スペースの悩み解消!増築と減築のメリット・デメリットとは?

「子ども部屋がもう一つ欲しい」「使っていない2階を整理したい」など、ライフスタイルの変化に合わせて、住まいに対するニーズは変化するものです。自宅の広さや間取りがライフスタイルに合わなくなったときに検討したいのが、「増築」と「減築」を伴うリフォームです。
この記事では、増築と減築の基本から費用相場、注意点までわかりやすく解説。増築・減築で使い勝手がアップしたリフォーム事例も紹介します。
増築・減築とは?工事の基本と費用相場
増築とはリフォームで床面積を増やす工事、反対に減築は床面積を減らす工事を指します。どちらも既存の建物を活かし、ライフスタイルの変化に合わせて、住まいの規模を調整できるのが大きな魅力です。ここでは、増築と減築それぞれの費用相場を詳しく見ていきましょう。
増築リフォームの費用相場
増築リフォームの費用は、どのスペースをどの程度広くするかによって大きく変動します。
特にキッチンや浴室などの水まわりは、給排水管の配管工事や防水工事を行う必要があるため、高額になりやすい傾向にあります。また、導入する設備のグレードで費用が大きく上下します。増築するスペースごとの大まかな費用相場は以下のとおりです。
増築するスペース | 費用相場 |
---|---|
居室(6畳1間) | 200万円〜400万円程度 |
トイレ | 50万円〜200万円程度 |
浴室 | 75万円〜250万円程度 |
キッチン | 90万円〜400万円程度 |
ベランダ・バルコニー (2階に2畳増設の想定) | 50万円〜100万円程度 |
なお、ベランダやバルコニーを1階に設置する場合、2階に設置するよりも安価になるのが一般的です。
減築リフォームの費用相場
減築リフォームの費用も、工事する場所や仕様によって大きく変わります。単に部屋を解体するだけでなく、外壁や屋根の補修、内装の仕上げも必要になるため、高額になるケースもあるでしょう。
例えば、2階建てを平屋にするような大規模な減築では、解体や補強に費用がかさむこともあります。パターン別の費用相場を以下の表で確認しましょう。
減築のパターン | 費用相場 |
---|---|
居室の減築(6畳1間) | 90万円〜200万円程度 (1m2あたり10〜20万円) |
1階の天井を吹き抜け化 | 100万円〜500万円程度 |
2階建てを平屋に減築 | 300万円〜2,000万円程度 |
増築リフォームのメリット・デメリット
住まいのスペースを手軽に増やせる増築ですが、利点だけでなく注意すべき点もあります。ここでは、増築リフォームのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
増築リフォームのメリット
増築リフォームは、建て替えのように仮住まいを探す手間や費用がかからない場合も多く、現在の自宅に住み続けながら工事を進められるというのが大きなメリットです。また、建て替えに比べて費用を抑えやすく、工期も短くなる傾向にあります。居住スペースが広がることで住まいの利便性が高まり、資産価値の向上も期待できるでしょう。
増築リフォームのデメリット
その反面、増築リフォームを行うと床面積が増えるため、固定資産税は上がります。また、10m2を超える増築では、原則として建築確認申請を行わなければなりません。工事完了後1ヶ月以内に「建物表題変更登記」の申請をしなければならないというのも、忘れてはならないポイントです。
設計面でも、増築による既存部分への影響を考慮しておかないと、耐震性や建物強度が低下するおそれもあるため注意しましょう。
減築リフォームのメリット・デメリット
次に、減築リフォームのメリットとデメリットを見ていきましょう。スペースを減らすことで暮らしにどのような変化が生まれるのか解説します。
減築リフォームのメリット
使わない部屋をなくして床面積を減らすと、生活や家事の動線がコンパクトになり、日々の暮らしがよりスムーズで快適になります。部屋数が減れば、冷暖房の効率が上がるため、光熱費を削減できます。長期的に見て、メンテナンスコストを抑えられるのも大きなメリットです。さらに、床面積の減少に伴って固定資産税が下がる可能性もあります。
また、2階部分の減築は建物の軽量化につながるので、耐震性の向上も期待できるでしょう。
減築リフォームのデメリット
減築は単にスペースを撤去するだけでは終わりません。残された部分の壁や屋根の補修も伴うため、まとまった費用がかかる点は念頭に置くべきでしょう。工事の規模によっては、騒音や振動で生活に支障が出たり、仮住まいが必要になったりする可能性もあります。
また、増築と同様、減築でも床面積は変更になるため、工事完了後1ヶ月以内の「建物表題変更登記」が義務付けられています。
増築・減築をするうえで気を付けたい3つのポイント
増築・減築は、現在の住まいを快適に見直す手段として有効です。しかし、計画を進めるうえで注意すべき点もあります。ここでは特に押さえておきたい3つのポイントを紹介しましょう。
(1)耐震性や建物強度に問題がないかチェックする
増築や減築は、既存の建物の構造に手を加える工事のため、元の構造バランスに影響を及ぼす場合があります。単に空間を増やす・減らすという視点だけで設計を進めると、耐震性や建物強度が低下するおそれもあるのです。安全な住まいを維持するため、設計段階で十分な構造計算を行い、状況に応じて構造補強なども検討すべきでしょう。
(2)建築確認申請の必要性を事前に確認する
リフォーム内容によっては、工事前に「建築確認申請」を特定行政庁へ提出し、許可を得なければなりません。
具体的には、10m2を超える増築(準防火地域・防火地域内は10m2以下の増築も対象)が対象となります。減築でも、増築と同時に施工したり、主要構造部(2階以上の床、柱、壁、屋根、階段など)を大がかりに変更したりする場合は申請が求められます。
特に、新築時の法令は満たしていたものの、現行の法令の基準は満たしていない「既存不適格建物」は注意が必要です。既存不適格建物をそのまま使用する分には問題ないものの、建築確認申請をする場合、全体を現行法規に適合させる必要があるからです。これにより、追加で費用のかかる工事が求められる可能性もあるため、事前の確認が欠かせません。
(3)建ぺい率や容積率の制限に注意する
土地には、用途地域ごとに建物の規模を制限する「建ぺい率」や「容積率」が定められています。現在の建物が上限いっぱいで建てられている場合、それ以上の増築は原則不可能です。
減築は問題ありませんが、将来「元の広さに戻したい」と思っても、法改正などで制限が変わり再増築できないケースも少なくありません。そのため、減築する場合でも、将来のライフプランまで見据えた計画が求められます。
増築・減築で理想の住まいを実現したリフォーム事例4選
増築や減築によって、住まいはより快適で機能的に生まれ変わります。ここでは、増築・減築を行ったリフォーム事例を4つ紹介します。
【増築事例1】玄関の利便性がアップした増築リフォーム
こちらの住宅では、手狭だった玄関部分を増築し、新たに玄関収納を設けました。収納を充実させることで、家族の靴をしまえる余裕が生まれました。玄関というわずかなスペースを増築するだけでも、外出時や帰宅時の動線がスムーズになります。また、整理整頓しやすくなって、いつも美しい玄関を保てるようになるでしょう。
北欧×和が調和した上質なデザイン。間接照明やピットリビングが寛ぎと彩りを演出
【増築事例2】二世帯住宅を叶えた増築リフォーム
お子さま家族との二世帯同居を検討するにあたり、1階の一部と2階を増築した事例です。
増築スペースを活用して個室の数を確保するとともに、水まわりのスペースを拡張しました。2階にもシャワー室や洗面室を設け、それぞれの世帯がストレスなく暮らせるよう配慮しているのも特徴です。
増築で実現!広いLDKとプライベート空間を叶えた二世帯住宅が誕生
【減築事例1】開放的なテラスを実現した減築リフォーム
1階の日当たりを阻害していた2階のバルコニーを減築し、そのスペースを使って、1階リビングダイニングから庭へとつながる開放的なウッドテラスを実現した事例です。リビングからフラットにつながる空間は、アウトドアリビングとして活躍します。室内に光と風を呼び込むだけでなく、晴れた日は食事を楽しむ場として使うなど、家族の笑顔が増える素敵な空間へと生まれ変わりました。
内外装を一新し、北欧スタイルの美しい住まいへ。減築部分には寛げるウッドテラスも
【減築事例2】平屋化で使いやすくなった減築リフォーム
ご夫婦二人暮らしへの変化に合わせ、譲り受けた実家のうち、使わなくなった2階を減築して平屋へとリフォームした事例です。階段の上り下りがなくなり、生活のすべてがワンフロアで完結する効率的な動線が生まれました。掃除やメンテナンスの負担が軽くなったうえ、不安に感じていた耐震性も大幅に向上。将来にわたり安心して暮らせる、理想の住まいが完成しました。
2階建てを平屋に再生!シンプルな動線を実現し、安心して暮らせる家へと一新
まとめ
増築は建て替えよりも手軽に居住スペースを増やすことができ、減築は暮らしをコンパクトにして維持管理の負担を減らすことができるなど、それぞれに大きなメリットがあります。しかし、どちらの工事も高度な専門知識や経験に基づく、慎重な検討が欠かせません。
大和ハウスウッドリフォームは、今回紹介した建築実例以外にも、数多くの増築や減築を伴うリフォームを手がけています。増築や減築で理想の住まいを実現したいと考えているなら、ぜひお気軽にご相談ください。