リフォームは、完成した時点が「ゴール」ではなく、「新しい暮らしのスタート」です。ところが、工事後しばらくしてから思わぬ不具合が発生することもあります。

たとえば、「浴室のお湯が出にくい」「壁紙がすぐに剥がれてきた」など、毎日の生活に支障をきたすようなトラブルが起きると、せっかくのリフォームも不安に変わってしまいます。

 

そんなときに頼りになるのが、リフォーム会社のアフターサービスと保証制度です。しかし、「実際にどんな対応をしてくれるのか」「保証の範囲はどこまでか」といった点を、契約前にきちんと理解している方は意外と少ないもの。

 

このコラムでは、リフォーム後も安心して暮らすために、知っておきたいアフターサービスと保証の基本について、わかりやすく解説します。

後の安心を支える!アフターサービスと保証の基礎知識 


リフォームは施工が終わったあとも、その後の暮らしが快適であることが大切です。そのためには「アフターサービス」と「保証制度」をしっかりと理解しておくことが安心につながります。ここでは、リフォームに関するアフターケアの基本的な仕組みについてご紹介します。

アフターサービスとは

アフターサービスとは、リフォーム完了後に発生した不具合に対して、リフォーム会社が行うサポート対応のことを指します。

たとえば、浴室の水栓からお湯が出にくい場合、配管や機器の点検・修理などが行われるのがアフターサービスです。こうした対応はリフォーム会社ごとに内容が異なるため、工事前にサービス範囲や対応期間をきちんと確認しておくことが重要です。

リフォームにおける保証とは

リフォームには主に2つの保証が存在します。

 

  1. 製品保証(設備機器など)

    浴室やキッチン、トイレなどに設置される機器や設備が対象です。例えば、お湯が出ないなどの不具合が、給湯器やシャワーの製品自体に原因がある場合、メーカー保証が適用されます。

  2. 工事保証(施工に関する部分)

    水漏れやドアのゆがみなど、施工上のミスや不具合が原因となるトラブルが対象です。たとえば浴室のシーリングが不十分で水漏れが生じた場合には、工事保証としてリフォーム会社が対応します。 

保証の責任について

リフォーム後の保証は、すべてをリフォーム会社が負うわけではありません。製品に関する不具合はメーカーの責任、工事に関する問題は施工を担当したリフォーム会社の責任となるのが一般的です。

そのため、製品保証と工事保証は別々に設けられており、それぞれの内容と対応窓口を事前に確認しておくと、いざというときにスムーズです。

 

知っておくべき!リフォームの保証内容とその範囲

 リフォームのアフターサービスというと、「何か故障したときに対応してもらえるもの」と考える方が多いかもしれません。しかし実際には、すべてのトラブルが保証の対象になるわけではありません。そのため、あらかじめ保証内容とその適用範囲をしっかり確認しておくことが大切です。

アフターサービスの内容はリフォーム会社によって異なりますが、契約前の打ち合わせ段階で説明を受けることができます。内容や期間、対応の範囲などについて、担当者に確認しておきましょう。

 

なお、もともとの構造部分に不具合があった場合、それが原因で生じた問題には保証が適用されないことがあります。

たとえば、古い配管が原因で水漏れが起きた場合、補修の対象外となる可能性があります。このようなケースは、実際に工事が始まってからでないと分からないことも多いため、工事中に追加説明が行われることもあります。

 

アフターサービスの種類と、それぞれのメリットとは?

リフォーム後の安心を支えるアフターサービスには、いくつかの種類があります。工事が終わってからのサポート内容は業者によって異なるため、契約前にどのようなサービスが含まれているか確認しておくことが重要です。では、主なアフターサービスの種類と、そのメリットを見ていきましょう。

修理

修理とは、設置した設備や施工箇所に異常が生じた際、それを元の正常な状態に戻すための対応です。

たとえば、浴室で水漏れが起きた場合、水が漏れないように処置することが修理にあたります。部材の接合部分が外力で破損していた場合は、再接合やシーリング処理などが行われます。

点検

点検は、設備に異常があるかどうかにかかわらず、定期的に状態をチェックするサービスです。施工箇所がきちんと作動しているか、摩耗や劣化が進んでいないかを確認します。

たとえば浴室の場合、湯温の安定性、パッキンやシーリングの状態(ゴム部分の硬化や亀裂など)も点検項目に含まれます。なお、点検の最中に故障や摩耗が見つかった場合には、修理に移行します。

相談

アフターサービスには「相談」も含まれることがあります。これは設備の不具合に限らず、使用方法に関する質問や将来的なリフォームの相談など、幅広い内容に対応してもらえるサービスです。

 

保証の期間と条件、注意すべき契約内容

リフォーム後の安心を守るアフターサービスは、無期限に続くわけではありません。基本的には期間が定められており、一定期間を過ぎると有償になる場合もあります。また、契約の内容によってサービスの範囲や条件が異なるため、注意が必要です。

ここでは、保証期間の目安と、契約時に特に気をつけたいポイントについてご説明します。

保証の期間について

リフォームの保証期間は業者によって異なりますが、民法上の規定では通常「1年」とされています。多くの設備保証も同様に1年が一般的です。

ただし、設備を正しく使っているにもかかわらず不具合や事故が起きた場合、メーカーの製造物責任が適用されることがあります。たとえば、浴室のお湯が規定より非常に高温で出てきて、火傷をしてしまったケースなどが該当します。

注意すべき契約内容とは

契約時に注意すべきポイントは、単に保証期間だけでなく「保証の適用範囲」と「免責事項」も含まれます。

たとえば、誤った使い方や取り扱いによって発生した故障は、多くの場合施主負担での修理となります。これは製品の免責事項として、取扱説明書などに記載されていることが一般的です。

そのため、契約前にどのような条件で保証が適用されるのか、しっかり確認しておくことが大切です。

 

アフターサービスをフル活用!問題解決のための連絡方法と対応

リフォーム後に問題が起きた際、スムーズに解決するためには、状況を正確に伝えることが何よりも大切です。では、的確に伝えるためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

連絡の際に伝えることとは

アフターサービスをスムーズに受けるためには、業者に対してリフォームの不具合状況を正確に伝える必要があります。連絡するときは、次の2点をしっかり伝えましょう。


  • 症状の内容

    例:「浴室のお湯が出ない」「温度が上がらない」など、具体的な不具合の症状。

  • 症状が発生した時期

    いつ頃から症状が出始めたか、あるいは特定の時間帯や状況で症状が現れやすいかどうか。

場合によっては、その他の関連情報を求められることもありますが、伝える内容は事前にまとめておくと混乱を避けられます。

 

アフターサービスを受けるためには、業者に対してリフォームの状況を的確に伝えなければいけません。そのため、連絡の際には次の2点を確実に伝えましょう。


  • 症状:浴室で「お湯が出ない」「温度が上がらない」などの症状。

  • 症状の発生時期:いつごろその症状が発生したか、あるいはその症状が現れやすい時間帯など。

ちなみに、追加で伝えなければいけないことについてはケースバイケースです。ただ、混乱を避けるため、伝える内容をまとめる方がベターです。

連絡手段について

基本的には電話やメールでの連絡が一般的です。

なかでもおすすめなのはメールでの連絡です。メールなら、内容をフォームに記入したり、送信したメッセージのスクリーンショットを保存したりできるため、やり取りの記録を残せます。

 

記録を残すことは非常に重要です。些細な内容でも「言った」「言わない」のトラブルを避けられるほか、後の問題解決の際にも役立ちます。

 

アフターサービスを受ける前に知っておくべきトラブル防止のコツ

リフォーム後のアフターサービスは、工事後も快適かつ安全に住まいを使い続けるために欠かせないものです。しかし、本来はトラブル自体が起きないことが理想です。トラブルの基本を知り、あらかじめ予防策を講じておくことが重要です。

では、どのようなトラブルが起こりやすく、どんな対処法があるのでしょうか。

 

起こりがちなトラブル

リフォーム後によく見られるトラブルの多くは「故障」ですが、その発生原因はさまざまです。代表的なものは以下の通りです。

  • 動作不良

    例:異常動作やまったく動作しない。水栓を開けても水が出ないなど。

  • 性能不良

    例:本来の性能を発揮しない。お湯の温度が適切に上がらない、または熱すぎるなど。

  • 施工不良

    例:施工品質が低く不具合が発生。シーリング部分からの水漏れなど。

  • 環境不適切

    例:本来適さない環境での使用による不良。塩害の強い地域での金属腐食など。

  • 不適切な操作

    例:ユーザーが誤った使い方をした場合。たとえば、手すりの代わりにフェンスを設置し手すりとして使用しようとした場合など。

予防策

これらのトラブルを防ぐための基本は、確認作業を怠らないことです。具体的には以下の点を守りましょう。


  • 製品の説明書をよく確認する

    製品の性能や正しい使用方法を理解するため。

  • 工事の説明をしっかり聞く

    工事の仕様や禁止事項について施工業者から十分に説明を受けるため。

  • リフォーム会社のアフターサービスの適用範囲を確認する

    設備点検や対応可能な内容を事前に把握しておくため。

行政窓口

製品をメーカーの指示通りに使用し、かつ施工にも問題がないにも関わらず不具合が発生した場合は、行政窓口を利用することも検討しましょう。国民生活センターへの相談が代表的な選択肢の一つです。

 

まとめ

リフォームは工事後のアフターサービスや保証がとても大切です。修理や点検、相談などのサービス内容を理解し、保証期間や範囲、契約内容を事前に確認しましょう。

トラブルの原因や予防策も知っておくことで、問題を未然に防げます。ポイントを押さえて、リフォーム後も安心して暮らせる準備をしておきましょう。