「令和8年熊本地震」をはじめ、2026年も各地で被害を伴う地震が発生しています。築年数が経過した戸建てにお住まいの方のなかには、耐震リフォームを検討している方もいるのではないでしょうか。

 

この記事では、木造住宅の耐震リフォームにかかる費用の目安をご紹介。2026年現在で使える補助金や減税制度の詳細もお伝えします。

【2026年最新】耐震リフォームの費用相場はいくら?


耐震リフォームにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。公的データをもとに、2026年の最新費用相場を検証していきます。

木造住宅の耐震補強費用は約180万〜210万円が目安

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が、過去に耐震診断を受けた方を対象に実施したアンケートでは、耐震補強工事の平均額は167万円、中央値は140万円でした。ただし、この数字は2021年時点の集計で、その後の資材費や人件費の値上がりが反映されていません。

 

2026年時点の費用相場を試算するため、ここに、建築費の動きを示す国土交通省の建設工事費デフレーター(木造住宅)を当てはめてみましょう。2020年度平均100.0に対して、2026年5月は126.7です。先ほどの金額をこの数値で換算すると、180万〜210万円あたりが2026年の目安になります。(※)

 

東京都も、耐震改修工事にかかる費用は150万〜200万円程度としており、上記と大きな隔たりはありません。基礎や壁、屋根などの箇所別の費用感は、東京都が公開している耐震改修工法の事例集が参考になります。

 

※木耐協のアンケートは2021年時点の集計のため、2020年度の数値を用いたものとして試算

 

(出典)日本木造住宅耐震補強事業者協同組合「耐震補強工事の方法」

(出典)国土交通省「建設工事費デフレーター」

(出典)東京都都市整備局「木造住宅の安価で信頼できる「耐震改修工法・装置」の事例紹介」

 

費用を左右するのは築年数ではなく「いつの耐震基準か」

耐震改修費用を左右するのは築年数ではありません。ポイントになるのは「どの耐震基準のもとで建てられたか」です。木造住宅に適用された耐震基準は、建築確認を受けた時期によって大きく3つに分けられます。

 

木造住宅の耐震基準の区分

区分

建築確認を受けた時期

特徴

旧耐震基準

1981年5月31日以前

震度5強程度の中規模地震で建物が倒壊しないレベルの耐震性

新耐震基準

1981年6月〜2000年5月

震度6強〜7程度の大規模地震でも建物が倒壊しないレベルの耐震性

2000年基準

(新・新耐震基準)

2000年6月以降

新耐震の要件に加え、地盤に応じた基礎設計、接合部と壁の配置に関する規定が追加

 

一般的に「新耐震基準を満たせば安心」と考えられがちですが、2016年の熊本地震では、2000年5月以前に建てられた新耐震基準の木造住宅でも、倒壊・崩壊や大破の被害が約18%生じています。こうしたことから、東京都をはじめとする自治体は、2000年基準を満たさない新耐震基準の木造住宅の耐震化にも支援範囲を拡大しています。

 

逆に、旧耐震だからフルメニューでの耐震補強が必要というわけでもありません。同じ築50年でも、増改築の履歴や傷み具合で必要な補強の程度は変わります。だからこそ、まずは耐震診断で現況を確認する必要があるのです。

 

(出典)東京都耐震ポータルサイト「新耐震基準の木造住宅への耐震化支援」

 

費用を出す前に受ける耐震診断|評点1.0が補助金の分かれ目


耐震リフォームの前に受けるべきなのが耐震診断です。専門知識を持つ調査員が、床下や天井裏といった見えない部分までチェックし、壁の量や配置、接合部の状態を調べ、上部構造評点という数値で示します。評点1.0が現行の耐震基準に当たる水準であり、1.0を下回ると倒壊のおそれがあると判断されます。

 

この評点が、補助金を受けられるかどうかの分かれ目にもなるので注意が必要です。多くの自治体が、診断で1.0未満と判定され、工事後に1.0以上へ上がることを補助の条件としています。

 

なお、診断を受けるのに費用の心配はそれほど必要ありません。なぜなら、国の「住宅・建築物安全ストック形成事業」により、国と地方を合わせて費用の2/3の支援を受けられるからです。自治体によっては全額補助が受けられる場合もあります。

 

耐震リフォームでどこを補強するかは、診断結果とそれに基づく補強計画で決まります。

 

(出典)国土交通省「住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)」

 

 

2026年の耐震リフォーム補助金・助成金|国と首都圏自治体の制度

耐震リフォームには、国と自治体による支援が用意されています。国の制度の位置付けについて確認したうえで、東京都世田谷区・横浜市・川崎市の事例をみていきましょう。

国の支援は自治体経由|住宅・建築物安全ストック形成事業

国の支援の柱となるのは、前述の「住宅・建築物安全ストック形成事業」です。令和8年度も続いており、住宅の耐震改修には国と地方合わせて115万円のパッケージが用意されており、密集市街地などでは175万円まで増額されます。

 

この制度は、国が個人へ直接お金を支援するわけではありません。自治体が設けた補助制度を、国が費用面でサポートするという仕組みです。そのため、申し込み先は国ではなく、お住まいの市区町村の窓口となります。

 

(出典)国土交通省「住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)」

東京都世田谷区の耐震化支援事業

ここからは、3つの自治体を例に支援内容をご紹介します。

 

東京都世田谷区では、1981年5月までに着工した住宅と、1981年6月から2000年5月までに着工した住宅とで、別々の支援制度が用意されています。どちらの制度も、区に登録された耐震診断士が無料で派遣されます。耐震改修工事についても、住宅の所在エリアや工事の種類に応じて170万円または220万円を上限とする助成を受けることが可能。申請者本人や同居者が身体障害者手帳(1・2級)をお持ちの場合や要介護状態にある場合には、上乗せ助成により最大300万円の助成を受けられる可能性があります。

 

ただし、地階以外が木造軸組構法で建てられている必要があります。その他の細かな要件については、自治体のホームページをご覧ください。

 

(出典)世田谷区「昭和56年5月までに新築された木造住宅の耐震化支援事業」

(出典)世田谷区「昭和56年6月〜平成12年5月に新築された木造住宅の耐震化支援事業」

横浜市木造住宅耐震改修補助制度

横浜市も、木造住宅を対象にした耐震改修補助制度を設けています。耐震改修工事の補助限度額は、一般世帯で115万円、住民税の非課税世帯では155万円です。

 

対象になるのは、2000年5月末日以前に建築確認を受けて着工した2階建て以下の木造個人住宅で、在来軸組構法のものに限られます。加えて建築士の診断で評点1.0未満と判定されている必要があります。市の無料診断の結果はこの補助に使えないため、あらためて建築士へ依頼してください。

 

また、断熱化工事などを同時に行い、省エネ性能が所定の基準にアップする場合、上限100万円の加算も用意されています。

 

(出典)横浜市「横浜市木造住宅耐震改修補助事業」 

川崎市木造住宅耐震改修助成制度

川崎市の「木造住宅耐震改修助成制度」は、2026年4月から、1981年6月〜2000年5月31日までに着工した木造住宅でも申請できるようになりました。上記の世田谷区や横浜区と同様、2000年基準を満たさない、2階建て以下の木造在来軸組構法で建てられた住宅が対象となります。

 

建物全体を改修する場合の助成限度額は、一般世帯の場合で耐震改修計画の20万円と補強工事の110万円を合わせた130万円。非課税世帯では工事分の助成額が160万円に増え、限度額は合計180万円です。壁や屋根など一部だけを直す部分改修も選べるのが特徴で、こちらは一般世帯100万円、非課税世帯135万円が限度です。

 

診断士と施工者は、市に登録された診断士および事業者の中から選ぶ決まりになっています。また、申請前に市職員による現地調査を受ける必要があるので注意してください。

 

(出典)川崎市「木造住宅耐震改修助成制度」

 

なお、都内や神奈川県、埼玉県、千葉県など、ここで触れなかった地域の制度も下記から検索できます。

 

(参考)一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」


補助金と併用できる減税制度


耐震リフォームを行った場合、所得税と固定資産税の減税制度を利用できる可能性があります。

 

ただし、先述の補助金と対象範囲が異なる点には注意が必要です。所得税の控除は「1981年5月31日以前に建築された住宅」を現行の耐震基準に適合させる工事、固定資産税の減額は「1982年1月1日以前から所在している住宅」が対象で、いずれも旧耐震基準の住宅に限られます。横浜市や川崎市のように、2000年5月以前の新耐震基準の住宅まで補助対象とする自治体もありますが、減税制度の対象になるとは限りません。

 

所得税に関しては、耐震改修にかかった標準的な工事費用相当額の10%が、工事完了後に住み始めた年の分の所得税から控除されます。耐震改修分の上限額は250万円なので、10%分の25万円が最大控除額です。また、あわせて行った増改築等工事についても一定額まで5%が控除され、これらもすべて合計した最大控除額は62.5万円となります。なお、補助金を利用した場合には、標準的な工事費用相当額から補助金分を差し引いて控除額を計算する決まりです。つまり、補助金の分だけ控除は減るということになります。

 

令和8年度税制改正で適用が3年延長され、2028年12月31日までに工事を終えて住み始めた方が対象となっています。所得税控除を受ける場合、工事翌年の確定申告で申請する必要があるので注意しましょう。

 

固定資産税については、工事翌年度分のみ、税額が1/2に減額されます。こちらは2021年3月31日までの措置です。軽減を受けるには、確定申告ではなく、工事完了後3ヵ月以内に市区町村へ申請する必要があります。所得税と混同しないよう気をつけてください。

 

細かな要件や必要書類は、国土交通省のホームページで確認しましょう。

 

(参考)国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」

 

まとめ

耐震リフォームにかかる費用は、2026年の水準で約180万〜210万円が目安です。耐震リフォーム実施前には、建築士による耐震診断が必要となります。診断結果に基づき、リフォーム会社に適切な耐震補強計画を提案してもらいましょう。

 

耐震診断や耐震リフォームには費用がかかりますが、国と自治体による手厚い支援制度が用意されています。また、所得税と固定資産税の軽減も併用可能です。お住まいの耐震性に不安があるなら、まずはリフォーム会社に相談してみるとよいでしょう。

 

大半の自治体は、交付決定前に着工したリフォームを支援対象外としています。地元での耐震リフォームの施工実績が豊富なリフォーム会社に依頼し、正しい順序で進めるようにしてください。

 

大和ハウスウッドリフォームでは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県(一部地域を除く)にある木造一戸建て(2階建て)の建物(2×4工法を除く)を対象に、「住まいまるごとリフォーム」による耐震計画を目的とした無料の耐震診断を受け付けています。診断結果をもとに耐震工事プランをご提案し、安心して暮らせる住まいづくりをサポートいたします。

 

上記エリアで耐震リフォームを検討している方は、ぜひ耐震診断をお申し込みください。

 

大和ハウスウッドリフォームの耐震診断