リノベーションは価値を上げる改装です。資材は高級品にするイメージを持つ人が多いことと思います。例えば複合フローリングから無垢フローリングに変える場合などです。

ただ、それはあくまでもグレードへのこだわりと言えるのではないでしょうか。…しかし、リノベーションで使う資材はグレードだけで考えるべきではありません。

ここで取り上げるのは古材パネル、グレードとは違った次元での選び方です。新しい資材とはテイストが完全に違い、活用方法も違います。

そこで、ここでは古材パネルのおしゃれな活用術を紹介しましょう。

古材パネルの面白さ

古材パネルの面白さ イメージ

まずは古材パネルの面白さについて取り上げましょう。

古材パネルは古材を加工して作ったパネル材で、独特の面白さがあります。具体的には色合い、木目、節などです。いずれも経年変化が進んでいるので、歴史が生み出した風格を持っています。

また、古材パネルは加工によっても味わいが違います。

例えば、古材を板状に切り出して作ったパネルがありますし、古い枕木から材料を切り出して作ったパネル、そしてテクスチュアを敢えて変えて組み立てたものなど、表情はさまざまです。

ちなみに、古材の味わいは樹種によっても異なります。例えば、パイン材とオーク材は経年変化が違うの

で、古くなった時の表情はそれだけ変わるのです。


古材パネルの活用術

古材パネルの表情は多彩ですが、活用はその用途に合わせて使います。

では、用途別としてはどのような活用術があるのしょうか。

床材

床材としての条件はフラットであること、傷つきに強いこと、表面強度が高いことなどが求められます。

そのため、使う古材もそのような条件を満たさなければいけません。

ですから、固い木のフラットパネルの表面を磨いて使うと良いでしょう。

ただし、床には人や家財の重量が掛かるので、床の下地は強度のある構造と材料でなければいけません。施工方法も問題になりますが、リノベーションなどの場合では、既存の床にパネルを張って行くカバー工法がおすすめです。

壁材

壁材はそれほど外力の掛からない部分なので、床材ほどの強度の高いパネルでなくても構わないと思われます。

また、家具の設置とも関係しますが、フラットである必要もなく、ゴツゴツとしたテクスチュアでも問題はありません。

樹種としてもあまり強度的なこだわりは無く、外見優先で良いと思われます。

ただし、後付けで棚を付ける場合や壁掛けテレビを設置する場合には注意が必要です。設置するアイテムの重量にもよっては強度が必要になるケースもあるからです。

なお、ネジを打つ場合の強度は床材に求められる強度とは性質が異なります。床の場合は圧縮や衝撃に対する強度、壁とネジの場合は引き抜けに対する強度だからです。

天井

天井もそれほど外力が掛からない部分です。

ある程度の強度は必要ですが、手に触れる部分でもないので、デザイン優先でよいでしょう。色を自分好みにしても良いですし、テクスチュアを好みにしても構いません。

また、天井の場合には天井材としてだけではなく、梁材のように使っても良いかも知れません。建物の構造材とは別にインテリアデザインの一環としてフェイクの梁材を設置します。…まさにアイデア次第です。

ただ、照明器を設置する部分は強度の確実な素材を使いましょう。照明器の重量を支持するだけの強度がないと、照明器の落下の可能性が出て来ます。

階段部分

古材パネルは階段部分にも使用は可能です。手摺や階段部分の踏面のように手足が直接掛からない部分であれば、大きな問題は無いと思われます。

また、階段手摺にも使用は可能ですが手摺は外力の掛かる部分です。古材パネルの使用は装飾用とすべきでしょう。

ちなみに、手摺は上からの力が掛かるだけでなく、横からの力が加わるので、構造設計には注意が必要です。

キッチン

キッチンは火炎を使うので向かないとも考えられますが、場所を限定すれば古材パネルの使用は可能です。

例えば、カウンターでの使用。古材を使えば渋い雰囲気のキッチンができます。

また、テーブルに古材を使うのも、落ち着いた雰囲気になるのでおすすめです。特に、木製の食器を使う場合には料理がおいしく見えるでしょう。

建具

室内のドアや室内窓まわりにも古材パネルは使用が可能です。

ドアやサッシにするならば形状を出す点で困難とは思われますが、枠部分の装飾目的としてならば使えるでしょう。

造作家具

造作家具の材料としても古材パネルは使用が可能です。古材パネルのヴィンテージ感が室内をおしゃれに飾ります。

例えば、古材パネルで作った本棚などは逸品です。木素材は温かい雰囲気を持つために、造作家具としても人気の高い素材ですが、古材パネルであれば更にシブさが加わります。

パーテーション

近年の住宅でテレワークを見据えた住宅が登場しています。ワークスペースをパーテーションで区切って使います。

さて、このようなパーテーションでも古材パネルの使用は可能です。

仕事はテレワークであっても神経が疲れるもの。古材の持つ味わいは疲れた身体に癒しを与えてくれるかも知れません。


他の素材との組み合わせについて

他の素材との組み合わせについて イメージ

古材パネルは他の素材との組み合わせも楽しめる素材です。

では、どのような素材が合うのでしょうか。

代表的な素材を挙げてみましょう。

漆喰の塗り壁

漆喰の塗り壁は単に塗ってあるだけではありません。職人のコテ捌きが際立つ逸品ものの壁とも言えるのです。

壁はある時はシャープに、またある時は有機的な曲線を描きます。

さて、このような漆喰の塗り壁に古材パネルはマッチします。どちらも味わい深い素材。古材パネルを巾木などの内装材として併せて使うと表情が豊かになることでしょう。

レンガ

レンガはゴツゴツしたテクスチュアを持つ素材で、色の温かい素材です。レトロな雰囲気を作る上で向いています。

さて、レンガも古材パネルによく合います。

特に、ダークブラウンのような落ち着いた色のものがレンガの色調に合い、柔らかい雰囲気を醸し出します。

ちなみに、レンガはそのまま使うだけではなく、表面を更に荒らして使うことも可能。一層レトロな雰囲気としてくれるでしょう。

タイル

タイルは釉薬を掛けたものと掛けないものがあります。掛けないものにはレンガのようにゴツゴツした表面のタイプもあるので、古材パネルにマッチします。

また、タイルはレンガよりも色調の幅は広いです。同じようなタイルでもイエロー系からオレンジ系、テラコッタ調まで揃っています。上手に使うとレンガよりも応用範囲が広いので、状況によって使い分けると良いでしょう。

樹種を変えて組み合わせる

古材パネルにも種類がいくつもあり、それによって経年劣化や味わいが異なります。そのため、別の種類のパネルを組み合わせても面白くなります。

例えば、パイン材とウォールナット材は色調も経年変化も違います。ホワイト系、ブラウン系、色は様々。組み合わせによって表情は変わるでしょう。

ただし、あまりにも多くの素材を組み合わせると逆に統一性が失われます。2~3種類に絞る方がベターです。


まとめ

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リノベーションにおける古材パネルの活用について取り上げました。一見すると古ぼけた素材かも知れませんが、使い方次第によっては、様々な表情を見せてくれることが把握できたのではないでしょうか。

また、場所によっては強度的に難しい場合があることも分かったことでしょう。

古材パネルは非常に味わいのある素材。更に言えば、将来的に更に味わいの出る素材。上手に利用して一層スタイリッシュなリノベーションとしましょう。