です。そのため、物件が現行の耐震基準を満たしているかどうかはとても重要な要素といえます。
1981年6月1日以降の建築確認で適用された「新耐震基準」を満たしていることは、最低限クリアすべき条件です。木造戸建ての場合は、2000年6月に施行された「2000年基準」を満たしているかも確認しておきましょう。
もし気に入った物件の耐震性に不安が残る場合は、専門家による耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強工事を行うことをおすすめします。大和ハウスウッドリフォームでは、社内のプロによる無料耐震診断も受け付けています。診断結果をもとに最適な耐震補強プランを作成し、安全性を確保しながらリノベーションを進めることもできるので、ぜひご検討ください。
(2)木造軸組工法の物件を選ぶ
リノベーションで間取り変更を希望する場合、建物の構造がその自由度を大きく左右します。構造は後から変えられないため、物件選びの段階で慎重に見極める必要があります。
木造住宅はリノベーション向きといわれますが、なかでも特におすすめなのが「木造軸組工法(在来工法)」で建てられた物件です。日本で伝統的に用いられてきたこの工法は、柱と梁を組み合わせた枠で建物を支える構造のため、壁で支える工法に比べて取り払える壁が多く、間取り変更の自由度が高いでしょう。
反対に、同じ木造でも「2×4(ツーバイフォー)工法」で建てられた物件は注意が必要です。この工法は、壁や床といった「面」で建物を支えているため、構造上取り払えない耐力壁が多く、間取りの変更に制約が生じる可能性があります。
(3)築20〜25年前後の物件を選ぶ
耐震性の高い2000年基準を満たす木造住宅は、必然的に築年数が浅くなります。しかし、築浅物件は価格が高くなる傾向にあり、物件購入に予算をかけすぎると、肝心なリノベーションに回せる費用が少なくなってしまいます。結果として、トータルコストが新築とさほど変わらない金額になってしまうケースもあるでしょう。
そこでおすすめなのが、築20〜25年前後の中古戸建てです。一般的に、木造住宅の資産価値は築20年を過ぎたあたりから下落幅が緩やかになる傾向にあります。法定耐用年数である22年を超えると、建物の価値はほぼゼロと評価され、その後の価格は下がりにくくなるのです。
築20〜25年前後の物件であれば、耐震基準を満たしつつ、将来にわたって資産価値が下がりにくい、コストパフォーマンスのよい住まいを見つけやすいといえます。
(4)リフォームやリノベーションをしていない物件を選ぶ
中古住宅市場には、売主が事前にリフォームを実施した「リフォーム済み物件」も多く出回っています。一見するときれいで魅力的に映りますが、リノベーションを前提に物件を探しているのであれば、こうした物件は避けたほうがよいでしょう。
なぜなら、リフォーム済み物件は、工事にかかった費用が物件価格に上乗せされるため、周辺の相場よりも割高になっているケースがほとんどだからです。これから自分の好みに合わせてリノベーションを行うのであれば、内装が古いままの物件を選ぶほうが、トータルコストを抑えることにつながります。
(5)生活利便性や周辺環境にも注目して選ぶ
物件選びにおいては、リノベーションで変えられない部分にもしっかりと目を向けることが大切です。特に、日々の暮らしの快適さを左右する立地条件は、欠かせないチェックポイントといえるでしょう。例えば、次のようなポイントはしっかり確認しておきたいところです。
駅からの距離
スーパーや病院、学校などの生活関連施設の充実度
日当たりや風通し
騒音や振動、近隣の匂いの有無
これらの点は、現地を訪れてみないと実態が分かりにくいものです。時間帯や曜日を変えて何度か現地に足を運び、自分の目で確かめることをおすすめします。
中古リノベーションの戸建て物件選びにおける注意点

リノベーション向きの物件選びでは、建物の状態以外にも注意すべきポイントがあります。思わぬトラブルや追加費用で後悔しないため、契約前に確認しておきたい注意点を紹介しましょう。
物件価格とリノベーション工事費の予算配分を検討する
中古戸建てのリノベーションにかかる費用は、「物件購入費用」と「リノベーション工事費」の2つで構成されます。この2つの費用のバランスを考えることが、予算計画の重要なポイントです。
例えば、格安の築古物件を見つけて物件購入費用を抑えられても、建物の劣化が激しく、耐震補強や断熱改修などで多額の工事費がかかってしまっては本末転倒といえます。基本的に、物件価格が低い築古物件ほど工事費は高くなる傾向にあるため、トータルコストを意識し、コストパフォーマンスのよい物件を選ぶよう心がけましょう。
境界の確定状況や近隣トラブルがないか確認する
戸建て物件を購入するにあたって忘れてはならないのが、隣地境界の確定状況のチェックです。古い物件では境界が曖昧になっていることもあり、将来、隣地の所有者とトラブルに発展する可能性があります。
敷地の境界を確定させるための「確定測量」は、売主の負担で実施するのが一般的です。もし境界が確定していない場合は、物件の引き渡し前に売主へ確定測量の実施を依頼しましょう。
また、近隣の騒音問題など、住民間のトラブルがないかどうかも不動産会社の担当者などへ事前に確認しておくと、より安心して新生活をスタートできます。
災害リスクや地盤の強さに注意する
どれだけ快適な住まいにリノベーションしても、自然災害によって暮らしが脅かされては意味がありません。物件選びの際には、その土地の災害リスクを必ず確認しておきましょう。
各自治体が公表しているハザードマップを見れば、洪水による浸水や土砂災害などの危険性がどれくらいあるのかをチェックできます。
また、地盤の強さも見逃せないポイントです。軟弱地盤の上に立つ建物は、地震の揺れが伝わりやすく、より高い耐震性が求められます。地盤が弱いと判明した場合、地盤改良工事で追加費用が発生する可能性もあるため、過去の地盤調査の実施有無などをあわせて確認しておくと安心です。
余裕のある予算組みを心がける
中古戸建ての物件調査では、壁の内部や床下、配管の劣化状況といった、目に見えない部分まですべてを詳細にチェックすることはできません。そのため、工事で壁や床を解体して初めて、柱の腐食やシロアリ被害といった不具合が発覚することも珍しくないのです。
こうした予期せぬ劣化箇所を補修するために、当初の見積もりにはなかった追加費用がかかる可能性もあります。しかし、予算がギリギリの状態だと、こうした事態に十分対応できなくなってしまいます。中古リノベーションでは、万一の事態に備え、一定の予備費を予算に盛り込んでおくなど、余裕のある予算計画を立てるようにしましょう。
まとめ
中古戸建てのリノベーションは、物件選びが成功を大きく左右します。建物の耐震性や構造、築年数といった、建物本体の強度やリノベーションの自由度に関わるポイントを押さえつつ、予算配分や災害リスクといった注意点も踏まえて、総合的に判断することが大切です。
この記事で紹介したポイントを参考に、専門家とも相談しながら、満足のいく物件を見つけましょう。後悔のない物件選びが中古リノベーションの成功につながります。
関連記事
人気の事例こだわりタグ: