住宅省エネキャンペーン2025の内容とは?4つの施策を徹底解説
2024年11月29日、国土交通省・経済産業省・環境省は3省連携による「住宅省エネキャンペーン2025」を実施すると発表しました。2024年も実施されたキャンペーンですが、一部内容が変更になっている部分もあります。
そこで今回は、現段階で判明している住宅省エネキャンペーン2025の内容を紹介します。2025年に住宅の新築やリフォームを検討している方は必見です。
住宅省エネキャンペーン2025とは?
住宅省エネキャンペーン2025とは、国土交通省・経済産業省・環境省が連携して実施する4つの事業の総称です。いずれの事業も、住宅や住宅設備の省エネ化の取り組みを支援することにより、省エネ性能に優れた住宅の普及を促進する目的で行われます。下の表は、4つの事業の概要を簡単にまとめたものです。
住宅省エネキャンペーン2025の概要
事業名称 | 内容 | 補助額 |
---|---|---|
(1)子育てグリーン住宅支援事業 | 高い省エネ性能を誇る「GX志向型住宅」の新築、子育て世帯等による長期優良住宅やZEH水準住宅の新築にかかる費用を支援 | 最大160万円/戸 |
(2)先進的窓リノベ2025事業 | 高断熱窓へのリフォーム工事にかかる費用の一部を定額補助 | 上限200万円 |
(3)給湯省エネ2025事業 | 高効率給湯器(エコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファーム)の導入にかかる費用を補助 | 10〜20万円/台 ※追加措置あり |
(4)賃貸集合給湯省エネ2025事業 | 既存賃貸集合住宅に省エネ型給湯器(エコジョーズなど)を導入する場合にかかる費用を補助 | 最大7万円/台 ※追加措置あり |
いずれも今後内容が変更される可能性はありますが、2024年12月末時点での最新情報を紹介します。
(出典)国土交通省「住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!
(1)子育てグリーン住宅支援事業
2025年に新設される「子育てグリーン住宅支援事業」は、リフォーム・新築どちらでも利用できる事業となっています。それぞれの内容を表にまとめると次のとおりです。
既存住宅のリフォームに対する支援内容
項目 | 詳細内容 |
---|---|
補助対象工事 | 2024年11月22日以降に着手した工事のうち、以下に該当するもの
【必須工事】 ①開口部の断熱改修 ②躯体の断熱改修 ③エコ住宅設備の設置 【附帯工事(必須工事と併せて行う場合のみ補助対象)】 子育て対応改修、バリアフリー改修等 |
補助要件 | 【Sタイプ】 必須工事①②③をすべて実施すること 【Aタイプ】 必須工事①②③のうち、いずれか2つを実施すること |
補助額 | 【Sタイプ】 上限60万円/戸 【Aタイプ】 上限40万円/戸 |
新築に対する支援内容
項目 | 詳細内容 |
---|---|
補助対象住宅 | 2024年11月22日以降に基礎工事よりも後の工程の工事を実施していて、かつ以下のいずれかに該当する住宅
【すべての世帯における対象】 (A)GX志向住宅(以下の①〜③にすべて適合する住宅) ①断熱等性能等級(断熱等級)6以上 ②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率35%以上 ③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が100%以上
【子育て世帯・若者夫婦世帯のみ対象】 (B)長期優良住宅 (C)ZEH 水準住宅
※床面積50m2以上240m2以下 ※土砂災害特別警戒区域に立地する住宅、災害危険区域に立地する住宅などは対象外 |
補助額 | (A)160万円/戸 (B)80万円/戸(既存建物を解体する場合100万円/戸) (C)40万円/戸(既存建物を解体する場合60万円/戸) |
リフォームの場合は全世帯が対象ですが、長期優良住宅・ZEH水準住宅の新築で利用する場合には、子育て世帯・若者夫婦世帯のみが対象となる点に注意が必要です。
(2)先進的窓リノベ2025事業
住宅において最も熱の出入りが多い窓を高断熱なものにすることで、大幅な省エネ効果が期待できます。そんな断熱性能に優れた窓やドアの設置にかかる費用を一部補助するのが「先進的窓リノベ2025事業」です。
既存住宅のリフォームに対する支援内容
項目 | 詳細内容 |
---|---|
補助対象工事 | 2024年11月22日以降に着手した、一定の性能を満たす断熱窓へのリフォーム工事
【対象となる工事】 ・内窓の設置 ・外窓の交換 ・窓ガラスの交換
※窓のリフォーム工事と同じ契約内で、断熱性能の高いドアに交換する場合も補助対象に含まれる |
補助額 | 合計最大200万円(補助率1/2相当)
【内窓の設置】 1ヶ所当たり最大10万6,000円 【外窓交換(カバー工法)】 1ヶ所当たり最大22万円 【窓ガラスの交換】 1ヶ所当たり最大5万5,000円
※1ヶ所当たりの補助単価は、リフォームする窓の大きさと製品のグレードによって異なる |
前述のとおり、高断熱窓への交換は高い省エネ効果が見込めます。当事業の補助額は大きいので、この機会に窓リフォームを検討するのもよいでしょう。
(3)給湯省エネ2025事業
住宅にエネルギー消費量の少ない高効率給湯器を導入するとき、費用の一部を定額補助するのが「給湯省エネ2025事業」です。補助対象となる給湯設備が細かく指定されているため、事前にしっかり確認しておきましょう。
補助の内容
項目 | 詳細内容 |
---|---|
補助対象設備 | ①ヒートポンプ給湯器(エコキュート) ・エネルギー源は電気 ・ヒートポンプの原理を使って沸かしたお湯をタンクに蓄えておくもの
②ハイブリッド給湯器 ・ヒートポンプ給湯器とガス給湯器を組み合わせたもの
③家庭用燃料電池(エネファーム) ・ガスから作った水素と空気中の酸素の化学反応で発電 ・発電時に出る排熱を使ってお湯を沸かし、タンクに蓄えておくもの
※2024年11月22日以降に着工した設備に限る |
補助額 | 【主な補助額】 ①10万円/台 ②13万円/台 ③20万円/台 ※補助額は機器の種類や性能ごとに異なる
【追加措置】 ・蓄熱暖房機を撤去する場合:補助額+8万円 ・電気温水器を撤去する場合:補助額+4万円
※戸建住宅はいずれか2台まで、マンションなどはいずれか1台までを補助対象とする |
給湯器が消費するエネルギーは、家庭におけるエネルギー消費量の約3割を占めています。そのため、給湯器を高効率なものに交換することは省エネに大きく寄与するだけでなく、光熱費の節約にもつながるでしょう。
(4)賃貸集合給湯省エネ2025事業
「賃貸集合給湯省エネ2025事業」は、上記の給湯省エネ2025事業の対象となるヒートポンプ給湯器などの導入が難しい、既存の賃貸マンションなどに向けた事業です。上の3つの事業と異なり、補助を受けられるのは賃貸マンションを所有するオーナーなどとなっています。補助の詳細は次のとおりです。
補助の内容
項目 | 詳細内容 |
---|---|
補助対象設備 | 潜熱回収型給湯器(エコジョーズ・エコフィール) ・エネルギー源は都市ガス、LPガス、石油 ・排気ガスの熱を再利用して、従来の給湯器よりも少ないガスの燃焼でお湯を沸かせるもの
※従来型給湯器から対象の給湯器に取り替える場合が補助対象 ※2024年11月22日以降に着工した設備に限る |
補助額 | 【追い焚き機能なしの場合】5万円/台 【追い焚き機能ありの場合】7万円/台 ※工事の内容によって追加補助の可能性あり |
交付申請期間
2024年12月末現在、各事業の交付申請期間は明らかになっていません。2024年版事業では「遅くとも12月31日までに申請」と定められていたことから、2025年も同様に12月末が申請期限になるのではないかと考えられます。
また、これも2024年と同じく、予算上限に達した時点で申請受付終了となる可能性が高いため、最新情報を常にチェックして早めの申請を心がけましょう。
最新情報を常にチェックして上手に制度を活用しましょう
実施が発表された住宅省エネキャンペーン2025ですが、2024年12月末現在では詳細情報が未発表となっています。ただ、いずれの制度も手続きはリフォーム会社(新築の場合は施工会社)が代行して行う流れです。
制度の適用を受けるには、事前に事業者登録を済ませているリフォーム会社と契約する必要があるため、依頼予定の会社が事業者登録しているかどうかチェックするのを忘れないようにしましょう。
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