窓の近くにいると冬は冷気を感じる、夏は日差しによって部屋が暑くなる、外から車や電車の音が聞こえるなど、窓まわりに悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

実は、窓ガラスの種類によって、住まいの断熱性能や防音性能は大きく変わります。

見た目が似ているガラスでも、枚数や内部の構造、特殊な金属膜や中間膜の有無によって、得られる効果は異なります。

 

ただし、断熱性能の高いガラスが、必ずしも防音性能にも優れているとは限りません。

窓の性能にはサッシの素材や気密性も関係するため、改善したい悩みに合ったガラスやリフォーム方法を選ぶことが大切です。

 

この記事では、断熱・防音性能に関わる窓ガラスの種類や選び方、窓の性能を高めるリフォーム方法について解説します。

断熱・防音性能に関わる窓ガラスの主な種類


窓ガラスには、1枚のガラスで構成されたものから、複数のガラスや特殊な膜を組み合わせたものまで、さまざまな種類があります。

断熱性能は、ガラスの枚数やガラス間の空気層、Low-E膜などによって変わります。

一方、防音性能はガラスの厚さや組み合わせ、窓全体の気密性などによって左右されます。

それぞれの特徴を理解し、住まいの環境や改善したい悩みに合ったものを選びましょう。

ガラスの種類

主な構造

断熱性能

防音性能

おすすめの場所・ケース

単板ガラス

1枚のガラス

低い

ガラスの厚さによって異なる

断熱・防音を重視しない場所、室内建具など

複層ガラス

2枚のガラス+中空層

標準~高い

構成によって異なる

リビング、寝室、子ども部屋など

Low-E複層ガラス

複層ガラス+Low-E膜

高い

構成によって異なる

冬の寒さや夏の日差しが気になる部屋

トリプルガラス

3枚のガラス+2つの中空層

非常に高い

構成によって異なる

寒冷地、北側の部屋、大きな窓

真空ガラス

2枚のガラス+真空層

高い

製品によって異なる

既存のサッシを活かして断熱性を高めたい場合

防音合わせガラス

2枚のガラス+防音特殊中間膜

構成によって異なる

高い

幹線道路や線路沿い、楽器を演奏する部屋

異厚複層ガラス

厚さの異なる2枚のガラス+中空層

標準~高い

高い

交通騒音や室内からの音漏れが気になる場所

※断熱・防音性能は、ガラスの厚さや中空層の幅、サッシとの組み合わせ、製品の仕様などによって異なります。

単板ガラス

単板ガラスは、1枚のガラスだけで構成された一般的な窓ガラスです。

築年数が経過した住宅を中心に使われており、構造がシンプルで価格を抑えられる点が特徴です。

 

一方、室内外の熱が伝わりやすいため、冬は窓の近くで冷気を感じたり、夏は外からの熱が室内へ入り込んだりすることがあります。

ガラス表面の温度が外気の影響を受けることで、冬場に結露が発生する場合もあります。

遮音性はガラスの厚さによって変わりますが、住宅で一般的に使われている薄い単板ガラスでは、十分な防音効果を得られないことがあります。

複層ガラス(ペアガラス)

複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気やガスを封入した中空層を設けたガラスです。

「ペアガラス」と呼ばれることもあります。

ガラス間の中空層が熱の移動を抑えるため、単板ガラスよりも断熱性能が高く、窓際の冷えや結露の軽減につながります。

冷暖房で整えた室温を維持するうえでも有効です。

 

ただし、複層ガラスは主に断熱性を高めるための構造です。

同じ厚さのガラスを組み合わせた一般的な複層ガラスでは、特定の音域でガラス同士が共鳴し、期待した防音効果を得られないことがあります。

Low-E複層ガラス

Low-E複層ガラスは、複層ガラスの内側に「Low-E膜」と呼ばれる特殊な金属膜を設けたガラスです。

Low-Eは「Low Emissivity」の略で、熱の放射を抑える性質を意味します。

中空層に加えてLow-E膜が熱の移動を抑えるため、一般的な複層ガラスよりも高い断熱性能が期待できます。

冬の暖房熱を外へ逃がしにくくするだけでなく、仕様によっては夏の日射熱が室内へ入るのを抑えることも可能です。

一方、Low-E膜は断熱や日射のコントロールを目的としたものであり、それだけで防音性能が大きく高まるわけではありません。

防音性も重視する場合は、ガラスの厚さや構成まで確認しましょう。

トリプルガラス

トリプルガラスは、3枚のガラスと2つの中空層で構成されたガラスです。

複層ガラスよりも空気層が多いため、室内外の熱移動を抑え、高い断熱性能を発揮します。

寒冷地の住宅や北側の部屋、面積の大きな窓など、特に高い断熱性能が求められる場所に適しています。

Low-E膜やアルゴンガスなどを組み合わせた製品もあり、窓から逃げる熱をさらに抑えられます。

 

ただし、ガラスの枚数が増えることで重量や厚みが大きくなるため、既存のサッシに取り付けられない場合があります。

窓全体の交換が必要になる可能性も含め、施工条件を確認することが重要です。

真空ガラス

真空ガラスは、2枚のガラスの間に薄い真空層を設けたガラスです。

空気がほとんど存在しない真空層によって熱の伝わりを抑え、薄い構造でも高い断熱性能を確保できます。

一般的な複層ガラスより薄く設計された製品もあり、現在の窓枠を活かしながら、ガラスだけを交換できる場合があります。

サッシ全体を交換せずに、窓の断熱性を高めたい場合の選択肢となるでしょう。

ただし、取り付けられる窓の種類やサイズは製品によって異なります。

防音性能についても製品ごとに差があるため、希望する性能と既存サッシへの適合性を確認する必要があります。 

防音合わせガラス

防音合わせガラスは、2枚のガラスの間に遮音性を高める特殊な中間膜を挟んだガラスです。

中間膜がガラスの振動を抑えることで、幅広い音域に対して防音効果を発揮します。

幹線道路や線路沿いの住宅、航空機の音が気になる地域など、外部からの騒音を軽減したい場合に適しています。

ピアノやオーディオ、ペットの鳴き声など、室内から外へ漏れる音の対策にも利用できます。

防音合わせガラスだけでは、複層ガラスのような中空層による断熱効果を得られない場合があります。

断熱性と防音性の両方を求める場合は、合わせガラスを組み込んだ複層ガラスなどを検討しましょう。

異厚複層ガラス

異厚複層ガラスは、厚さの異なる2枚のガラスを組み合わせた複層ガラスです。

通常の複層ガラスと同じように、中空層によって断熱性能を高めながら、防音性にも配慮されています。

同じ厚さのガラスを組み合わせると、特定の周波数で2枚のガラスが共鳴し、遮音性能が低下することがあります。

異厚複層ガラスは、それぞれのガラスの厚さを変えることで共鳴する周波数をずらし、音が通り抜けるのを抑える仕組みです。

交通騒音や人の話し声、テレビなどの音が気になる住まいに適しています。

ただし、音の高さや種類によって効果が異なるため、対策したい音に合ったガラス構成を選ぶことが大切です。

 

断熱性能を高めたい場合の窓ガラス選びのポイント


窓の断熱性能を高めると、外気温の影響を受けにくくなり、室内の暑さや寒さを軽減できます。

ただし、性能の高いガラスを選ぶだけでは、住まいに適した窓になるとは限りません。

地域の気候や窓の方角、既存のサッシなども確認し、住まい全体の条件に合った窓ガラスを選びましょう。

Low-E複層ガラスやトリプルガラスを選ぶ

断熱性能を重視する場合は、Low-E複層ガラスやトリプルガラスが有力な選択肢です。

複数枚のガラスと中空層に加え、Low-E膜や断熱性の高いガスを組み合わせることで、窓から出入りする熱を抑えられます。

窓際の冷えが強い部屋や、暖房を使用しても室温が下がる部屋では、Low-E複層ガラスへの交換によって快適性の向上が期待できます。

より高い断熱性能を求める場合は、トリプルガラスも検討するとよいでしょう。

 

ただし、ガラスの重量や厚みが増えると、既存サッシに取り付けられないことがあります。

サッシの状態や窓の開閉方法まで含めて、施工可能な仕様を確認することが重要です。

窓の方角や日当たりに合わせて断熱・遮熱タイプを使い分ける

Low-E複層ガラスには、一般的に断熱タイプと遮熱タイプがあります。

断熱タイプは日射取得型、遮熱タイプは日射遮蔽型と表現されることもあり、太陽の熱を室内に取り込む量に違いがあります。

冬の日差しを暖房の補助として活かしたい南側の窓には、日射を取り込みながら室内の熱を逃がしにくい断熱タイプが適しています。

 

一方、夏の強い日差しや西日が入り込む窓では、日射熱を抑える遮熱タイプが候補となります。

すべての窓を同じ仕様にすると、夏は快適でも冬の日差しを活かせないなど、季節によって不都合が生じる場合があります。

窓の方角や庇の有無、周辺の建物、部屋の用途を踏まえて使い分けましょう。

結露対策はガラスだけでなくサッシも含めて考える

結露は、室内の暖かく湿った空気が冷たいガラスやサッシに触れ、空気中の水分が水滴になることで発生します。

断熱性の高いガラスに交換すると室内側の表面温度が下がりにくくなり、結露の軽減が期待できます。

 

しかし、ガラスだけを高性能なものに交換しても、熱を伝えやすいアルミサッシや窓の隙間が残っていれば、サッシ部分に結露が発生する可能性があります。

すきま風やサッシの劣化がある場合も、ガラス交換だけでは十分に改善できないことがあります。

 

結露を抑えるには、ガラスとサッシを含めて窓全体の断熱性能を確認することが大切です。

室内の湿度や換気方法も結露に関係するため、窓リフォームとあわせて住まい方を見直しましょう。

 

防音性能を高めたい場合の窓ガラス選びのポイント


防音性能を高めるには、音の種類と侵入経路に合った窓ガラスを選ぶ必要があります。

単にガラスの枚数を増やすだけでは、期待した効果を得られないこともあります。

ガラスの構造だけでなく、サッシの気密性や換気口など、窓まわり全体から音が入っていないかを確認しましょう。

防音合わせガラスや異厚複層ガラスを選ぶ

外からの騒音や室内からの音漏れを抑えたい場合は、防音合わせガラスや異厚複層ガラスが選択肢となります。

防音合わせガラスは、特殊な中間膜によってガラスの振動を抑える構造です。

車や電車、人の話し声など、さまざまな音域に対して遮音効果が期待できます。

異厚複層ガラスは、厚さの異なるガラスを組み合わせることで、通常の複層ガラスに生じる共鳴を抑えます。

断熱性と防音性の両方を高めたい場合に適していますが、必要な性能は周辺環境によって異なります。

製品ごとの遮音性能を確認し、住まいの環境に合ったものを選びましょう。

気になる音の種類や大きさに合わせて選ぶ

音には、車の走行音や人の話し声のように空気を通して伝わる音と、工事や大型車両による振動のように建物を通して伝わる音があります。

窓の交換で対策しやすいのは、主に空気を通して伝わる音です。

ただし、同じ騒音でも、高い音と低い音ではガラスを通過する性質が異なります。

低音や振動を伴う音は、窓だけでは十分に軽減できないこともあります。

防音対策を考える際は、音が気になる時間帯や発生場所、音の高さなどを整理しましょう。

楽器の練習やホームシアターなど、室内からの音漏れを抑えたい場合は、壁や天井、換気口を含めた対策が必要になることもあります。

窓の隙間やサッシの気密性も確認する

音は、ガラスだけでなく窓枠のわずかな隙間からも出入りします。

高性能な防音ガラスを採用しても、サッシの気密性が低い場合は、窓全体として十分な防音性能を発揮できません。

 

特に、築年数が経過した住宅では、サッシの変形や部品の摩耗、気密材の劣化によって隙間が生じていることがあります。

窓を閉めても外の音がはっきり聞こえる場合や、すきま風を感じる場合は、サッシの状態も確認しましょう。

既存サッシの状態が良ければ、ガラス交換で対応できる場合があります。

 

一方、隙間や開閉不良がある場合は、内窓の設置やサッシを含めた交換を検討したほうが、断熱・防音性能の改善につながります。

 

窓の断熱・防音性能を高めるリフォーム方法


窓の断熱・防音性能を高めるリフォームには、ガラスだけを交換する方法、内窓を設置する方法、窓とサッシをまとめて交換する方法があります。

工事の規模や得られる効果は、それぞれ異なります。

既存サッシの状態や改善したい性能、予算を踏まえて、住まいに合った方法を選びましょう。

既存のサッシを活用してガラスだけを交換する

既存のサッシに大きな劣化や不具合がなければ、サッシを残してガラスだけを交換する方法があります。

工事範囲が小さく、窓全体を交換する場合と比べて費用や施工時間を抑えられる点がメリットです。

単板ガラスから複層ガラスや真空ガラスへ交換すれば、断熱性能の向上が期待できます。

防音合わせガラスや異厚複層ガラスを選ぶことで、騒音対策につなげることも可能です。

 

ただし、ガラスの厚さや重量によっては、現在のサッシに取り付けられない場合があります。

また、ガラスを交換してもサッシ自体の断熱性や気密性は変わりません。

事前に取り付け条件と改善できる範囲を確認しましょう。 

今ある窓の内側に内窓を設置する

内窓は、既存の窓を残したまま、その室内側に新しい窓を取り付ける方法です。

2つの窓の間に空気層ができるため、外気の影響や音の透過を抑えられます。

断熱性と防音性を同時に高められる点が大きなメリットです。

壁を大きく壊す必要がなく、比較的小規模な工事で施工できます。

リビングや寝室など、特に寒さや騒音が気になる部屋から取り入れる方法もあります。

 

一方で、窓を開閉する際は、既存窓と内窓の両方を操作しなければなりません。

窓枠の奥行きやカーテンとの干渉、掃除のしやすさなども確認したうえで検討しましょう。

カバー工法などで窓とサッシを交換する

既存サッシの断熱性や気密性が低い場合、ガラスだけでなく窓とサッシをまとめて交換する方法があります。

カバー工法は、既存の窓枠を残し、その上から新しい窓枠を取り付ける工法です。

壁を大きく壊さずに施工できるため、既存枠を撤去する方法と比べて工事範囲を抑えられます。

古いサッシを新しい断熱サッシへ交換することで、ガラスとサッシの両面から性能を改善できます。

 

ただし、既存枠の内側に新しい枠を取り付けるため、窓の開口部が以前より小さくなる場合があります。

既存枠の劣化が進んでいる場合や、窓の大きさ・位置を変更したい場合は、壁の一部を解体して窓全体を交換する方法も検討しましょう。

 

窓ガラスを見直して一年中快適な住まいを目指そう

窓ガラスには、単板ガラスや複層ガラス、Low-E複層ガラス、真空ガラス、防音合わせガラスなど、さまざまな種類があります。

断熱性能を重視する場合はLow-E複層ガラスやトリプルガラス、防音性能を重視する場合は防音合わせガラスや異厚複層ガラスが主な選択肢です。

 

ただし、窓の性能はガラスだけで決まるものではありません。

既存サッシの素材や劣化状況、窓全体の気密性も確認する必要があります。

ガラス交換で対応できる住まいもあれば、内窓の設置やカバー工法による窓全体の交換が適しているケースもあります。

改善したい悩みと住まいの状態を整理し、適切なリフォーム方法を選びましょう。

 

大和ハウスウッドリフォームでは、窓まわりの部分リフォームから、床・壁・天井などを含めた住まい全体の断熱リフォームまで、建物の状態や暮らし方に合わせたプランをご提案しています。

窓際の寒さや夏の暑さ、結露、外からの騒音などにお悩みの方は、ぜひご相談ください。