住み替えローンとは?残債があっても自宅を住み替えられる仕組みと注意点を解説
「今の家が手狭になったが、ローンの返済が残っている」
「売却しても完済できそうになく、住み替えを諦めている」
このように、資金の問題で住み替えに二の足を踏んでいる方もいるのではないでしょうか。しかし「住み替えローン」を使えば、住宅ローンの返済が残っている場合でも、スムーズに新居へ住み替えられる可能性があります。
この記事では、残債のある方の強い味方になる「住み替えローン」の仕組みやメリット、注意点を解説します。
住み替えローンとは?仕組みと審査基準

住み替えローンとは、現在の家のローン残債と、新居の購入資金を合算して借入できるローンのこと。
通常、売却価格がローン残高を下回る「オーバーローン」の状態では、差額を現金で用意しなければ売却できません。しかし、住み替えローンを使えば、差額分の現金を用意しなくても住み替えできます。
現在のローン残債と新居の購入資金を一本化できるローン
住み替えローンの最大の特徴は、今のローンを完済していなくても、新居の購入資金と合わせて一本のローンを組める点です。
例えば、ローン残高3,000万円の自宅が2,500万円でしか売れなかった場合、通常は不足分500万円を現金で支払う必要があります。しかし住み替えローンなら、この500万円と新居の購入資金をまとめて借りられます。
ただし、購入資金や残債は借入できても、諸費用は現金払いが基本です。また、対応する金融機関が限られる点も覚えておきましょう。
利用できる人の条件と一般的な審査基準
住み替えローンは、新居の担保価値以上の金額を借り入れるため、銀行側のリスクが高く、通常の住宅ローンより審査が厳しくなる傾向にあります。特に重視されるのは以下のポイントです。
・返済負担率(返済比率)
借入額が増える分、年収に対する年間返済額の割合が高くなりやすく、審査が厳しくなります。
・完済時の年齢
初めてマイホームを購入する層に比べて、住み替え層は年齢が高め。多くの金融機関は住宅ローンと同じ80歳を完済時年齢の上限としていますが、借入時の年齢が高いので、返済期間は短くなりがちです。
加えて、信用情報に問題がないことや、団体信用生命保険(団信)への加入も必須とされるケースが多くなっています。
住み替えローンを利用する3つのメリット
住み替えローンを利用した住み替えには、次の3つのメリットがあります。
住宅ローンの残債があっても住み替えられる
最大のメリットは、先述のとおり、売却代金でローンを完済できないオーバーローン状態でも、スムーズに住み替えができる点です。
通常であれば、残債との差額を一括返済する必要がありますが、住み替えローンを使えば、一括返済のための自己資金を用意せずに済みます。これにより、教育費や老後資金などを温存できるほか、資金不足を理由に売り急ぐ必要がなくなり、自宅を納得のいく価格で売却しやすくなるでしょう。
二重ローン(ダブルローン)を組む必要がない
今の自宅の住宅ローンを返済しながら新居のローンも組む「二重ローン」は、返済による家計負担が重くなります。
一方、住み替えローンを組めば、旧居の残債と新居の資金を一本化できるため、二重ローン期間が発生しません。残債も含めて長期で借り入れられるうえ、返済口座が一つにまとまり家計管理がラクになるのもポイント。新生活にゆとりが生まれるでしょう。
残債があっても住宅ローン控除を利用できる
住み替えローンを組んだ場合でも、要件を満たせば住宅ローン控除の対象となります。ただし、残債分を含む借入額すべてが控除対象となるわけではなく、原則として新居の購入価格等が上限となる点には注意が必要です。
また、売却で損が出た場合には、所得税の「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」も利用可能。これは売却損を給与所得などから差し引き、税金を軽減できる制度です。住宅ローン控除と併用すれば大きな節税効果が期待できます。
知っておくべきデメリットと利用時の注意点
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住み替えローンの利用にあたっては注意点もあります。事前に正しく把握しておきましょう。
通常の住宅ローンより金利が高く設定されている
住み替えローンは、銀行にとってリスクが高い商品であるため、金利は住宅ローンに比べて高めに設定されるのが一般的です。たとえわずかな金利差でも、ローンの借入額が大きいため、総返済額には大きな差が生まれます。
また、変動金利を選ぶ場合は、将来の金利上昇リスクをダイレクトに受けます。2026年1月現在、ローン金利は上昇傾向にあるため、将来の返済が家計を圧迫しないよう、十分なシミュレーションが必要です。
借入額が増えるため審査の返済負担率が厳しくなる
住み替えローンには旧居の残債が上乗せされる分、借入額が多くなり、年収に対する返済負担率も必然的に高くなります。多くの金融機関は「返済負担率30〜35%程度」を上限としているため、残債が大きいと希望額まで借りられない可能性も。
少しでも審査を有利に進めるには、自動車ローンなどの他の借入を完済して返済負担率を下げるか、共働きであれば収入合算で世帯年収を上げるといった対策が考えられます。
売却と購入の決済日を合わせる調整が必要になる
実務上で大変なのがスケジュール調整です。原則として「旧居の引き渡し(旧居のローン完済)」と「新居の引き渡し(住み替えローンの融資実行)」を同日に行わなければなりません。
売主、買主、金融機関など多くの関係者の都合を合わせる必要があり、もし自宅の売却が延期になれば、新居の購入もストップするリスクがあります。自宅売却が済んでいない状態で新居の決済をしなければならない事態を防ぐためにも、売買契約書には必ず「買い替え特約(自宅が売れなければ白紙解約できる特約)」を盛り込んでもらいましょう。
諸費用の支払いは原則として現金が必要になる
自己資金がまったくなくても住み替えできるのかというと、そういうわけではありません。住み替えローンを利用したとしても、多くの場合、諸費用の支払いには現金が必要になります。
特に「手付金」は新居の契約時に現金で支払う必要があり、融資実行前に準備しなければなりません。新居購入に際しては、他にも仲介手数料や登記費用などがかかります。住み替えローンを使うからと油断せず、諸費用分+αの現金は用意しておきましょう。
住み替えローンを利用する具体的な流れ

実際に住み替えローンを利用するまでの流れを、5つのステップで解説します。
ステップ1:ローン残債の確認と資金計画
まずは現状把握です。インターネットバンキングや残高証明書の請求などにより、正確な残債を確認します。次に不動産会社に査定を依頼し、自宅の売却価格を見積もります。残債から売却予想額を引いた不足分に新居の予算を加え、いくら借りる必要があるのか計画を立てましょう。
ステップ2:住み替えローンの事前審査
ステップ1で求めた予算をもとに、売却活動前に金融機関の事前審査を受けます。実際に住み替えの検討を始めると、スケジュールがタイトになりやすいためです。住み替えローンは取り扱う金融機関が限られるため、早めに比較検討して申し込みましょう。他の借入はこの時点で整理しておくとスムーズです。
ステップ3:売却活動と新居探しを並行する
決済日を同日に合わせるため、売却と購入は同時並行で進めます。新居の契約書には必ず「買い替え特約」を入れ、リスクヘッジを忘れないようにしましょう。
自宅の売却活動では、引き渡し日の調整に柔軟に応じてくれる買主を見つけるのが成功のコツです。売却と購入の両方を一貫してサポートしてくれる不動産会社に依頼すると、連携がスムーズになります。
ステップ4:本審査と最終的な日程調整
売買契約を結んだら、銀行に本審査を申し込みます。承認後、売却決済日と購入決済日が同日になるよう最終調整を行います。万が一のスケジュール変更に備え、一時的な荷物の預け先や仮住まいの手配も視野に入れておくと安心です。
ステップ5:決済・引き渡し・融資実行
決済当日は銀行に関係者が集まり、一連の手続きを行います。
買主から代金を受け取って旧居のローンを完済し、続けて住み替えローンの融資実行を受けて新居の代金を支払います。旧居の抵当権抹消と新居への引き渡しが同日中に完了する慌ただしい一日ですが、不動産会社や金融機関の担当者、司法書士が主導するため、指示に従って手続きを行えば問題ありません。
まとめ
住み替えローンは、自宅のローン残債がある状態でも、スムーズに住み替えられる選択肢です。しかし、自宅売却と新居探しを同時並行で進めなければならず、スケジュール調整などに不安を感じる場面もあるでしょう。滞りなく住み替えるには、事前に資金計画をしっかり立て、売却と購入をトータルでサポートしてくれるパートナーを見つけることが大切です。