断熱リノベで光熱費はいくら下がる?断熱性を高めるべき理由とうれしい3つの効果
電気代やガス代の高騰が続く中、築年数が古くなった自宅の断熱リノベを検討している方もいるかもしれません。断熱リノベを行うと、実際に光熱費はどれくらい削減できるのでしょうか?
この記事では、断熱リノベが住まいにもたらす効果を紹介するとともに、光熱費の節約効果がどの程度見込めるのか、さまざまな試算結果をもとに解説します。
断熱リノベとは?住まいにもたらす効果を紹介

住まいの断熱性を高めることは、快適で健康的な暮らしを送るうえで大切です。特に築年数が経過した家では、断熱リノベが大きな効果を発揮します。ここでは、住宅の断熱性を高めるのが重要な理由や施工による効果など、断熱リノベの基本知識について見ていきましょう。
既存住宅の断熱性を高めるのが重要な理由
築年数の古い住宅に住んでいると、「夏はムシムシと暑く、冬は足元から冷える」と感じた経験があるのではないでしょうか。こうした悩みの多くは、家の断熱性や気密性が低いことに原因があります。
築年数の古い家は、新築時の断熱性能が十分でないうえ、建物の経年劣化によって性能がさらに低下しているため、外気の影響を受けやすくなってしまうのです。夏は暑く、冬は寒い家を放置していると、電気代やガス代が高くなったり、自分たちの健康に悪影響をおよぼしたりするおそれもあります。
断熱リノベで断熱性・気密性をアップすれば、夏でも冬でも快適で健康的な住まいを実現できるでしょう。
断熱リノベの主な種類
断熱リノベには、施工する場所によってさまざまな種類があります。主な方法は以下の通りです。
窓や玄関ドア:二重窓(内窓)の設置、断熱効果の高い窓ガラスやサッシへの交換、断熱性の高い玄関ドアへの交換
床:床下への断熱材の施工
壁:内壁の内側に断熱材を充填(じゅうてん)する「内断熱」、外壁側にボード状の断熱材を張る「外張り断熱」
屋根:天井裏への断熱材の施工、屋根の葺き替えと合わせて行う「外張り断熱」
特に、窓や玄関ドアなどの開口部は、家全体の中でも熱の出入りが多い場所です。そのため、開口部の断熱リノベをするだけでも高い断熱効果を実感できるでしょう。
断熱リノベによってもたらされる3つの効果
断熱リノベには、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。主な3つの効果を紹介します。
(1)一年中快適に過ごせる
断熱リノベによって住まいの断熱性と気密性が向上すると、室温が外気の影響を受けにくくなります。まるで家全体が魔法瓶になったかのようなイメージで、快適な温度になった室内の空気が外へ逃げにくく、反対に外の厳しい暑さや寒さが室内に伝わりにくくなるのです。冷暖房の効きが格段に良くなるため、「夏は涼しく、冬は暖かい」という理想的な室内環境が保たれ、一年中快適に過ごせるようになります。
(2)室温変化や湿気による健康リスクを予防できる
断熱リノベは、住む方の健康面にも良い影響をもたらします。
断熱効果によって、部屋ごとの温度差が小さくなるため、冬場に暖かいリビングから寒い浴室やトイレなどへ移動したときに起こりやすい「ヒートショック」のリスクを下げられるでしょう。また、夏場に特定の部屋が暑くなるのを防げるので、室内熱中症の予防にも効果的です。
さらに、室内外の温度差による結露が発生しにくくなるため、窓周辺や壁内のカビやダニの繁殖を抑えられます。その結果、アレルギーの予防や改善も期待できるでしょう。
(3)光熱費を節約できる
年中快適な室内環境になるので、冷暖房にかかる光熱費を節約できるのも断熱リノベの大きなポイントです。断熱リノベがもたらす光熱費の節約効果については、次章以降で詳しく解説していきます。
断熱リノベした家で光熱費を節約できるのはなぜ?

断熱リノベをすると、なぜ光熱費を効率良く節約できるのでしょうか。節約につながる2つの理由を解説します。
夏場や冬場の冷暖房にかかる電気代を抑えられるから
断熱性能が高い家は、外の暑さや寒さが室内に伝わりにくく、反対に室内の快適な空気が外に逃げにくいのが特徴です。冷暖房で一度適温にすれば、快適な状態を長くキープできるので、夏場も冬場も以前より弱めの運転、あるいは短い稼働時間で済むようになります。光熱費の大きな割合を占める、夏場と冬場の空調にかかる電気代を抑えられるため、光熱費を効率的に節約できるのです。
高効率給湯器でガス代や電気代を抑えられるから
断熱リノベでは、高効率給湯器を導入するケースも多くあります。家庭で消費するエネルギーのうち、お湯を沸かすために使われる給湯エネルギーの占める割合は決して小さくありません。旧型の給湯器を、少ないエネルギーで効率良くお湯を沸かせる「エコキュート」や「エコジョーズ」などの高効率給湯器に交換すれば、給湯にかかるガス代や電気代を大きく削減できます。
断熱リノベによって、冷暖房と給湯という消費エネルギーの大きい2項目を効率化できるため、家全体の光熱費を大きく削減できるのです。
断熱リノベで光熱費はどれくらい節約できる?

断熱リノベによって光熱費が節約できるといっても、具体的に年間でどれくらいの金額を削減できるのでしょうか。国土交通省や業界団体の試算データをもとに、光熱費の節約例を紹介します。
断熱性の高い住宅における光熱費の節約例
一般社団法人住宅生産団体連合会(住団連)の試算によると、従来の一般的な住宅と省エネ基準適合の省エネ住宅を比較した場合、東京23区では年間約6万1,000円の光熱費節約になるとされています。
さらに断熱性能の高い「ZEH(ゼッチ)水準」を満たす省エネ住宅と比較した場合には、節約額はさらに大きくなります。上の試算と同じ従来の一般的な住宅と比較すると、東京23区で年間約12万4,000円もの光熱費を節約できる計算です。
なお、北海道や本州山間部などの寒い地域では、冬の暖房使用量が多いため、断熱リノベによる節約効果はより顕著になります。札幌市の場合、省エネ基準レベルで年間約6万円、ZEH水準では年間約18万5,000円もの光熱費を節約できると試算されています。
(出典)国土交通省「なるほど 快適・安心なすまい 省エネ住宅」
さらに光熱費を節約する方法
断熱リノベによる光熱費削減に加え、太陽光発電システムや蓄電池を導入することで、さらなる節約効果が期待できます。
国土交通省の試算によれば、ZEH水準の住宅に太陽光発電システムを設置した場合、設置していないZEH水準住宅と比較して、東京23区でさらに年間約4万円、札幌市では年間約9万円もの光熱費を節約できるとのことです。
日中に発電した電気を自家消費することで電力購入量を減らせるうえ、使いきれなかった電力を売れば売電収入も得られます。蓄電池も併せて導入すれば、夜間や停電時にも電気を使えるため、より安心で経済的な暮らしを実現できるでしょう。
(出典)国土交通省「待って!家選びの基準変わります ver.2」
断熱リノベにかかる費用相場とコストダウンする方法

断熱リノベの光熱費の節約効果は大きいものの、当然ながら費用がかかります。ここでは、断熱リノベにかかる費用相場とコストを抑える方法について見ていきましょう。
施工箇所別に見る断熱リノベの費用相場
断熱リノベの費用は、施工箇所や範囲、使用する断熱材の種類によって大きく異なります。あくまで目安ですが、主な施工箇所別の費用相場は次のとおりです。
窓の断熱(内窓設置):1ヶ所あたり約5万〜20万円
床下の断熱(床下に入って施工):約20万〜30万円
天井の断熱(天井裏から施工):約15万〜50万円
内壁の断熱:約100万〜150万円
外壁や屋根の断熱(断熱塗装):約80万〜120万円
断熱リノベは補助金を活用してコストダウン
断熱リノベの費用負担を軽減するために、国やお住まいの自治体が実施している補助金や助成金を積極的に活用しましょう。
特に2025年は、「先進的窓リノベ2025事業」(窓の断熱改修が対象)や「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」(高性能な断熱材や窓を使用する改修が対象)など、大規模な補助金制度が用意されています。条件に合えば、窓リノベにかかる費用を大幅に抑えられるかもしれません。
ただし、こうした制度には申請期間や予算の上限が定められています。2026年以降の制度内容は2025年10月時点で未定です。制度内容は毎年のように変更されるため、窓リノベを検討する際は、必ず国や自治体のホームページなどで最新情報を確認してください。
まとめ
断熱リノベを実施すれば、年間の光熱費を大きく節約できる可能性があります。工事にはそれなりの費用がかかりますが、光熱費の節約で家計負担を軽減できるため、長期的に見れば経済的といえるでしょう。夏場や冬場の快適性に不満がある方や、毎月の光熱費にお悩みの方は、断熱リノベを検討してみてはいかがでしょうか。
大和ハウスウッドリフォームは、お客様の住まいの状況や予算に合わせた断熱リノベのプランをご提案いたします。豊富な実績と確かな技術を駆使して、快適で省エネな住まいづくりをサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。