中古リノベーションの住宅ローンのポイント|一体型ローン利用時の流れや注意点

中古物件の購入とリノベーションを同時に検討する際、住宅ローンで費用を賄いたいと考えている方も多いのではないでしょうか。中古リノベーションで住宅ローンを活用する方法としては、物件購入費用のみを借り入れる方法と、リノベーション費用も一体的に借りる方法の2つがあります。
この記事では、中古リノベーションで住宅ローンを使う2つの方法について詳しく解説するとともに、一体型ローンを使う場合の具体的な流れや事前に知っておきたい注意点も紹介します。
中古リノベーションで住宅ローンを使う2つの方法
中古物件の購入とリノベーションで住宅ローンを利用する場合、大きく分けて2つの方法があります。それぞれの特徴をあらかじめ理解しておきましょう。
(1)住宅ローンとリフォームローンを併用する
一つ目は、中古住宅の購入費用を住宅ローンで、リノベーション工事費をリフォームローンでそれぞれ別に借り入れる方法です。
この方法には、住宅購入とリノベーションの手続きを分けて進められるというメリットがあります。物件購入後にじっくりとリノベーションプランを練ることも可能なので、スケジュールに余裕が生まれやすいでしょう。
ただし、一般的にリフォームローンは住宅ローンに比べて金利が高く、返済期間も短い傾向にあります。そのため、月々の返済負担が重くなる可能性がある点には注意が必要です。
(2)物件購入費用とリノベーション工事費の一体型ローンを借りる
二つ目は、物件購入費用とリノベーション工事費をまとめて一つの住宅ローンとして借り入れる方法です。
この方法の最大のメリットは、リノベーション工事費も含めて低金利な住宅ローンを利用できるため、ローンの返済負担を軽減できることでしょう。ローンを一本化できるので、手続きや返済管理がシンプルになる点も魅力といえます。
その一方で、物件の購入手続きとリノベーションのプランニングを並行して進める必要がある点は要注意。金融機関のローン審査にはリノベーションの見積書なども求められるため、スケジュールはタイトになりがちです。
一体型の住宅ローンを借りる場合の流れ10ステップ
物件購入費用とリノベーション工事費を一体的に借り入れる場合、どのような流れで進んでいくのでしょうか。ここでは、以下の10のステップに沿って流れを紹介します。
(1)中古物件を探す
(2)リフォーム会社に相談する
(3)リノベーションの概算見積りを依頼する
(4)住宅ローンの事前審査を受ける
(5)物件の売買契約を締結する
(6)リノベーションの本見積りを依頼する
(7)リノベーションの工事請負契約を締結する
(8)住宅ローンの本審査を受ける
(9)金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結する
(10)物件引き渡し後に工事をスタートする
(1)中古物件を探す
まずは、リノベーションを前提に中古物件を探すところからスタートします。希望のエリアや広さ、予算などを考慮しながら、物件情報サイトや不動産会社などを通して、理想の暮らしが実現できそうな物件を見つけましょう。
(2)リフォーム会社に相談する
一体型ローンを利用する場合、物件探しと並行してリノベーションのプランニングを進めなくてはなりません。そのため、早い段階で信頼できるリフォーム会社に相談し、パートナーを見つけておくことが鍵となります。物件探しに関してもリフォーム会社にアドバイスを受ければ、建築的な視点も考慮したうえで物件を選べるでしょう。
(3)リノベーションの概算見積りを依頼する
購入したい物件の候補が見つかったら、リフォーム会社と一緒にリノベーションの大まかなプランを検討します。プランがある程度固まったら、概算の見積りを依頼しましょう。この概算見積書は、住宅ローンの事前審査で必要になります。
(4)住宅ローンの事前審査を受ける
物件の購入価格、リフォーム会社に出してもらったリノベーション工事の概算見積額をもとに、金融機関の住宅ローン事前審査を受けます。審査をスムーズに進めるためにも、源泉徴収票や本人確認書類など、必要書類はあらかじめ準備しておくとよいでしょう。
(5)物件の売買契約を締結する
住宅ローンの事前審査に通過したら、売主と物件の売買契約を締結します。中古物件は一点ものであるため、人気物件はすぐに買い手が見つかってしまうことも。たとえ購入申込書を提出していたとしても、期限に間に合わなければ、ほかの購入希望者に権利が移ってしまいます。買い逃すことのないよう、住宅ローンの事前審査までのステップをスムーズに進めましょう。
(6)リノベーションの本見積りを依頼する
売買契約と前後して、リノベーションプランの詳細を詰めていきます。間取り、内装材や住宅設備の仕様などが具体的に決まったら、リフォーム会社に本見積りを依頼しましょう。事前審査では概算見積書を提出しますが、本審査ではこの本見積書の提出が必要となります。手続きが滞ってしまわないよう、検討をスピーディに進めることが大切です。
(7)リノベーションの工事請負契約を締結する
リノベーションのプランと本見積りの内容に納得できたら、リフォーム会社と正式に工事請負契約を締結します。この工事請負契約書も住宅ローンの本審査に必要な書類となるため、決めなければならないことがひと通り固まった時点で早めに契約しましょう。
(8)住宅ローンの本審査を受ける
物件の売買契約書、リノベーションの工事請負契約書、本見積書などの書類をすべてそろえ、金融機関に住宅ローンの本審査を申し込みます。金融機関から追加書類の提出を求められたり問い合わせを受けたりしたときは、スピーディに回答しましょう。
(9)金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結する
本審査に無事通過したら、金融機関と金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結します。この契約によって、正式に融資が決定し、借入額や金利、返済期間などが確定します。締結にあたっては抵当権の設定が必要です。
(10)物件引き渡し後に工事をスタートする
ローン契約後、融資が実行されるタイミングで費用の残代金を決済し、鍵の引き渡しを受けます。物件の引き渡しが完了し、所有権移転登記が済んだら、いよいよリノベーション工事のスタートです。
中古リノベーションで住宅ローンを使う際の注意点
中古リノベーションで住宅ローンを利用する際は、いくつか知っておきたい注意点があります。計画をスムーズに進めるためにも、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
一体型ローンはスケジュールがタイトになりやすい
これまで見てきたとおり、一体型ローンでは物件選びとリノベーションプランの検討を同時に進める必要があります。そのうえ、中古物件は契約から引き渡しまでの期間が短く設定されているケースも多く、早めに売買契約を締結しないと買い逃してしまうおそれもあるでしょう。
手続きを円滑に進め、気に入った物件の買い逃しを防ぐためにも、あらかじめ家族でリノベーションの希望条件や優先順位を話し合っておくといった工夫が求められます。
物件によっては住宅ローンを利用できないことがある
住宅ローンを組む際、金融機関は融資の担保として購入物件に抵当権を設定します。借入額や返済期間といった返済条件は、物件の担保価値に大きく左右されるのです。
そのため、築年数の古さなどにより購入物件の担保価値が低いと判断された場合、希望どおりの条件で借り入れができなかったり、最悪の場合、住宅ローンの利用自体が難しくなったりすることもあり得ます。住宅ローンの利用を前提とするなら、資産価値にも配慮して物件を選ぶことも重要です。
工事見積額は最大額で審査を受ける
住宅ローンの事前審査は概算見積りで受け、本審査で本見積りを提出しますが、本審査の段階でも細かな仕様が決まりきっていないケースは少なくありません。そのような場合、想定される最低限の金額ではなく、かかる可能性のある最大の費用額で見積りを作成し、審査を受けることをおすすめします。
後から借入額を減額するのは比較的簡単な手続きで済みますが、増額するとなると再度審査のやり直しとなり、時間も手間もかかってしまうからです。
まとめ
中古リノベーションで住宅ローンを利用するには、「リフォームローンとの併用」と「一体型」の2つの方法があります。特に一体型ローンは、リノベーション工事費も含めて低金利で借りられるメリットがある反面、スケジュールがタイトになりやすいなどの注意点も存在します。
住宅ローンの手続きの流れや注意点をあらかじめ理解し、計画的に準備を進めることが、中古リノベーションで理想の住まいを実現するために重要なポイントです。中古リノベーションの資金計画で不安があるときは、リフォーム会社などの専門家に相談するとよいでしょう。