不動産売却時の9つのプロセス|自宅を売るにあたってのポイントを徹底解説

この記事では、標準的な不動産売却における流れを9つのプロセスに分けて解説するとともに、自宅を売る際に押さえるべきポイントも紹介します。
自宅を住み替える場合、現在所有している自宅を売却する必要があります。とはいえ、不動産は、買い手を直接見つけてすぐに売却できるわけではありません。不動産会社に仲介してもらい、売買契約を締結するのが一般的です。
この記事では、標準的な不動産売却における流れを9つのプロセスに分けて解説するとともに、自宅を売る際に押さえるべきポイントも紹介します。
物件売却時の大まかな流れ
下の表は、物件を売却する際の大まかな流れをまとめたものです。9つのプロセスは、大きく「準備」「売却活動」「引き渡し・確定申告」の3つのステップに分けることができます。売却を検討し始めてから引き渡しまでにかかる期間の目安は約5〜6ヶ月です。
ステップ1:準備【約0.5〜1ヶ月】 | |
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① | 自宅に類似する物件の価格相場をリサーチする |
② | 不動産会社に査定を依頼する |
ステップ2:売却活動【約3〜4ヶ月】 | |
③ | 選定した不動産会社と媒介契約を締結する |
④ | 不動産会社が売却活動を進める |
⑤ | 必要に応じて内見に対応する |
⑥ | 買主が決まったら売買契約を締結する |
ステップ3:引き渡し・確定申告【引き渡しまで約1〜2ヶ月】 | |
⑦ | 引き渡しに向けて準備をする |
⑧ | 決済と引き渡しを行う |
⑨ | 翌年の確定申告を行う |
STEP1:準備
ステップ1:準備【約0.5〜1ヶ月】 | |
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① | 自宅に類似する物件の価格相場をリサーチする |
② | 不動産会社に査定を依頼する |
このフェーズでは、価格相場を把握し、不動産会社に査定を依頼します。約0.5〜1ヶ月と書いていますが、リサーチにどれくらいの時間をかけるかによって期間は異なります。
①自宅に類似する物件の価格相場をリサーチする
不動産会社に相談する前段階として、まずは自宅の周辺地域において、同じような立地条件・広さ・間取りの物件の価格相場をリサーチします。自分で調査すると、適正価格のイメージを具体的に掴むことができます。リサーチ方法としておすすめなのは次の3つです。
(1)不動産ポータルサイトでエリア検索
(2)国土交通省「不動産情報ライブラリ」で不動産価格を検索
(3)不動産流通機構「レインズ・マーケット・インフォメーション」で取引情報を検索
②不動産会社に査定を依頼する
リサーチで相場感を大体把握できたら、不動産会社に自宅の査定を依頼します。査定とは、その不動産会社に仲介を依頼した場合、どれくらいの価格で売れそうか目安価格を示すことです。提示される査定価格は、売却活動開始時に設定する、売出価格の根拠の一つとなります。
査定には、大きく「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」の2つがあります。机上査定は、オンラインで入力した物件情報と過去の取引事例などをベースに査定価格を算出する方法です。一方の訪問査定は、プロが現地を実際に訪れ、細かくチェックしたうえで査定価格を算出する方法を指します。
最初に机上査定を複数社に依頼し、そのなかから候補となる数社に訪問査定を依頼するというのが一般的な流れです。複数社に机上査定を依頼するのは手間がかかるため、オンラインの不動産一括査定サイトを活用するとよいでしょう。
STEP2:売却活動
ステップ2:売却活動【約3〜4ヶ月】 | |
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③ | 選定した不動産会社と媒介契約を締結する |
④ | 不動産会社が売却活動を進める |
⑤ | 必要に応じて内見に対応する |
⑥ | 買主が決まったら売買契約を締結する |
このフェーズでは、媒介契約を締結した不動産会社による売却活動が展開されます。不動産会社主導で進みますが、内見など売主の対応が必要な場面もあります。
③選定した不動産会社と媒介契約を締結する
各社から訪問査定の結果が届いたら、査定内容と価格を比較し、依頼する不動産会社を決定します。不動産会社との媒介契約締結後、正式に売却活動がスタートします。
媒介契約とは、不動産会社に売買の仲介業務を委託する契約のことです。媒介契約には大きく分けて3つの種類があります。それぞれの違いを理解して、自分たちに合った契約形態を選択しましょう。
一般媒介契約 | ・最も制約の少ない媒介契約 ・同時に複数社と契約可能 ・不動産会社のレインズへの登録義務、販売状況報告義務はなし |
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専任媒介契約 | ・1社とのみしか契約できない媒介契約 ・契約後7日以内のレインズ登録義務あり ・14日に1回以上の販売状況報告義務あり |
専属専任媒介契約 | ・最も制約の多い媒介契約 ・1社とのみしか契約できない ・契約後5日以内のレインズ登録義務あり ・7日に1回以上の販売状況報告義務あり ・自己発見取引(売主が買主を自分で見つけた場合)も不動産会社の仲介が必要 |
④不動産会社が売却活動を進める
媒介契約締結後、売却活動がスタートします。売却活動は基本的に不動産会社主導です。最初に、査定価格や市況をベースに売り出し価格を決定し、不動産ポータルサイトへの掲載、新聞の折込チラシ配布などの方法を使い、積極的な広告活動が展開されます。興味を持った方からの問い合わせ対応も不動産会社が行います。
すぐに購入希望者が見つかれば問題ないですが、なかなか見つからない場合には、広告戦略や価格の見直しを検討しなければなりません。
⑤必要に応じて内見に対応する
購入希望者から実際に物件を内見したいという問い合わせがあったら、不動産会社を通して内覧日を調整し、当日は実際に立ち会って案内しましょう。売主自らがポイントを直接説明することで、購入希望者の確度を高められる可能性があります。
⑥買主が決まったら売買契約を締結する
購入申し込みを受けたら、買主と売買契約を締結します。売買契約が成立した時点で、不動産会社への報酬として、仲介手数料の支払い義務が生じます。
STEP3:引き渡し・確定申告
ステップ3:引き渡し・確定申告【引き渡しまで約1〜2ヶ月】 | |
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⑦ | 引き渡しに向けて準備をする |
⑧ | 決済と引き渡しを行う |
⑨ | 翌年の確定申告を行う |
売買契約締結後、決済と引き渡しを終えれば自宅の売却は完了となります。その後の確定申告も忘れないようにしましょう。
⑦引き渡しに向けて準備をする
引き渡しに向けて、いくつか準備を要する事項があります。特に大切なのが、ローン残債がある場合の抵当権抹消の手続きです。売主からの残代金受取日が決定したら、抵当権抹消と全額繰上げ返済を金融機関に依頼します。手続きは司法書士に依頼し、受領した残代金で残債を返済後、抵当権抹消登記を行いましょう。
なお、引き渡し時には、売主が買主に対して境界標を明示する義務があります。そのため、隣地との境界に不明瞭な箇所がある場合、売買契約締結後に確定測量を実施しなければなりません。費用は売主負担が基本であることと、確定までに時間がかかることに要注意です。
⑧決済と引き渡しを行う
当然ながら、引き渡しまでに引っ越しを済ませておく必要があります。売却が決まった段階で、早めに引っ越し会社を手配するなど、余裕を持って引き渡しできるよう準備しておきましょう。残代金の決済を受け、必要書類や鍵を買主に渡せば、引き渡しが完了となります。
⑨翌年の確定申告を行う
自宅の売却自体は前段階で終了となりますが、売却益が生じた場合、所得税・住民税を納付するために確定申告を実施しなければなりません。後ほど解説しますが、利益が出ていなくても特例制度を利用できる可能性があるため、利益の有無にかかわらず、確定申告を行うのがおすすめです。
自宅売却にあたって注意したい3つのポイント
ここまで自宅売却の流れを見てきましたが、特に注意すべきポイントが3つあります。順番に見ていきましょう。
(1)査定依頼は複数社に依頼する
物件の査定価格は不動産会社によって異なります。1社のみの査定結果で判断すると、相場よりも低い価格で手放すことになったり、反対にやたらと高い価格を提示されて後々トラブルに発展したりする恐れがあります。査定は必ず複数社に依頼し、横並びで比較検討することが大切です。
(2)引き渡し前にやっておくべきことを整理しておく
売買契約さえ締結すれば売却活動は終了と考えがちですが、意外と契約後にやらなければならないことも多くあります。新居への引っ越しの準備はもちろん、先ほど紹介した住宅ローン完済の手続きや確定測量の必要性なども確認が必要です。引き渡しまでにこうした手続きが完了していないと、大きなトラブルに発展するリスクがあるため注意しましょう。
(3)利益が出なくても確定申告はする
売却によって利益が出なければ、翌年の確定申告をする義務はありません。しかし、売却損が出た場合でも、確定申告をすることで税の控除や還付を受けられる可能性があります。裏を返せば、確定申告をしない限り、税制優遇制度を受けることはできません。売却益の有無に関係なく、不動産を売却したら、翌年は確定申告を行うと覚えておいたほうがよいでしょう。
まとめ
自宅を売却する場合、検討開始から引き渡しまでに約5〜6ヶ月かかります。買い手がなかなか見つからないと、さらに長い期間を要するケースもあります。ライフステージの変化に合わせて自宅を買い替える場合、住み替え時期にリミットがあるケースも多いはずです。売却がなかなか進まず、生活に支障が出ることがないよう、希望日から逆算して余裕のあるスケジュールを立てましょう。
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