新築物件の価格高騰が続く中、リーズナブルな中古住宅を購入して、理想の住まいへリフォームしたいと考える方が増えています。こうした住まいの形に憧れを抱きつつも、「見えない部分に欠陥があったらどうしよう」と不安に感じることもあるかもしれません。これからの暮らしを占う大きな買い物だからこそ、物件選びは失敗したくないものです。

 

この記事では、中古住宅選びでの失敗を防ぐために、中古戸建ての内覧時や購入前にチェックしておきたいポイントをプロが分かりやすく解説します。

中古住宅購入前に知っておくべき基本

中古の物件探しをする前に、まずは、新築との違いや注意点などの基礎知識を押さえておきましょう。

中古と新築の違い、中古ならではの注意点

中古物件の一番の魅力は、新築より購入費用を抑えられ、エリアの選択肢が広がる点です。新築では手が届かないような人気の街や駅近の立地でも、中古なら予算内で見つけられる可能性があります。また、新築に比べて中古のほうが供給数も多いので、理想の物件に出会える確率も高まるでしょう。加えて、中古物件なら実際に現地を内覧することが可能。日当たりや風通しなどを体感したうえで選べる点も見逃せません。

 

一方、築年数によっては、設備の古さや断熱性能の低さが気になることも。住み始めてからすぐに大がかりな修理が必要な事態にならないよう、内覧時に建物や設備の劣化状態をチェックすることが大切です。

リフォームやメンテナンスにかかる費用も考慮した資金計画

中古は新築に比べて割安ですが、購入後のリフォーム費用も見込まなくてはなりません。また、築年数が古くなるほど、将来のメンテナンスや修繕にかかる費用も高くなるでしょう。

 

中古住宅を購入する際は、物件価格だけでなく、こうしたリフォーム費用やメンテナンス費用も想定することが大切。トータルでかかるコストの全体像を明確にしたうえで、資金計画を立てましょう。

 

なお、省エネ性能を高めるリフォームについては、「みらいエコ住宅2026事業」をはじめとする、国や自治体の補助金を活用できるケースも。使える制度は最大限使いつつ、10年後、20年後のメンテナンス費も見据えた、家計に無理のない資金計画を心がけたいところです。

 

中古戸建ての内覧時のチェックポイント6選


気になる物件を見つけたら、実際に内覧していきます。ここでは、内覧時にチェックしたい、建物の状態や実際の暮らしやすさを判断するためのポイントを6つご紹介します。

(1)建築年代と耐震基準

中古住宅で最初にチェックしたいのが建築年代です。1981年6月以降に建築確認を受けていれば、新耐震基準は満たしていると考えられます。ただし、木造住宅の場合、2000年6月に耐震基準が見直されており(2000年基準)、この基準を満たしているかどうかも重要なポイントです。

 

基準を満たさない築古物件を検討する際は、過去に耐震診断や耐震補強が行われているかを確かめましょう。実施歴がない場合、購入後に自分たちで行うことをおすすめします。耐震診断や耐震補強には費用がかかるものの、多くの自治体で補助制度が設けられているため、あわせて確認しておきましょう。

(2)間取り変更の自由度を左右する建物の工法

子どもの誕生や独立、定年退職などでライフスタイルが変化したとき、壁を取り払って間取りを見直したくなるかもしれません。希望どおりの間取り変更ができるかどうかは、建物の構造によって変わるため、購入前に確認しておくことをおすすめします。

 

木造住宅の場合、在来工法(木造軸組工法)は壁を抜きやすいため、間取り変更の自由度が高いとされます。一方、2×4(ツーバイフォー)工法は、壁を含む面全体で建物を支える構造になっているため、大がかりな間取り変更は難しいでしょう。将来的に大がかりなリフォームを考えているなら、特にチェックしておきたいポイントです。

(3)床下や屋根裏のシロアリ被害や雨漏り跡の有無

表面からは見えない床下や屋根裏に、建物の寿命に関わる重大なサインが隠れていることも。天井や壁の隅、収納の内部などを目視し、雨漏りの過去を示すシミやクロスの剥がれがないか確認しましょう。もし可能であれば、床下点検口や収納庫を外し、カビの臭いや湿気、シロアリの通り道(蟻道)がないかなど、懐中電灯で照らしながらチェックしてみてください。

 

とはいえ、内覧でのチェックには限界もあるはずです。物件購入を本格的に検討するなら、プロの目による「ホームインスペクション(住宅診断)」の実施をおすすめします。目視では分からない建物の傾きや雨漏りリスクなどを客観的に評価してもらえます。可能であれば、「インスペクションの実施」を購入条件として、売主や不動産会社と交渉することも検討しましょう。

(4)床の傾きや建具の建て付け

家全体が傾いていないか、構造に歪みが生じていないか、現地で確かめることも大切です。例えば、次のようにチェックしてみるとよいでしょう。

 

  • スマートフォンの水準器アプリを使い、床が傾いていないか調べる

  • すべてのドアや窓を実際に開け閉めし、引っかかりがないか確かめる

  • 室内を歩き回り、床のきしみ音や不自然な沈み込みがないか確かめる

 

ちょっとした傾きや歪みでも、建物の強度に大きく影響することも。現地で感じた違和感は、その場で不動産会社の担当者に確認するのがおすすめです。

(5)断熱性能の確認

新築と中古で差が出やすいのが断熱性能です。断熱性能が低いと、室温が外気の影響を受けやすくなり、冷暖房効率が下がってしまいます。内覧時には、サッシの素材やガラスの厚み、隙間風がないかなどを確認し、最低限の断熱性能が備わっているかをチェックしてください。

 

加えて、窓サッシの周囲の結露、押し入れの奥のカビがないかもチェックしたいところ。こうした現象は断熱性能の低さがもたらすものです。長年放置されている場合、構造部の木材が腐食するなど、建物の強度に影響が出ているおそれもあります。

(6)水回り(キッチン・浴室)や配管の老朽化

キッチンや洗面台などの水回りの設備は、表面のきれいさだけでなく、見えにくい配管の状況まで気を配りましょう。まずはシンク下の扉を開け、異臭や水染みがないか確認し、漏水の跡がないかチェックします。

 

水が出るようなら、実際に蛇口をひねり、水圧の強さや排水口へ水が流れるスピードを確かめましょう。こうすれば、配管が詰まっていないかどうか推測できます。ただし、必ず不動産会社の担当者や売主の許可を得てから行いましょう。

 

しかし、これも目には見えない部分の話。内覧でチェックするには限界があります。売主や不動産会社に配管の材質や過去の交換履歴をヒアリングし、設備寿命と交換時期の目安をつけることが思わぬ出費やトラブルを防ぐコツです。

 

購入時のトラブルを防ぐ法的・環境面のチェックポイント


建物の状態とあわせて確認したいのが、建築に影響する法的な制限や周辺環境の問題です。ここでは、内覧と並行してチェックしたい、法的な面や環境面でのチェックポイントをお伝えします。

再建築不可などの法的制限の有無

築古物件を購入する際、将来的な建て替えも視野に入れているかもしれません。そのような場合、前面道路の幅や接道要件を満たしているかなど、建て替えできない「再建築不可物件」ではないことを確かめましょう。

 

あわせて注意したいのが「セットバック(道路後退)」の有無です。前面道路の幅が4m未満の場合、将来建て替える際に敷地の一部を道路として提供しなければならず、現在よりも家を建てられる面積が狭くなるケースも。通常、不動産会社の提供する物件情報で「再建築不可物件」や「要セットバック」である旨が表示されていますので、見落とさないようにしましょう。

 

また、用途地域や建ぺい率・容積率などの基本的な法的制限も確かめておきましょう。建ぺい率や容積率の上限いっぱいで建てられていると、増築や大規模なリフォームが難しいことも。隣地との未確定な境界がないかなど、権利関係の問題も重要なチェックポイントです。

災害リスクと災害履歴

安心して長く住み続けるためには、その立地の災害リスクを把握することが欠かせません。国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」や、自治体が公開する最新のハザードマップで、物件周辺の水害や土砂災害リスクを調べてみてください。

 

さらに、売主や近隣住民に過去の浸水被害や地震時の揺れの大きさを直接聞いてみるのもおすすめ。古地図や地盤調査データがあれば、昔の川跡など軟弱地盤の立地はあらかじめ避けるのが安心です。

 

川や海に近い、傾斜地に建っている、山間にあるなど、災害リスクが疑われる立地の物件を検討する場合、不動産会社にも細かく質問して不安を解消しておきましょう。

 

まとめ

中古住宅を購入してリフォームすれば、費用を抑えながら、好立地で暮らしやすい住まいをかなえられる可能性があります。しかし、物件価格や間取りといった目に見える条件だけで決めてしまうと、リフォーム費用がかさんだり、修繕費やトラブルで悩まされたりするかもしれません。

 

気になった物件を内覧する際は、今回ご紹介したチェックポイントを一つ一つ丁寧に確認するのがおすすめです。自分たちの目だけで確かめるのが難しい場合は、リフォーム会社など建築のプロにアドバイスを求めるとよいでしょう。