自分らしい住まいを叶える手段として人気の中古マンションリノベーション。新築を購入するよりも、自由度高く住まいをデザインできる点が魅力です。しかし、物件選びを間違えると、構造上の理由で希望の工事ができなかったり、予算オーバーになったりすることも。

 

後悔を防ぐには、購入前にリノベ向きの物件かどうかを見極めることが大切です。この記事では、中古マンションの物件選びで確認すべきポイントや、リノベーションで変えられない部分について解説します。

リノベ向きの中古マンションを見極める4つの基準

 リノベを前提に中古マンションを検討する場合、次の4つの基準で、リノベ向き物件かどうかを見極めましょう。

(1)希望するリノベ内容に応じた構造の物件を選ぶ

建物構造は、リノベにおける間取り変更の自由度を大きく左右します。マンションの構造は、大きく「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類です。

 

ラーメン構造は柱と梁で支えるのが特徴。仕切り壁を撤去しやすく、間取り変更の自由度が高いとされます。一方、壁式構造は耐力壁と呼ばれる壁で建物を支えるため、壁を取り払っての間取り変更をしにくい点がネックです。一方で、室内に柱や梁が出てこないので、レイアウトがしやすいというメリットも。

 

間取りの自由度を優先するならラーメン構造、空間をスッキリ見せたいなら壁式構造と、希望するリノベのイメージに合わせて、適切な構造の物件を選びましょう。

(2)新耐震基準の物件を選ぶ

リノベ前提で中古マンションを探すなら、新耐震基準の物件を選んだほうがよいでしょう。新耐震基準では、震度6強〜7程度の大地震でも倒壊しない設計が求められており、安全性が高く、住宅ローン控除などの税制優遇も受けやすくなります。

 

1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物でも、耐震基準適合証明書があれば、各種制度の適用対象になります。ただし、マンションの場合は建物全体で耐震基準を満たしている必要があるため、証明書を取得できる物件は限られるのが実情です。

 

なお、壁式構造の団地などは頑丈に造られており、築古でも現行の基準を満たしているケースもあります。どうしても旧耐震物件が気になる場合は、証明書を取得できるか確認したうえで購入を検討しましょう。

(3)管理組合の運営状況と修繕積立金の健全性を確認する

「マンションは管理を買え」と言われるほど、管理状況は物件選びの大切な判断要素です。長期修繕計画や修繕積立金の状況を事前に確認し、将来にかけて安心して住み続けられるか見極めましょう。

 

また、現地ではエントランスやゴミ置き場の清掃状況をチェックしてください。共用部がきれいな物件は、管理会社の質が高く、住民の意識もしっかりしていると考えて問題ありません。

(4)資産価値が維持されやすい立地と周辺環境を重視する

リノベーションで内装は変えられても、物件の立地や周辺環境を変えることはできません。物件選びの際は、駅距離やスーパー・病院などの生活利便施設の充実度はもちろん、将来的な資産価値も考慮し、安定した住宅ニーズが見込めるエリアで探しましょう。

 

近隣で大規模な開発計画がないかもチェックしておきたいところ。現在の環境だけでなく、将来の変化も見据えて判断するのがポイントです。

 

 中古マンションリノベーションで変えられること

築年数が経過して古さが目立つマンションも、専有部分であればリノベで一新することができます。リノベで変えられる内容を具体的に見ていきましょう。

専有部分内の内装デザインと非構造壁の撤去

中古マンションのリノベでは、基本的に専有部分の床・壁・天井は、好みのデザインに見直せます。構造に関わらない間仕切り壁なら撤去できるため、和室をLDKに取り込んだり、収納を広げたりといった間取り変更も可能です。室内のドアのデザインなども自由に変えられるケースが多く、家族構成やライフスタイルに合わせた、使い勝手の良い住まいづくりも叶うでしょう。

キッチンや浴室など水まわり設備の交換

キッチンや浴室などの水まわりもリノベが可能。最新設備に交換すれば、快適性と機能性を高められます。

 

配置変更についても、床下を通る排水管の勾配を確保できる範囲内であれば、認められるケースも。壁付けキッチンを対面式にするなど人気のプランも検討できますが、パイプスペース(PS)からの距離が遠くなると、勾配を確保するために床を上げなくてはならない場合があります。

 

こうした変更は、マンションの管理規約で制限される可能性もあるため、実現できるのか事前に確認が必要です。

内窓設置や断熱材充填による室内環境の改善

築古物件に多い寒さや結露の悩みも、リノベで解決できる可能性があります。最も手軽なのは既存窓への内窓設置で、断熱性や防音性が大きく向上するでしょう。壁や床の解体を伴うリノベなら、断熱材を充填して断熱性を根本からアップすることも可能です。部屋の断熱性能が高まれば、夏は涼しく冬は暖かい、年中快適な室内環境を叶えられます。

 

中古マンションリノベーションで変えられないこと


中古マンションリノベーションは自由度が高いものの、マンションゆえに手を加えられない部分もあります。リノベで変更できない部分もあらかじめ押さえておきましょう。

共用部分の設備や仕様

マンションの玄関ドアの外側、サッシ、バルコニーなどは共用部分のため、個人で勝手に交換や改造はできません。サッシの場合、室内から内窓を設置する程度であれば可能ですが、枠の交換は原則として禁止されています。バルコニーも避難経路となるため、物を置くなどの勝手な使い方はできません。リノベを検討する場合、専有部分と共用部分の区分をしっかり確認しておきましょう。

管理規約に抵触する設備や仕様

先述のとおり、マンションでは管理規約による制限にも注意が必要です。特にフローリングは遮音等級の規定があるケースも多く、無垢材などはそのまま使えない物件も珍しくありません。電気容量やガス給湯器のサイズ制限も、水まわりの設備選びに大きく影響するため、忘れずに確認しておきましょう。

パイプスペースや構造躯体の位置

上下階を貫くパイプスペース(PS)の位置は動かせませんが、中には給排水管などが通っており、水まわり配置の基点となります。排水管は傾斜で流れる仕組みのため、パイプスペースに向けて十分な傾斜がつけられないところには、水まわりを移動できません。水まわりだけ床を一段上げて傾斜を確保する方法もありますが、マンションでは天井高を変えるのが難しいので、床を上げるにも限界があるでしょう。

 

また、建物を支えるコンクリート壁や柱・梁などの構造躯体には、穴を開けたり削ったりすることはできません。物件によっては、撤去できない構造躯体が室内に残る可能性もあります。

 

理想のリノベ向け物件を見つける具体的な方法


リノベを成功させるには物件選びがカギとなります。理想のリノベ向け物件はどのように見つければよいのか、具体的な探し方を見ていきましょう。

リノベーション費用を確保した予算設定で物件を絞り込む

物件探しを始める前に、まず物件価格とリノベーション工事費を合わせた総予算を決めましょう。そこから、希望するリノベプランにかかる概算費用を差し引いた額を物件予算とします。物件に予算を使いすぎると、肝心の工事費が不足してしまうからです。予算オーバーを防ぐには、物件価格と工事費のバランスをうまく調整する必要があります。

ポータルサイトでは現状渡しやリフォーム前を探す

ポータルサイトではリノベ済み物件を除外し、現状渡しの物件を狙いましょう。リノベ済み物件とは、不動産会社がリノベしたうえで販売している中古物件のこと。販売価格にリノベ工事費が上乗せされるため、似たような条件の中古物件に比べて価格が高くなりがちです。

 

内装が古くても管理と構造が良ければ、リノベーション素材としては最適で、価格も抑えられます。不動産会社に依頼する際も、「リノベ前提なので内装は古くても構わない」と伝えておくとスムーズです。

購入申し込みの前に施工会社へ現地調査を依頼する

気に入った物件が見つかったら、売買契約前にリフォーム会社へ現地調査を依頼してください。図面では分からない配管経路や構造をプロが確認し、希望の間取りを実現できるか、想定外の費用がかからないかを判断します。不動産会社の言う「多分できます」を鵜呑みにせず、リノベのプロにチェックしてもらったうえで判断することが、失敗を防ぐポイントです。

 

まとめ

中古マンションリノベーションの成功は、物件選びにかかっていると言っても過言ではありません。立地や管理、構造といった変えられない部分に目を向け、希望するプランを実現できる物件を見極めることが、満足度の高いリノベにつながります。自分だけで判断せず、物件探しの段階でリフォーム会社を巻き込み、プロの力を借りながら理想の素材を探しましょう。