漆喰とは?特徴・メリット・デメリットをわかりやすく解説

今の住宅で使われている外装材はサイディングが主流です。また、屋根はスレートが多いでしょう。内装材では壁紙が使われています。
さて、漆喰をご存じでしょうか。
古い建築物を見るならば、漆喰は建築物の多くの部分に使われている素材です。例えば、日本の城などの外装は白いですが、それは漆喰の白です。
この漆喰、実は現代の家でも使われています。
では、漆喰とはどのような素材なのでしょうか。
漆喰とは何か
まずは漆喰とはどのような素材かを紹介します。
漆喰とは何か
漆喰は消石灰を主原料とする建築資材。消石灰を糊やスサと混合して作ります。
原料となる消石灰は水酸化カルシウムが主な成分で、無機質です。そのため、漆喰には無機質特有の性質が表れています。
なお、色は白が基本ですが着色した漆喰も登場しています。住宅にデザイン性を求める人におすすめです。
漆喰の魅力
漆喰は味わい深い建築資材と言えます。
色調や表面の美しさだけでなく、職人のコテ捌きを壁の中に見ることができるからです。
経験を積んだ職人の仕事は、まさに工芸品さながらで、美しさと面白さを兼ね備えています。しかも一品もの。同じ仕事は世界に2つとありません。
これは壁紙などでは絶対に出せない味わいです。レベルそのものが違うのです。
漆喰と内装
漆喰は内装にも外装にも使われますが、生活に最も密着するのは内装材です。
さて、漆喰には空気環境を良くする効果があります。
これは接着剤を多用している内装とは大きく異なります。接着剤は確かにコストパフォーマンスが良くて性能の良い素材です。しかし、健康的とは言い切れません。
健康的な住宅は誰もが望むもの。漆喰は健康的な家づくりに有用なのです。
機能性壁紙との比較
壁紙には様々な機能を持たせたタイプがあります。これは機能性壁紙と呼ばれるもの。漆喰の持つ化学的特性を持つタイプもあります。
機能性壁紙を見ると、漆喰の魅力が薄れてしまうかも知れません。
しかし、漆喰は職人の手による味わいと優れた化学的特性を併せ持つ素材です。機能性壁紙とは一線を画するものと認識するべきです。
漆喰のメリット・デメリット
ここで漆喰のメリットとデメリットを紹介しましょう。
メリット
まずはメリットです。
漆喰には化学的なメリットが多くあります。前に「空気環境を良くする」と述べましたが、そのメカニズムが分かることでしょう。
調湿機能がある
漆喰は調湿機能があります。
内装材として使うのであれば、室内の余計な湿気を吸い取って空気環境を改善します。
これは漆喰の特徴の1つ、多孔質であることによる特性です。
空気中の水分をそのままにしておくとカビの原因にもなります。カビはアレルギー物質をまき散らすのですが、漆喰で水分を吸えばカビの問題が起こりにくくなるのです。
消臭効果を持つ
漆喰は消臭効果を持つ点もメリットです。
ニオイの元となるのは空気中を漂う分子。その分子が鼻に届いてニオイとして認識されます。
そのため、ニオイの元となる分子が存在しなければ、ニオイを感じることがありません。
漆喰はこのニオイの元となる分子を、その微細な孔で吸着してしまいます。その結果、消臭効果が表れるのです。
シックハウス対策になる
前にも述べましたが、漆喰の持つの吸着機能はシックハウス対策にも有効です。
シックハウスの原因となるのはホルムアルデヒドをはじめとする空気中に放散された分子。漆喰はこの分子さえも吸着してしまい、シックハウスを抑えるのです。
ちなみに、今の建材は化学物質放散に関して厳しい基準を設けています。しかし、その基準は完全でなく、適用外になっている化学物質はあります。
その点、漆喰の機能はそのような化学物質にも有効なもの。シックハウス対策として効果が狙えるのです。
抗菌効果を持つ
漆喰は抗菌効果も持っています。
これは漆喰の持つ強アルカリの特性によるもの。病原菌やウィルスはこのようなアルカリ環境では生きることができません。
ちなみに、病院の中には内装に漆喰を使っているケースがあります。病院は感染者が集まる場所なので感染をゼロにする保障はされないのですが、それでも効果は期待できます。空気中を漂う病原菌対策としては有効だからです。
様々な表情が作れる
前にも述べたように、漆喰は様々な表情が作れます。建築に芸術性を狙うのであれば、漆喰の特性は大きなメリットとなるでしょう。
これは漆喰が職人の技術で表情を変えるため。コテ捌きによって様々なテクスチュアを表現するのです。
しかも、漆喰にはカラーリングされたタイプもあります。デザイン性もそれだけ豊富になります。
ちなみに、漆喰は家屋に使えるだけではなく、門柱などのエクステリアへの応用も可能。工芸品さながらに家を装飾することができるのです。
燃えにくい
燃えにくいのも漆喰の大きなメリットと言えるでしょう。
前にも述べたように、漆喰は無機物。木材のような有機物ではありません。
実際、漆喰は建築基準法で規定する不燃材となっています。
ちなみに、漆喰を壁に塗ると火に強い壁となります。これは一般の壁紙とは異なる性質。火災発生の際には火のまわりが違うと考えられます。
この火がまわるスピードの差は避難の際には状況に大きく影響します。漆喰壁は火災時の安全性で軍配が上がるのです。
デメリット
次にデメリットを取り上げましょう。
化学的特性に優れる漆喰であっても、やはりデメリットはあります。
施工費用が高い
漆喰は壁紙のように「貼れば作れる」というような内装材ではありません。塗って仕上げるので、壁紙の施工とは完全に違います。
そのため、工事には人件費が掛かってしまい、施工費用も高くなってしまいます。
ちなみに、壁紙はDIYでも施工が可能ですし、実際にDIYのキットも販売されています。しかし、漆喰のDIYは壁紙と比較してハードルが高く、不利なのです。
白い粉が落ちる場合がある
漆喰は白い粉が落ちる場合があります。
これは白華と呼ばれる現象で、言わば硬化不良といえます。冬場に塗った漆喰で起こりやすいです。
ちなみに、このような現象は壁紙では起こりません。
汚れが目立ちやすい
白い漆喰の場合は汚れが目立ちやすいです。
特に、コテでテクスチュアを作った壁などは汚れが目立つことでしょう。
例えば、コーヒーなどを誤って壁にかけてしまった場合には、ケースによっては汚れが立体的に見えるかも知れません。
漆喰のメンテナンスについて
漆喰はメンテナンスがしにくい印象があるかも知れません。全体が白いだけに汚れが目立ち、しかもテクスチュアがあるから掃除が大変、と思えることでしょう。
しかし、漆喰であってもメンテナンスは可能です。
例えば、先に挙げたようなコーヒーなどがかかった場合、漆喰を別途に上塗りすれば、テクスチュアは変わるかも知れませんが、汚れ対策にはなるでしょう。
ともかくとして、メンテナンスに関する情報を集めておけば不具合が発生した時にはスムーズな対応が可能です。メンテナンスに関しても情報を収集しておきましょう。
まとめ
漆喰について取り上げました。
漆喰は伝統的な建築物に使ってあるので、ある意味で「古臭い」素材を思われがちです。しかし、ここまで読んできて認識が変わった人もいると思います。
また、漆喰の優れた化学的特性に改めて着目した人もいることと思います。
漆喰は住宅の資料よりも歴史の本で見かけるかも知れませんが、昔の人が使ったのも優れた特性があったとも考えられます。これから家づくりをする人におすすめできる素材と言えるでしょう。
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