自宅のリフォームを検討する際、多くの方が気になるのは費用のことではないでしょうか。リフォームローンで費用を賄おうとすると、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶべきかは悩ましいところです。金利タイプによって総返済額やリスクの大きさが変わるため、それぞれの特徴を正しく理解し、ライフプランやリスク許容度に応じた選択をする必要があります。

 

この記事では、変動金利と固定金利のメリット・デメリットから、タイプ別の選び方まで詳しく解説。ローンを使ったリフォームを検討されている方は必読です。

リフォームローンとは?住宅ローンの違いもチェック

リフォームローンは、自宅の増改築や設備の修繕、内装・外装の工事など、住まいをより快適にするための費用を賄うためのローンです。リフォームローンには、大きく分けて「有担保型」と「無担保型」の2種類があります。有担保型は、住宅ローンと同じように自宅を担保にして借り入れるタイプ。一方、無担保型は担保なしで借り入れるタイプのローンです。

有担保型、無担保型、住宅ローンについて、それぞれの特徴を比較してみましょう。


種類

借入目的

借入限度額

借入期間

金利

審査期間

住宅ローン

住宅の購入

1億円以上

最長35年程度

低い

長い

有担保型リフォームローン

リフォーム

1億円程度

最長30年程度

比較的低い

やや長い

無担保型リフォームローン

リフォーム

1,000万円程度

最長15年程度

高い

短い

無担保型は借り入れのハードルが低い反面、借入限度額は低く、借入期間も短めです。一方、有担保型は大規模なリノベーションにかかる費用も賄えますが、審査は厳しくなりやすいでしょう。


変動金利と固定金利|それぞれのメリット・デメリット


リフォームローンの金利タイプには、「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。変動金利とは、その名のとおり、借入期間中の市中金利の動向に応じて、借入金利が見直されるタイプです。一方の固定金利は、借入当初に決まった金利が最後まで変わらないタイプを指します。


金利の変動は、毎月の返済額や総返済額に直接影響するため、どちらのタイプを選ぶかは返済負担を占う重要なポイント。それぞれのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

変動金利のメリット・デメリット

変動金利の最大のメリットは、借入当初の金利が固定金利よりも低く設定されている点です。金利が低い分、返済開始時の毎月返済額を低く抑えることができます。将来的に市中金利が下がった場合は、それに連動して総返済額が少なくなるというメリットも見逃せません。


一方で、変動金利での借り入れには、金利上昇リスクがつきまといます。市場金利が上がれば返済額も増え、当初の想定よりも返済負担が重くなる可能性があります。金利の動きによって総返済額が変わるため、長期的な返済計画を立てにくい点もデメリットといえるでしょう。


ただし、変動金利には、返済額が急激に増えるのを防ぐ仕組みもあります。多くの場合、当初の5年は毎月返済額が変わりません。5年経過後は年2回返済額を見直すのが一般的ですが、見直し後の返済額は直前の125%以内に抑えるというルールが設けられています。


注意したいのは、上の「125%ルール」は毎月返済額の急増を抑えるためのもので、支払うべき利息がなくなるわけではないという点です。金利が大幅に上昇した場合、返済額に占める利息の割合が増え、本来支払うべき額が125%の範囲を超えてしまうことも。こうした状態が続くと、返済期間の終盤に未払利息の支払いを求められる可能性もあるため、ルールの仕組みをしっかり理解しておくことが大切です。

固定金利のメリット・デメリット

固定金利のメリットは何といっても、市中金利が上昇局面でも、金利が変わらないことです。借入期間中、金利が変わらないため、毎月の返済額も総返済額も契約時に確定します。返済計画が立てやすく、市中金利がどれだけ上昇しても返済額が変わらないという安心感を得られるのは、変動金利にはない魅力です。


一方、借り入れ当初の金利が、変動金利に比べて高めに設定されているのはデメリット。固定金利で借り入れた場合、当初の毎月返済額は変動金利よりも高めになります。また、もし市中金利が下落したとしても、その恩恵は受けられません。


リフォームローンの場合、住宅ローンに比べて借入期間が短いこともあり、変動金利の取り扱いが中心です。金融機関によっては、固定金利プランがないケースもあるので注意しましょう。


リフォームローンの金利の選び方|タイプ別向いている人の特徴


変動金利と固定金利は、それぞれ異なる特徴を持っており、「どちらが正解」とは一概に言えないのが難しいところです。そこで、金利選びの判断基準となるよう、それぞれの金利タイプがどのような人に向いているのか、分かりやすくご紹介します。

変動金利が向いている人の特徴

変動金利を選ぶうえで考えなければならないのは、将来返済負担が増える可能性があるという点です。金利上昇リスクを許容できるかどうかが、変動金利を選ぶときの大きな判断基準となります。


そもそも「将来金利は上がらない」と考えている人は、変動金利を選ぶのも一つの手。とはいえ、金利の先行きは誰にも予想できません。特にここ数年は、将来的な金利上昇リスクの高まりを指摘する声も増えています。


こうしたことを踏まえると、もし金利が上昇して毎月返済額が増えても、家計に十分な余裕があって問題なく対応できる人や、金利上昇時に繰り上げ返済できるだけの資金余力がある人なら、変動金利が有力な選択肢になるでしょう。


また、借入額がそれほど大きくなく、10年以下の短期間で返済する場合も、金利上昇の影響が比較的小さく済むかもしれません。このケースでは、当初の金利が低い変動金利を選ぶことで、総返済額を抑えられる可能性もあります。

固定金利が向いている人の特徴

一方で、固定金利は金利変動のリスクを避けたい方に向いています。2025年現在、長期的に見ると日本の金利は上昇していくのではないか、という見方が増えてきています。金利上昇リスクを見込むなら、返済額が変わらない固定金利を選んだほうが安心です。


特に、借入額が大きく、返済期間が10年以上にわたる場合は、金利変動の影響を受ける可能性が高まります。よって、固定金利を選ぶことがリスクヘッジになるでしょう。金利の変動や経済のニュースをチェックするのが好きではない、あるいはそのような手間をかけたくないという方にも、金利動向を気にせず済む固定金利が適しています。


また、「出産を控えている」「小さな子どもがいてこれから教育費がかかる」「親の介護費用が心配」など、近い将来に大きな出費が想定される人も固定金利がおすすめ。ローン返済額を確定させておけば、安心して将来のライフイベントに備えることができます。


中古リノベーションなら一体型がおすすめ


中古物件を購入してリノベーションを行う場合、リフォームローンではなく、一体型の住宅ローンを利用するという方法もあります。一体型とはどのようなものなのか見ていきましょう。

一体型の住宅ローンとは?

一体型の住宅ローンとは、中古物件の購入費用と、リノベーション費用をまとめて借り入れられる住宅ローンのことです。住宅ローンと同じ金利水準でリノベーション費用まで借りられるため、金利が高くなりがちなリフォームローンに比べ、将来の返済負担を抑えられます。


また、返済期間を最長35年と長く設定できるのもメリットです。リフォームローンよりも毎月返済額を抑えやすく、リノベーション費用の負担を平準化しながら、無理のない資金計画が立てられます。

一体型の住宅ローンにおける注意点

一体型の住宅ローンを申し込むには、住宅ローンの事前審査の段階で、物件の購入費用とリノベーションにかかる費用の概算を金融機関に提示しなくてはなりません。


つまり、物件探しと並行して、リフォーム会社と打ち合わせを行い、大まかなリノベーションプランや概算見積もりを用意しなければならないということです。限られた時間でプランニングも進めなければならないため、どうしてもスケジュールがタイトになりやすい点は注意しましょう。


一体型の住宅ローンを利用したい場合、物件探しを始める段階からリフォーム会社に相談し、二人三脚で計画を進めることが求められます。


まとめ

変動金利と固定金利には、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。リフォームローンの金利タイプ選びに正解はありませんが、金利上昇リスクに対して少しでも不安を感じるなら、固定金利を選んだほうがいいかもしれません。


金利動向を正確に予測することは誰にもできません。変動金利を選ぶにせよ、固定金利を選ぶにせよ、無理のない資金計画を立てることが、リフォームを成功させるためのポイントといえるでしょう。