耐震補強リノベーションはどこまで必要?3つの確認ポイントと工事の効果を解説
「築年数が古い自宅、地震が来たら大丈夫だろうか」
そんな不安を抱えている方に、今注目されているのが「耐震補強リノベーション」です。耐震性を高めることで命を守り、安心して住み続けられる住まいへと生まれ変わらせる選択肢として、注目が高まっています。
本記事では、耐震補強が必要な家の見極め方から、補強工事の種類、補助金の活用方法までを具体的に解説します。
将来の不安を減らし、安心できる暮らしを手に入れるために、ぜひ参考にしてください。
なぜ今「耐震補強リノベーション」が注目されているのか
南海トラフ地震をはじめとする巨大地震のリスクが指摘される中、自宅の耐震性に不安を感じる方が増えています。
特に注意が必要なのは、1981年5月31日以前に建てられた住宅です。これは「旧耐震基準」に基づいており、現行の耐震基準に比べて地震への耐性が十分ではありません。
また、住まいに対する価値観にも変化が見られます。設備や見た目だけでなく、災害時に「命を守れる構造であるかどうか」が重視されるようになってきました。
このような背景から、自宅を安全な場所へと見直す手段として「耐震補強リノベーション」が注目を集めています。
不安を抱えたまま暮らすのではなく、今のうちに備えておくことが、家族と暮らしを守る上で大切です。
耐震性に関する3つのチェックポイント

住まいの耐震性を確認する第一歩は、今の家にどの程度の耐震性能が備わっているかを知ることです。
特に築年数が古い住宅では、見た目に問題がなくても構造的にリスクを抱えているケースがあります。
以下の3つの観点から、ご自宅に当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。
1981年(昭和56年)6月以降に建てられているか
耐震性の目安となるのが、建築された年です。
具体的には、1981年6月以降に確認申請された住宅は、新たな耐震基準に基づいて設計されていますが、それ以前の住宅は「旧耐震基準」と呼ばれ、震度6〜7の大地震に耐えられない可能性があります。
築年数が古いからといって必ずしも危険とは限りませんが、旧耐震基準の住宅は構造的に見直しが必要なケースも多いため、まずは建築年を確認し、必要に応じて耐震診断を検討しましょう。
基礎や壁にひび割れ・劣化が見られるか
住宅の土台である基礎部分や外壁に、ひび割れや欠け、剥がれなどの劣化がある場合は要注意です。
これは、地震に限らず経年によるダメージや、地盤の沈下などが影響している可能性があります。特に、無筋コンクリートや布基礎は耐震性が低い傾向にあります。
また、外から見える部分だけでなく、床下や天井裏など普段見えにくい場所にも劣化が進んでいることがあります。
見た目に問題がない場合でも、築30年以上の住宅であれば一度専門家の診断を受けておくと安心です。
耐力壁の配置や構造バランスはどうか
地震の揺れに対して建物を支えるのが「耐力壁」です。これがバランスよく配置されていないと、揺れによって建物がねじれたり傾いたりしやすくなります。
たとえば、大きな開口部がある面とそうでない面が極端に偏っている場合などは、構造的に不安定です。
設計図を見ないと判断が難しいポイントではありますが、リフォーム歴が多い家や増改築をしている家ではバランスが崩れていることもあります。
耐震診断を実施することで、壁の量や配置だけでなく、柱や梁の状態も含めて総合的に確認できます。
耐震補強はどこまで必要?工事の種類と効果
耐震補強リノベーションには、住まいの状況や築年数、そして家族のライフスタイルに応じた複数の工法があります。
ここでは、代表的な工事の種類とその効果について解説します。
どのレベルまで補強するかの判断は、耐震診断の結果をもとに決定するのが基本です。
無駄のない補強で暮らしの安心を高めるためにも、それぞれの工法の特徴を把握しておくことが大切です。
屋根の軽量化+筋交いの追加
比較的軽度の補強で済むケースでは、屋根材を軽いものに交換したり、既存の壁の中に筋交い(すじかい)を追加する方法が選ばれます。
屋根の軽量化は、地震時の揺れによる建物への負荷を抑えるのに効果的です。筋交いは、壁の強度を高め、建物の揺れや変形を防ぎます。
このレベルの補強は、建物の傷みが比較的少なく、全体の構造に大きな問題がない場合に有効です。
ただし、部分的な補強では耐震性の限界もあるため、効果を高めるには補強箇所の選定やバランスが重要です。診断結果に基づいて慎重に範囲を見極める必要があります。
外壁補強+耐力壁のバランス調整
建物全体の耐震性を向上させるためには、外壁の補強や耐力壁のバランス調整が効果的です。
たとえば、耐震パネルの設置や、柱・梁との接合部の補強、壁の配置の見直しなどが含まれます。
これにより建物のねじれや偏りが改善され、地震に対する粘り強さが増します。
この工事は、見た目のリニューアルを兼ねることもできるため、外装の老朽化が気になる方にも向いています。
築30〜40年の住宅ではこのレベルの補強で大きな安心につながるケースが多く、「やりすぎず、足りなさすぎず」の適度な補強として選ばれることが多い工法です。
基礎補強+構造体の見直し
建物の老朽化が進んでいたり、過去に大きな地震被害を受けたことがある場合には、基礎や構造体そのものを見直す「フル補強」が検討されます。
たとえば、コンクリート基礎の補強、土台の交換、柱・梁の補強、接合金物の追加など、住宅の骨組み全体を強化する大規模な工事です。
この補強レベルは、今後も長く安心して住み続けたい方や、「終の住処」としての安全性を求める方に適しています。
工事の範囲が広くなる分、生活への影響や工期も長くなる可能性がありますが、構造的な安心感を得られる点でのメリットは大きいでしょう。
補助金制度の併用も視野に入れて進めるのがおすすめです。
補助金制度や減税を活用して賢くリノベーションする方法

耐震補強リノベーションにはまとまった費用がかかるため、自治体の補助金や税制優遇を上手に活用することが大切です。
多くの自治体では、耐震診断や耐震改修に対して補助金制度を設けており、中には100万円以上の補助が受けられるケースもあります。
地域や制度によって条件や支給額は異なりますが、要件を満たせば自己負担を大幅に軽減できるため、リノベーションを検討する際は必ず確認したいポイントです。
また、耐震改修後の住宅については、固定資産税の減額や住宅ローン減税など、税制面での優遇を受けられることもあります。
ただし、これらの制度は事前申請や所定の証明書類が必要なケースが多く、手続きが複雑になりがちです。
確実に補助や減税を受けるためには、制度に精通したリフォーム会社に相談し、サポートを受けながら進めるのが安心です。
まとめ
日本で暮らしている以上、地震のリスクから完全に逃れることはできません。
「そのうち考える」では手遅れになる可能性もあります。
だからこそ、地震は「いつか来る」ではなく「いつ来てもおかしくないもの」と捉え、今できる備えを始めることが大切です。
住まいの安全性は、家族の命を守るための土台であり、安心した日常を支える柱でもあります。
まずは、自宅がどのような構造になっているのか、どの程度の補強が必要なのかを知ることから始めましょう。
無理のない範囲で、今の暮らしに合った耐震補強を計画することで、将来への不安を小さくできます。
大和ハウスウッドリフォームなら、耐震診断から補助金サポート、設計・施工まで一貫して対応可能。
不安を感じたそのときが、住まいと暮らしを見直す最適なタイミングです。ぜひお気軽にお相談ください。
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