都心で中古を買ってリノベーション|2026年の最新トレンドと買い時の見極め
都心でマンションを探しているものの、新築マンションの価格高騰により、なかなか手が出ないという方も多いのではないでしょうか。そのようななかで存在感を増しているのが、中古マンションを買って自分たちの好きなようにリノベーションする、という住まい選びの形です。
この記事では、都心で人気の高まっている「中古を買ってリノベーション」の最新トレンドや買い時の見極めについて、各種データや調査結果をもとにご紹介します
都心で「中古を買ってリノベーション」が選ばれる理由

都心で中古マンションを買ってリノベーションする人が増えている理由は、大きく2つあります。ひとつは都心の新築マンション価格が高騰しているため、もうひとつは価格と立地を両立させる現実的な選択肢として中古が見直されているためです。2つの理由の背景を詳しく探っていきましょう。
新築マンションの価格は中古の2倍近くに
不動産経済研究所によると、2026年上半期(1〜6月)に首都圏で発売された新築分譲マンションの平均価格は1億135万円。上半期の集計としては、首都圏の1戸あたりの価格が初めて1億円を突破し、東京23区に限れば、前年同期比9.1%アップの1億4,249万円でした。これだけの水準になると、共働きでそれなりの世帯収入があったとしても簡単には手が届きません。
一方、東日本不動産流通機構がまとめた2026年4〜6月期の中古マンション成約価格は、首都圏で平均5,201万円、東京都区部(23区)で7,574万円です。新築は発売価格、中古は成約価格と集計の基準は異なりますが、それを踏まえても中古はどちらも新築の半額近くの水準であり、同じエリアでも支払い負担に大きな差があることが分かります。
新築の供給が減ったから中古しか選べない、という話ではありません。2026年の首都圏の新築供給は約2万2,000戸と、前年並みの見込みです。やはり新築の価格高騰が、中古の値頃感を強めているといえるでしょう。
(出典)株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期(1〜6月)」
(出典)公益財団法人東日本不動産流通機構「季報マーケットウォッチ サマリーレポート 2026年4〜6月期」
中古を選ぶ理由は価格と立地
国土交通省が2026年7月に公表した「令和7年度住宅市場動向調査」では、三大都市圏で中古マンションを買った世帯に、その住宅を選んだ理由をたずねています。最も多かったのは「価格/家賃が適切だったから」で64.2%、次いで「住宅の立地環境がよかったから」が46.6%です。その他「交通の利便性がよかったから」も36.1%に上っています。
駅からの距離や通勤・通学の時間を妥協することなく、予算の範囲に収める方法として、中古が選ばれているという構図が浮かび上がってくるでしょう。
同調査では「住宅選択にあたり妥協したもの」についてもたずねています。分譲マンションを購入した人の1位は「価格・家賃(予定より高くなった)」(39.6%)。そして、「特になし」(22.2%)を除くと第4位に「職場からの距離」(18.1%)が入ります。
ただし同調査では、分譲マンションを購入した世帯の通勤時間は住み替え前より短くなっており、新築を選んだ人が一様に通勤の負担を受け入れているわけではない点にも留意が必要です。
都心の中古リノベーション、2026年の最新トレンド

都心の中古リノベーションは、選ばれる物件も予算のかけどころも求められる間取りも、この数年で変化が見られます。ここでは、さまざまなデータから見えてくる、都心の中古リノベーションにおける5つのトレンドをご紹介します。
築年数より立地を優先する動きが強まった
首都圏全体でみると、中古マンションの成約㎡単価は、2015年の45.25万円から2025年は82.98万円へ、10年で約1.8倍に高騰しています。同じ期間に、成約物件の平均築年数は20.13年から26.58年へ伸びました。
もちろん東京都区部も上昇が続いており、2026年4〜6月期の東京都区部の成約㎡単価は136.22万円で前年比5.1%上昇しました。前年比でみると、多摩地域や神奈川県・埼玉県・千葉県といった郊外エリアの伸びのほうが大きいものの、単価の高さは東京都区部が圧倒的です。
都区部の利便性やアクセス性を重視するなら、築年数の古さをある程度許容するほかありません。成約物件の平均築年数が10年で6年以上伸びた背景には、市場に出回るストック自体の経年化もありますが、買い手が立地を優先してきたことも一因といえるでしょう。
(出典)公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」
(出典)公益財団法人東日本不動産流通機構「季報マーケットウォッチ サマリーレポート 2026年4〜6月期」
省エネ性能が設備選びの重要な基準へ
最新調査でも、リノベーションで手を入れる内容自体はそれほど変わっていません。住宅リフォーム推進協議会の調査で、マンションにおけるリフォーム実施者が実現したかったことは「一部の部屋の全面改修をする」が44.9%で最多でした。これは、前年とほぼ同水準です。
一方で、選ぶ基準は変わっています。マンションのリフォーム検討者が予算以外で重視する点について、前回調査は「設備の使い勝手」が31.5%で1位、「省エネ性の向上」は24.6%でした。しかし、今回(2025年)では「省エネ性の向上」が31.8%に伸びて1位となり、「設備の使い勝手」(30.6%)を逆転しています。
同調査でリフォーム箇所をみると、実施者の上位は「トイレ・便所」(50.2%)、「浴室・洗面所」(49.4%)で、水まわりの更新を重視する傾向は変わりません。そのうえで検討段階では、「省エネ性能」が選ぶ際の重要な基準になってきたといえるでしょう。
(出典)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」
(出典)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2024年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」
やむを得ない出費からこだわりによる上乗せへ
上記の住宅リフォーム推進協議会の調査で、マンションのリフォーム費用は平均316.9万円。検討段階の予算257.7万円を60万円近く上回っています。
予算を超えた人に理由をたずねると、「設備を当初よりグレードアップしたから」が59.5%で最多となっており、前年の46.5%から13ポイントも伸びていました。
対照的に「予定より箇所が増えた」は44.6%から40.5%へ、「想定外の工事が必要となった」は18.9%から15.2%へ下がりました。やむを得ない出費から、自ら選んで上乗せする費用へと、予算の上振れの要因が置き換わっています。
(出典)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」
(出典)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2024年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」
家事動線を重視する傾向へ
都心の中古マンションを選ぶのは立地を重視する層であり、共働きの子育て世帯や忙しく働く単身者が中心と考えられます。このように時間効率を重視する層では、間取りに対する要望も実用性や機能性に寄りがちです。
先ほどの調査で、マンションのリフォーム実施者に実現したかったことをたずねたところ、「家事・育児がしやすい住宅にする、居室を増やす」の割合が12.6%から14.3%へ増加しています。
具体的な間取りプランとして注目されているのが「回遊動線」です。キッチンから洗面・脱衣室、ランドリールームなどを経て再びキッチンへと戻れる回遊動線なら、料理や食事の片付けの合間に洗濯機を回したり、子どものお風呂の様子を見守ったりといった「ながら家事・育児」がしやすくなります。
都心の中古マンションリノベーションでは、こうした実用性の高い間取りが好まれる傾向にあるのです。
(出典)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」
(出典)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2024年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」
脱・リノベ感と「メンパ志向」
内装の好みにも変化が見られます。かつてのリノベーションで人気だった、梁をあえて見せたり、ダクトレールで照明を吊るしたりといった意匠性の高い仕上げに代わり、シンプルな「リノベーション感のない」内装選ぶ人も増えているようです。
こうした変化の背景として想定できるのが「メンパ」です。メンタルパフォーマンスの略で、日経クロストレンドが2026年の消費キーワードに挙げています。コスパ、タイパに続く第3の消費スタイルで、選択や感情にかかる心理的な負荷を減らし、居心地を優先する考え方のことをいいます。
住まいに置き換えると、例えば、視界に入る情報量を削ることがあたるでしょう。色数を抑えたナチュラルな内装で目に入るノイズを減らし、無垢材や漆喰といった自然素材で心を整えるといった具合です。情報過多といわれて久しい現代において、シンプルで落ち着いた内装を求める方が増えているのは必然なのかもしれません。
(参考)日経クロストレンド「タイパの次は「メンパ」 選択しない、居心地優先、新消費トレンド」
都心の中古マンションは今が買い時?

都心で人気の高まる中古マンション購入+リノベーションですが、中古マンションは買い時といえるのでしょうか。ここでは、価格の動きと税制という2つの側面から検証していきます。
価格下落と在庫増加で広がる交渉の余地
東日本不動産流通機構によると、2026年7月の首都圏中古マンションの成約㎡単価は84.17万円で、前年同月を1.5%下回りました。5月に73ヶ月ぶりに前年を割り込んで以来、3ヶ月連続の前年比マイナスとなっています。上昇が終わったと決めつけるのは早いものの、直近数ヶ月に限れば、これまでとは異なる動きが出ていることは確かです。
ただし、東京都区部に関してはなおも上昇が続いており、成約㎡単価は75ヶ月連続の上昇を記録しています。もっとも、前年同月比の伸びは4月の10.1%から7月は2.7%まで縮小しており、勢いは明らかに鈍っています。とはいえ、成約件数は2026年に入ってからすべての月で前年を割り込んでおり、7月は前年比17.2%の大幅なマイナスとなりました。
注目したいのは、新規登録価格(売出価格)が上昇し続けている点です。7月の首都圏における中古マンション新規登録物件の㎡単価は117.86万円と、前年から20.4%も上昇しています。新規登録物件と成約物件は母集団が異なるため単純な比較はできませんが、売出価格の水準と実際に成約する価格の開きが広がっているのは、強気な価格設定に対して、買い手がつきにくい状況になっている表れといえるでしょう。
今後、条件を見直す売主が増えていくかもしれません。買う側からすれば、価格や引き渡し時期を相談しやすい時期に差しかかっているといえそうです。
(参考)公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報マーケットウォッチ サマリーレポート2026年7月度」
減税は性能次第。総額で見極める
令和8年度税制改正で、住宅ローン減税の内容が見直され、中古住宅に対する控除が拡充されました。中古住宅のなかでも、性能の高い住宅については控除期間が新築並みに見直されています。対象となるのは、2026年1月1日から2030年12月31日までに入居した場合です。具体的な内容は次のとおりです。
住宅の性能 | 借入限度額 (カッコ内は子育て世帯・若者夫婦世帯) | 控除期間 |
|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 (4,500万円) | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 (3,000万円) | 13年 |
その他住宅 | 2,000万円 (上乗せなし) | 10年 |
子育て世帯は19歳未満の扶養親族がいる世帯、若者夫婦世帯は夫婦のどちらかが40歳未満の世帯を指します。今回の改正では、従来新築にしか適用されなかった、これらの世帯への上乗せ措置が中古にも適用されるようになりました。
なお適用にあたっては、合計所得金額が2,000万円以下であること、床面積が40㎡以上(合計所得金額1,000万円超の方および上乗せ措置を利用する方は50㎡以上)であることなどの要件があります。
ただ、一定の省エネ性能が確認できる中古は築年数が比較的浅いものが多く、物件価格そのものも高くなりがちです。国土交通省の調査では、中古マンションを買って住宅ローン減税を使った世帯のうち、物件が省エネ性能の区分に該当したのは9.8%でした。ただし、この調査は2024年度に住宅を取得した世帯が対象で、改正前の制度下での数字である点は押さえておく必要があります。
物件価格とリノベーション費用を足した金額で比べると、築年数の経った住まいを安く買って、リノベーションで性能を上げるほうが経済的なケースも考えられます。初期費用はもちろん、10年・20年先までのトータルコストも踏まえて判断するとよいでしょう。
(出典)国土交通省「住宅ローン減税」
まとめ
都心の中古マンションリノベーションで見られるトレンドは、いずれも都心の新築マンション価格高騰の影響を色濃く受けています。物件価格を抑える手段として中古マンションを選ぶ人が増えるなか、中古であっても、新築並みの省エネ性能や機能性を求める動きが強まっていると考えられるでしょう。
2026年は、都心の中古マンション成約件数が減少に転じており、首都圏全体の売出価格と成約価格の差は拡大傾向にあります。価格もここ数年の上昇一辺倒から風向きが変わりつつあり、価格の相談を持ちかけやすい局面に入ったともいえそうです。中古向けの住宅ローン減税も拡充されたこのタイミングで、中古マンションリノベーションの検討をスタートしてみてはいかがでしょうか。