古くなった家は、解体して新たに新築を建てる方法と、使用出来る部分は残してリフ

ォームする方法があります。

どちらもメリット、デメリットがありますが、リフォームには長年住んできた愛着や

思い出を残しつつ住み続けられるメリットがあります。

そこで今回の記事では、弊社で手掛けた築 60 年の一戸建てまるごとリフォームの概要

を詳しく紹介していきます。

リフォーム工事の流れ


今回のリフォーム工事では、構造材である柱や梁などの骨組みは残し、その他の部分は全て解体した後に、リフォーム工事としてさまざまな工事を行っていきます。

一般的な流れとしては以下のとおりです。

・解体工事

・電気、水道先行配線配管工事

・木工事

・外壁工事

・内装工事

・住宅設備工事

・内装仕上げ工事

上記のような流れで工事は進んでいきます。

リフォーム工事では、解体してみないとわからない部分があるため、予定通りに進まないこともよくあります。

構造体などが劣化しており、補強が必要であったりすることもあるため、余裕をもった工事進行が必要です。


解体工事スタート


築60年の家ということで、内部は最近では珍しい柱が露出した「真壁」のお家です。

昔のお家はこの真壁のお家が多く、漆喰などの塗り壁に、床は畳が主流でした。

現在とは違う工法や作りとなっているお家を見ることは中々見る機会がないため、興味深いものです。

解体がスタートしていく、随所に昔ながらの工法や材料が見られるようになってきます。

最近では金物などで接合されることが多い、柱や梁の部分は「継手」と呼ばれる金物を使用せずに材料同士をつないでいたり、2階の天井部分などには、「丸太梁」と呼ばれる梁がかけられていたりと、異なる点が確認できます。

解体時には、残すべき材料や処分しないものを明確にしておき、誤って壊してしまったり、処分したりすることがないように注意が必要です。

解体工事の際には、工事中のホコリや騒音によって近隣トラブルの原因となる場合もあるため、近隣への配慮もしっかりと行って工事を進める必要があります。


解体工事完了から基礎補強工事


解体工事が完了したら、基礎工事や補強工事の方へ進んでいきます。

基礎工事は新たに、土台を設置するために必要な工事です。

床掘といって土を掘って、鉄筋を配置し、型枠を組んで、その中にコンクリートを流し込んでいきます。

土台と基礎を緊結するための、アンカーボルトの設置も忘れず行います。

解体後に発見された土台などの劣化部分の補強や材料の差し替えなどの対応を行っていき、それに合わせて基礎の追加なども実施していきます。

基礎は家の荷重を支える重要な役割を果たす部分では、現在の家に比べて、地震に対しての強度が弱い昔の家であるため、こういった部分でしっかりと補強などを行い、工事後も安心して住める家にすることが重要です。


いよいよ木工事


基礎工事が完了したらいよいよ、大工さんが行う木工事に入っていきます。

木工事はリフォーム工事の重要な役割を果たす部分です。

・新しい土台、柱、梁の設置

建築主と決めた設計図面をもとに、新たに柱や梁を設置していきます。

事前に材料を注文しておき、現場に搬入されたものを使用していきます。

使う場所によって樹種も変わってくるので、確認しながら設置する必要があります。

・構造計算のうえ必要な箇所へ補強工事

さらに構造計算を行ったうえで、追加で必要な箇所に柱や梁を設置していきます。

柱、梁だけでなく、筋交いと呼ばれる斜めの材料や、地震の力を軽減させる制振装置などさまざまな方法で建築物の補強を実施します。

・各階の床を設置

構造材の設置、補強工事が完了したら、床の施工を行います。

土台、大引き、根太と呼ばれる材料の上に、構造用合板を貼って、床下地を施工していきます。

この床下地の上に仕上げのフローリングなどを施工していき仕上げとなっていきます。

・サッシの取付

今回はサッシの方も撤去したため、新しいサッシの取付についても、木工事の際に行います。

サッシは断熱性にも影響を与える重要な部分であり、日の光を効率よく入れるための役割も果たします。

さらに見た目のデザインや換気などの役割を果たす重要なものであるため、適切な箇所に適切な数を設置することが求められます。

サッシの取付と平行して、外壁の下地工事も進んでいきます。

外部に面する部分であるため、適切な防水処理も行い、雨水の進入を防いでいきます。

・断熱工事

サッシ、外部の工事が完了したら、内部の断熱工事や内装建材の施工に入っていきます。

断熱工事は家の快適性に影響を与える大事な工事であり、丁寧な施工が求められます。

今回使用しているグラスウールという断熱材は、適切な施工を行わなければ、断熱性能が落ちてしまいます。

カットした部分などに隙間ができないように、気密テープをしっかりと貼って断熱工事を行っています。

断熱材の施工に続いて、窓枠の設置や配線、配管工事の方も進めていきます。

断熱材や配線、配管が完了したら、壁や天井を石膏ボードで蓋をしていく形となるため、設計図にもとづいて適切な位置に設置を行います。

内部の工事だけでなく、外部の工事も進んでいきます。

外壁の下地工事完了後は、透湿防水シートと呼ばれる、湿気は逃がして、水は侵入させないシートを外壁全面に施工していきます。

このうえに外壁の仕上げ材料を施工していく流れとなっていきます。

・壁、天井の設置

壁や天井は、石膏ボードを貼ってそのうえに仕上げのクロスや塗り壁で仕上げいきます。

そのため、木工事では石膏ボードを貼るための下地の施工を行っていきます。

リフォームの場合は、見た目にはわかりづらいですが、水平、垂直が出ていない場合が多いです。

そのため、このタイミングで壁が斜めにならないように調整して、天井が水平になるように調整しながら下地組みを行っていきます。

築60年も経過すると劣化だけでなく、ゆがみも発生してしまうため、出来る限りの調整を行い、適切な状態に直していきます。

これらの工事と並行して行う工事として、ユニットバスや階段の設置も行っていきます。

ユニットバスは、現場で組み立てるユニット型のお風呂です。

壁や天井が仕上がってしまうと施工が困難になってしまうため、タイミングをみながら施工を行う必要があります。

さらに階段の工事についてですが、階段は側板と呼ばれる壁に取り付ける部材を設置し、そのあとに踏板と呼ばれる、階段の歩く部分を設置します。

その後、蹴込板を設置していく流れで施工していきます。

階段の設置が完了すると、2階への移動が容易になり、作業効率が向上するため、施工可能なタイミングになったら早め設置を行います。

上記のような形で木工事を中心にさまざまな工事が行われていきます。

ここでの工事は完成すると見えなくなる部分が多いですが、家の性能や強度などに影響を与える重要な部分であるため、確かな施工が必要となってくる重要な部分といえます。


まとめ

今回の記事では、築60年の一戸建てまるごとリフォームの概要について解説していきました。

今回の工事は骨組みのみを残した、スケルトン状態にしてからのリフォーム工事であり、規模の大きなリフォーム工事です。

新築での工事と同様の流れの中に、リフォームならではの、解体工事や補強工事の必要性があり、難易度の高いものとなっています。

次回は木工事以降の工事部分についてまた解説していきますので、興味のある方はぜひみてください。