「かまち」という言葉を聞いたことはありますか?おそらく多くの方は、玄関にある段差の木材を思い浮かべるでしょう。実は、かまちは玄関だけでなく、和室や階段など、家の中のさまざまな場所に使われている重要な建材です。しかし、「何のためにあるの?」「どんな種類があるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、年間数多くのリフォームを手掛ける大和ハウスウッドリフォームが、かまちの役割から種類、素材、そして後悔しない選び方までを徹底的に解説します。この記事を読んで、かまちの重要性と選び方のポイントを理解し、あなたの住まいづくりに活かしてください。

 

かまちとは?


かまちとは、床や畳などの段差部分に設けられる横木のことです。段差を形成し、安全に昇り降りする役割を果たすだけでなく、段差の角を保護したり、空間のアクセントとしてデザイン性を高めたりする役割も持っています。特に、玄関の上がり框は、土間と室内を区切る境界線として、家の顔とも言える重要な部分です。

 

かまちの種類


かまちは、使われる場所によって呼び名や役割が異なります。それぞれの特徴を理解することで、より快適で美しい住まいづくりに活かせます。代表的な5つの種類を見ていきましょう。

上がり框

上がり框は、玄関の土間とホール(廊下)の境目にある段差に取り付けられるかまちです。単に段差を形成するだけでなく、靴を脱ぎ履きする際に腰掛けたり、段差を安全に昇り降りしたりする役割があります。

 

また、玄関は家の顔とも言える部分であり、上がり框のデザインが玄関全体の印象を左右します。そのため、素材やデザインにこだわって選ばれることが多いです。最近では、框と床材を同じ色や素材で統一して、空間を広く見せるデザインも人気があります。

床框

床框は、床の間と和室の境目にあるかまちです。床の間を一段高くすることで、その空間をより格式高く、特別な場所として演出します。書院造りなど伝統的な和室には欠かせない要素であり、花や掛け軸を飾る床の間を、床框が美しく引き立てます。

 

床の間は、客間として使われることが多いため、床框は部屋全体の雰囲気を決める重要な役割を担います。

縁框

縁框は、縁側と部屋の境目にあるかまちです。縁側の床板と室内の床材を美しく繋ぎ合わせ、段差を形成します。

 

縁側は、外と中をつなぐ中間的な空間であるため、縁框は内外の境界を曖昧にし、開放感と一体感を生み出す役割も果たします。縁側と室内を同じ素材で統一することで、より広々とした空間を演出できます。 

階段框

階段框は、階段の一段目に使われるかまちです。階段の始まりを明確にし、デザイン性を高める役割があります。

 

また、階段の安全性を確保する上でも重要な部分であり、滑りにくい素材や加工が施されたものが選ばれることが多いです。段鼻を強調する色や素材を選ぶことで、視覚的に段差をわかりやすくする効果もあります。

堀りごたつ框

堀りごたつ框は、堀りごたつと部屋の床の境目にあるかまちです。堀りごたつのへりを保護し、座った時の足元の安定感を高めます。

 

足を下ろして座る堀りごたつにとって、框は身体を支える上で重要な役割を担います。素材やデザインを部屋の雰囲気に合わせることで、一体感のある空間をつくれます。

 

かまちの素材


かまちは、様々な素材で作られています。素材によって見た目や機能性が大きく異なるため、用途や好みに合わせて選びましょう。

 

素材

特徴

木材

杉、桧、チーク、オーク、ウォールナットなど、様々な種類がある。温かみのある風合いが特徴で、木目や色合いによって雰囲気が大きく変わる。無垢材のかまちは、使い込むほどに味わいが増し、愛着が湧く建材。

石材

御影石や大理石などが使われることがあります。重厚感と高級感があり、耐久性にも優れている。水に強く、汚れが染み込みにくいため、玄関などの水濡れしやすい場所にも適している。

金属

アルミやステンレスなどが使われる。シャープでモダンな雰囲気を演出でき、スタイリッシュな空間にしたい場合に適している。

複合素材

木材と樹脂を混ぜた素材など、耐久性やメンテナンス性を高めた素材もある。天然素材の風合いを保ちながら、手入れがしやすいのがメリット。

 

上記のように様々な素材があるので、好みや使う場所に合わせて選びましょう。

 

かまち選びで失敗しないためには?


かまちは一度設置すると交換が難しい建材です。後悔しないために、以下のポイントを押さえておきましょう。

インテリアと調和するものを選ぶ

かまちは、床材や建具、家具など、周囲のインテリアと調和するものを選ぶことが大切です。色や素材のトーンを合わせることで、空間に統一感が生まれます。特に、上がり框は玄関からリビングまでつながる空間の顔となるため、統一感を意識して選びましょう。

 

例えば、床が明るい木目調であれば、同じトーンの木材を選ぶことで、空間に自然な一体感が生まれます。一方、あえて床と異なる色や素材を選び、空間のアクセントとして際立たせる方法もあります。目指す空間の雰囲気を明確にし、それに合ったかまちを選びましょう。

耐久性とメンテナンス性を確認する

玄関の上がり框など、頻繁に人が行き来する場所のかまちは、耐久性が高い素材を選びましょう。例えば、無垢材は温かみがありますが、傷がつきやすいというデメリットもあります。一方、石材や複合素材は耐久性に優れ、傷がつきにくいのが特徴です。

 

また、雨水や土で汚れやすい場所では、傷や汚れがつきにくい、メンテナンス性の良い素材を選ぶことが重要です。掃除のしやすさも考慮し、日々の手入れが苦にならない素材を選びましょう。

予算を確かめる

かまちは、素材や加工方法によって価格が大きく異なります。無垢材や石材は高価になる傾向があるため、予算内で理想を叶えられるよう、事前に業者に相談し、複数の素材で費用を比較検討しましょう。

 

また、かまちの素材だけでなく、施工費用も考慮に入れる必要があります。業者に「この予算でできることは何ですか?」と具体的に質問することで、現実的なプランを提案してもらいやすくなります。

 

まとめ


この記事では、普段あまり意識することのないかまちの役割や種類、素材、そして選び方のポイントについて解説しました。かまちは、単なる段差の解消材ではなく、住まいのデザイン性や機能性を高める重要な建材です。玄関の上がり框一つとっても、素材やデザインを変えるだけで、家の印象は大きく変わります。また、和室の床框や縁側の縁框など、それぞれの場所で異なる役割を担い、空間に深みと表情を与えています。

 

かまちは一度設置すると交換が難しいため、後悔のないよう、事前にしっかりと計画を立てることが大切です。あなたのライフスタイルや好みに合わせて、素材やデザインを選び、日々の暮らしがより豊かになる住まいづくりを目指しましょう。

 

大和ハウスウッドリフォームでは、お客様一人ひとりの理想の住まいを実現するため、専門的な知識と豊富な経験を持つスタッフが、きめ細やかなサポートを提供しています。かまち選びやリフォームに関するご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。