住宅について調べると、その途中で「建築確認申請」または「確認申請」という用語が見つかります。この用語はいかにも難しそうにも見えるので、読み飛ばす人も多いことでしょう。

しかし、実際に家を建てる場合やリノベーションをする場合には、業者との打ち合わせで意外と出て来る用語です。そのため、知らないままでおくことは好ましくはありません。打合せをスムーズにすすめるためにも必要ですし、意思疎通のためにも必要だからです。

そこで、この記事では建築確認申請を取り上げて解説したいと思います。

建築確認申請とは何か

建築確認申請とは何か

まずは建築確認申請について取り上げて解説しましょう。

建築確認と確認申請

建築物は闇雲に建てて良い訳ではありません。仮に腕の良い大工がいて、その人の経験と勘に頼る場合であったとしても、勝手な仕様とすることもできないのです。

と言うのも、建築物は定められた建築基準に適合していなければいけないからです。

建築確認は建築物が建築基準に適合しているかの確認のために行われます。この確認を行うのは自治体や自治体から指定を受けている民間の検査機関(指定確認検査機関)です。建築確認申請は、この建築確認を申し込むことを指すのです。

なぜ建築確認は必要か

建築確認が必要な理由は主に次の2点です。

  • 建築物が建築基準に適合しているか確認するため

  • 違法建築を取り締まるため

なお、違法建築は刑事罰の対象になります。また、違法建築物が原因で第三者に被害が及ぶと不利益を被りかねません。

例えば、建築基準法を満たさない建物で、強度に問題がある建物による物損事故が起きたらどうでしょうか。ケースにもよりますが、損害賠償請求が来るかも知れません。また、違法性の発覚を恐れて保険会社に連絡をしなかった場合には補償も危うくなります。建築確認は非常に重要なのです。

建築確認をしなかった場合について

建築確認申請をしなかった場合には違法行為となります。

これは建築物を建てる際の手続きまで法規制があるためです

法律では建築の手順を以下のように定めています。

  • 設計

  • 建築確認申請

  • 確認済証の交付

  • 中間検査

  • 工事施工

  • 中間検査(一定の条件に該当する場合のみ)

  • 完了検査

  • 検査済証の交付

ところで、昨今は建築資材や工具をホームセンターや通信販売で購入が可能になったため、DIYで増築するケースがよく見られます。また、ネットでもそのような記事を見かけます。

しかし、DIYの場合はこのような手続きが必要なのに踏まずに行われることも多く、危険な場合が少なくありません。

また、違法建築になってしまった場合には自宅の売却にも悪影響が出る場合があります。これはローンの審査に通りにくくなるためです。ローンには審査が不可欠ですが、違法建築の場合には銀行が審査で落とすことがあるためです。

確認申請の費用

確認申請は役所に書類を提出すれば自動的にできる…という訳ではありません。費用が発生するのです。

費用は建築面積によって異なります。概略の費用は次の通りです。

  • 30~100㎡:17,000円

  • 100~200㎡:24,000円

  • 200~500㎡:33,000円

また、建築確認には計画変更や中間検査、完了検査にも費用が発生します。トータルで100,000円程度の予算と考えれば良いでしょう。


建築確認申請の流れ

建築確認申請の流れ

このように、建築確認は非常に重要な手続きです。

それでは、どのような手順で確認申請は行われるのでしょうか。

ここでは確認申請の流れについて解説します。

着工前

最初の確認は着工前に行われます。

確認は設計図ベースに行われ、問題が無ければ確認済証が交付されます。

工事は確認済証があって、初めて可能となるのです。

ちなみに、リノベーションでも確認申請が必要になる場合がありますが、図面での確認となるため、施主としても図面が読めなくてはいけません。専門的な知識が必要ですが、勉強しておくべきでしょう。

建築中

建築中にも検査が行われる場合があります。

これは中間検査と呼ばれるもの。完成後に外から確認が困難な場所がチェックされます。

例えば、天井裏や壁の中などは仕上がってしまうと確認は困難です。中間検査はこのような部分を確認するのです。

なお、この確認が通ると中間検査合格証が交付されます。

完成後

検査は完成後にも行われます。

これは申請の通りに建てられているかの検査です。この検査で問題が無ければ検査機関から検査済証が交付されます。建物の使用が可能となるのは、検査済証が交付されてからとなるのです。


リノベーションで建築確認申請が必要な場合

リノベーションの場合、建築確認申請は必要な建築物と不要な建築物があります。

例えば、2階建て以下の木造住宅のような小規模住宅の場合申請は建築の場合のみです。そのため、古い住宅の場合には適用外になる建築物が少なくありません。

ただ、昨今は3階建て住宅も増えていますので、知っておいた方がベターでしょう。

そこで、ここではリノベーションで建築確認申請が必要な例を挙げて解説します。

増築

床面積が増える場合、基本的には確認申請が必要です。

例えば、敷地には建ぺい率や容積率などの法的な制限がありますが、増築するとそのような制限に抵触することがあります。そのような法的な違反の有無を確認するのです。

ちなみに、DIYでの増築の中には確認申請に関して怪しいものもあります。また、怪しいリフォーム業者がありますが、その業者による増築も疑うべきです。

大規模な修繕

大規模な修繕に関しても確認申請が必要な場合があります。

これは柱・床・梁・屋根などの主要構造物の過半を修繕した場合です。ただし、法規上は「一種類以上」となっているので、柱だけを修繕する場合、梁だけを修繕する場合でも確認申請は必要な場合が出て来ます。

なお、ここで言う修繕とは、既存の材料と同じ材料を使っての修理を指します。

大規模な模様替え

大規模な模様替えに関しても確認申請が必要となります。

これも前述の大規模な修繕と同様の主要構造部と同様です。柱・床・屋根などの模様替えを指します。

なお、この場合の模様替えは既存の材料と異なった材料を使う場合となります。

用途変更

建築物の用途を変更する場合にも確認申請は必要です。

建物の用途には住宅の他にも飲食店や物販店、病院などもあります。住宅からこのような用途の建物に変更する場合は確認申請が必要なのです。

例えば、古民家を利用してカフェにリノベーションをする場合には、住宅の用途から外れます。その場合は用途変更となり、建築確認は必須です。

外壁の補修

外壁も主要構造物に該当するので確認申請が必要になる場合があります。

外壁であっても「壁」と見なされ、主要構造物となるのです。

例えば、古い住宅のモルタル壁の痛みがひどくてサイディングに張り替えたとします。この補修が大規模と見なされると確認申請の必要性があると判断されるのです。

確認申請のポイントは「どれくらいの補修であるか」となるのでケース・バイ・ケース。業者と打ち合わせる際には非常に重要となるでしょう。

ちなみに、住宅の外壁は定期的な塗装リフォームが必要です。しかし、この塗装リフォームは大規模なものとは見なされません。そのため、確認申請は不要です。


まとめ

建築確認申請について取り上げました。

単なる申請のように思えるかもしれませんが、非常に重要な手続きであることが確認できたことと思います。

また、リノベーションをする側としても理解の重要性を認識できたのではないでしょうか。

いずれにせよ、良いリノベーションのためには建築確認までの知識が望まれます。しっかりと勉強し、身につけておきましょう。