トイレ電球の明るさはどれくらいがいい?目安や注意点、おすすめの照明を解説
トイレのリフォームを検討するにあたり、どれくらいの明るさを確保すべきなのか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。「明るすぎると落ち着かない」「かといって、暗すぎると掃除がしにくい」など、電球の明るさはトイレの使い勝手に直結する大切な要素です。
この記事では、トイレのリフォームで悩む方へ向けて、適切な電球の明るさの目安や、照明を選ぶ際の注意点、おすすめの照明器具などについて分かりやすく解説します。
トイレの明るさの目安|他の場所との比較

トイレの電球の明るさはどれくらいが適切なのでしょうか。一般的にいわれる推奨照度をもとに、必要な電球の明るさを解説するとともに、室内の他の場所との比較もお伝えします。
トイレの照度の目安は「75ルクス」
JIS(日本産業規格)によると、トイレの推奨照度は「75ルクス」とされています。これは、何か作業をするには少し暗いものの、周囲はしっかり見え、かつ落ち着きを感じられる明るさです。
この照度を確保するには、どの程度の明るさの電球が必要なのでしょうか。光源の明るさは「光束(ルーメン)」によって表されます。
「照度(ルクス)=光束(ルーメン)÷面積(㎡)」で計算できるため、一般的な戸建てのトイレ(約0.5坪・1.28㎡)で75ルクスの照度を確保するには、約100ルーメンの照明が必要ということになります。
現在主流のLED電球は、一般タイプで暗めの「白熱電球20W相当」でも、170ルーメン以上が基準です。とはいえ、照明器具本体や壁や天井の反射によって、実際の明るさは低減します。よって、20Wよりも明るめの40〜60W相当のLED電球を設置するのがよいでしょう。壁紙が暗い色の場合などは、もっと明るい電球を選んでもいいですが、基本的には控えめな明るさで問題ありません。
室内の必要な明るさ比較
「トイレの推奨照度は75ルクス」といわれてもピンと来ない方も多いでしょう。そこで、家の中の他の場所と比較してどうなのか紹介します。JIS規格では、生活行為ごとに推奨照度が定められています。
主な生活行為と推奨照度
生活行為 | 推奨照度 |
|---|---|
手芸、裁縫 | 1,000ルクス |
勉強、読書、パソコン作業 | 750ルクス |
食事、化粧、洗顔 | 300ルクス |
団らん、洗濯 | 200ルクス |
トイレ | 75ルクス |
廊下、階段の移動 | 50ルクス |
(出典)パナソニック「住宅照明の現状と課題[w4] 」
表を見ると、細かい作業をする場所は明るく、リラックスする場所は暗めに設定されているのが分かります。トイレの明るさは、リビングや居室に比べると暗く、廊下や階段よりは明るい程度と考えておけばいいでしょう。
トイレの明るさを考える際の3つの注意点

トイレの明るさの基準は先述のとおりですが、ライフスタイルや家族構成によって、適切な明るさは変わってきます。ここでは、トイレの明るさを検討するときの3つの注意点を紹介します。
(1)お年寄りは暗く感じやすい
(2)深夜は明るさを抑えたほうがいい
(3)照明の色にも配慮する
(1)お年寄りは暗く感じやすい
まず考慮すべきは、ご家族の年齢です。人は高齢になるにつれて、光を取り込む力が弱くなるため、若者よりも明るい光が必要になります。一般的に、高齢者は若者の1.5〜2倍程度の照度が必要といわれています。
そのため、同居する家族に高齢者がいる場合や、老後を見据えてリフォームする場合には、先述の基準より明るめにするのがおすすめです。電球を60W相当以上のものにしたり、照明を2灯設置したりして、明るさを確保するよう心がけましょう。特に、足元がよく見えないと転倒のリスクが高まるため、足元をしっかりと照らせるよう工夫したいところです。
(2)深夜は明るさを抑えたほうがいい
深夜、目が覚めてトイレに行きたくなることもあるでしょう。そんなとき、トイレで強い光を浴びると目が覚めてしまい、その後の睡眠を妨げる要因になってしまいます。深夜は日中よりも明るさを抑えるのが基本です。
そこでおすすめしたいのが、時間帯によって明るさを変えられる調光機能付きの照明です。日中は明るくし、夜間だけ照度を落とせば、使い勝手を損ねることなく、生活リズムに沿った照明環境を整えられます。
ただし、高齢者が利用する場合、深夜の暗い足元は転倒のリスクが高まります。かといって天井の照明を全開にするとまぶしすぎるでしょう。理想的なのは、足元だけを照らすフットライトを活用し、まぶしさを抑えつつ安全な明るさ(10〜20ルクス程度)を確保する方法です。
(3)照明の色にも配慮する
トイレの照明は明るさだけでなく、光の色(色温度)も重要なポイントです。トイレに適しているのは、温かみのあるオレンジがかった「電球色」。リラックス効果が高く、夜中に利用しても刺激が少ないという特徴があります。
ただし、オレンジの色が濃い電球色には、排泄物の色による健康チェックがしにくいというデメリットも。健康管理を重視したい場合は、自然な色味に近い「温白色」の電球を選ぶか、より明るい電球を選ぶといいでしょう。
トイレにおすすめの照明タイプ
電球とセットで考えたいのが照明器具です。器具の形状によって、光の広がり方や空間の印象はガラリと変わります。ここでは、トイレにおすすめの4種類の照明を紹介しましょう。
ペンダントライト

天井からコードなどで吊り下げるタイプの照明です。カフェのようなおしゃれな空間を演出でき、インテリアのアクセントにもなります。
それほど広い範囲を照らせるものではありませんが、トイレのような小空間には適しています。設置時に注意したいのが、照明を吊り下げる高さです。低すぎると立ち上がったときに頭をぶつけてしまうため、邪魔にならない位置に高さを調整しましょう。
また、シェードが光を通さない素材の場合、明かりが全体に行き渡らないこともあります。そのような場合には、間接照明で明るさを補うのがおすすめです。
ダウンライト
天井に埋め込むタイプの照明で、器具が出っ張らないため、トイレのように小さな空間でもすっきり広々と感じられます。リビングなどでは補助照明として使われることが多いですが、トイレであればメイン照明として機能します。調光タイプを選べば、時間帯による明るさ調節も簡単です。
ダウンライトは、寿命を迎えると器具ごと交換しなければならないものが大半ですが、現在は寿命の長いLED一体型が主流となっており、交換頻度は10〜15年に1回程度と考えておけばよいでしょう。
ブラケットライト

壁面に取り付けるタイプで、ホテルライクな高級感を出せます。特に手洗いカウンターがある場合、鏡の近くに設置すると手元が明るくなり、空間に奥行きが生まれます。アイテムの選択肢はそれほど多くありませんが、デザイン性が高いため、設置するだけでおしゃれな空間を演出できるでしょう。
設置位置によって影の出方や明るさの広がり方が変わるため、入口正面に便器があるトイレでは、横ではなく奥の壁面に設置するのがおすすめです。なお、リフォームで新設する場合には、電気工事が必要になります。
シーリングライト
天井に直付けするタイプの照明です。リビングや寝室など、広さのある部屋に設置するイメージが強いですが、トイレに使える小型モデルも数多く販売されています。
シーリングライトは、空間全体を均一に照らすため、実用性は抜群です。最近は、人感センサーや消臭機能などを搭載したモデルも人気。デザインはシンプルで面白味に欠けると感じる方もいるかもしれませんが、機能性を重視するのであれば間違いない選択肢です。
まとめ
トイレ電球でおすすめの明るさは「75ルクス」ですが、この数値はあくまで目安です。高齢のご家族がいる場合は少し明るめに、夜間の利用が多いなら調光機能や足元灯を取り入れるなど、ライフスタイルに合わせた照明計画を検討しましょう。
また、ペンダントライトやシーリングライトなど、照明器具の種類によってもデザインや機能が変わってきます。トイレをどのような空間にしたいのかイメージしたうえで、自分たちに合った照明を選んではいかがでしょうか?